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日本及びアジア太平洋地域でプログラマティック取引が急増ー ExchangeWire.comとOpenXが共同調査レポートを発表ー

  • 広告関係者の70%以上がプログラマティック取引を増加
  • アドフラウドや広告品質への懸念が一層高まる
  • バイヤーの85%がファーストパーティデータを活用可

 

 

不安定な世界経済や各種の識別子の廃止などに伴う混乱にも関わらず、日本及びアジア太平洋におけるオンライン広告のプログラマティック取引は成長をし続けています。アドエクスチェンジグローバル大手のOpenXとアドテク専門メディアのExchangeWireによる共同調査レポート「The State of Programmatic in JAPAC - 2022」は、7割超の企業がプログラマティック取引を増加させ、また1割は75%以上の増加率を記録したことを明らかにしました。

 

 

 

2020年から2021年にかけての傾向を把握することを目的とした本調査は、オーストラリア、インド、インドネシア、日本で活動する広告主、広告代理店、媒体社などの広告関係者を対象に実施。プログラマティック取引に加えて、各種の識別子の利用制限やヘッダービディングの活用状況、DSPとの直接的な取引などに関する現状などについて尋ねました。またマイクロソフト、タイムズ・インターネット、ザクシスといった業界を牽引するオピニオン・リーダーたちの見解を合わせて伝えています。

 

「アジア太平洋地域全体ではプログラマティック取引が活性化しているにも関わらず、日本は大きな後れを取っています。識別子の利用制限やアドフラウドに関する課題意識が比較的高い一方で、サードパーティCookie廃止の影響を最小限に留めるための対策はあまり進んでいません。マーケターにはこれら一連の課題の解決に共に取り組むテクノロジーベンダーを有効活用できる余地が大きく残されていると言えます」とOpenXのカントリーマネージャーを務める目黒圭祐氏は述べています。

 

またザクシスのアジア太平洋部門にてシニア・バイス・プレシデントを務めるディーピカー・ニクヒレンダー氏は「コロナ禍ではDX化がこれまでにない規模での進展を見せました。その結果として、マーケティング領域のデータ活用に対する注目度が高まり、プログラマティック広告在庫の需要増につながっています」との考えを示しています。

 

今回明らかになった主なトレンドは下記の通りです。

・ヘッダービディング事業者を限定する傾向の中でPrebidの利用率が急落

取引を行うヘッダービディング事業者の数を絞り込む傾向が強まっています。61%(昨年比5%増)が9事業者以下に限定し、24%(同9%減)が10事業者以上を併用。またオープンソースであるPrebidの利用率が33%から12%へと低下しました。とりわけインドで顕著であり、昨年は50%の利用率であったにも関わらず、今回の調査ではPrebidを利用する回答者が皆無という結果になりました。

 

・アドフラウドに対する危機意識が高まり、サプライパス最適化にも前向きに

アドフラウドや広告の品質に対する懸念を示す回答者が89%を占めます。危機意識が最も高い国はインド(99%)であり、オーストラリア(94%)、インドネシア(86%)と続きます。日本では昨年比10%増となる42%が懸念を示しました。

その結果として、バイサイドの80%は過去18カ月以内にサプライパスの最適化に向けた見直し作業(SPO)を実施しました。尚、34%は初めてSPOに取り組んだ回答。インドでは86%がサプライ最適化に取り組み、日本の実施率は昨年の34%から50%へと増加しました。

 

・識別子の利用制限とその対応策への懸念が高まる

各種の識別子の利用制限に対する懸念を示す回答者が昨年の67%から73%へと増加しています。国別ではインド(91%)における関心が最も高く、その後はインドネシア(72%)、オーストラリア(65%)、日本(63%)と続きます。

また識別子の利用制限への対応策については市場ごとに大きな違いが見られ、インドネシアでは媒体社の88%がファーストパーティデータ活用を挙げたのに対し、日本は17%。その他の市場では以下のようにサードパーティの各種ソリューションに対して高い関心を示しています。

・インド: DSP(50%)、サードパーティのIDソリューション(48%)
・日本: DSP(45%)、アドエクスチェンジ/SSP(42%)
・オーストラリア: アドエクスチェンジ/SSP(34%)。

セルサイドのソリューションへの関心がやや高いが、ファーストパーティデータ活用以外の様々なソリューションを満遍なく検討していることが伺える

 

・DSPとの直接取引を望む声が高まる

回答者の3分の2は、アドエクスチェンジなどの仲介業者を介することなく、DSPと直接的な取引を行うことを望んでいます。

ただし、セルサイド事業者に限定すると、インドネシア(45%)と日本(40%)では、仲介業者を必要とする声がまだ多く聞かれます。一方で、インド(82%)、インドネシア(77%)、オーストラリア(60%)、日本(48%)のバイヤーは、DSPとの直接的な取引を積極的に検討しています。

 

・プログラマティック取引はバイサイドでより活性化

72%のバイヤーがプログラマティック取引による広告支出額を増加させた一方で、プログラマティック収益を増加させた媒体社は56%に留まりました。プログラマティック収益を拡大させたと回答した媒体社が多かった昨年とは逆転した調査結果となりました。

 

・ファーストパーティデータを活用し得る広告主・代理店が増加

ファーストパーティデータへのアクセスを持つバイヤーが昨年比5%増となる85%。しかしながら、成熟市場であるはずのオーストラリアが15%、日本は31%で最下位に位置しています。いずれの市場もオープンウェブ上でファーストパーティデータを有効活用するための適切なソリューションが存在しないと感じている回答者が32%に上りました。

 

OpenXとExchangeWireによる共同調査レポート(英語)はこちらから

 

OpenX概要

様々な興味や関心に応じた広告を提供するための世界的なプラットフォームです。ありとあらゆる広告配信面そして広告フォーマットを通じて、広告主、媒体社、消費者に高品質で高価値の広告を提供。最新のテクノロジーを用いて、世界最大級かつ高性能のアドエクスチェンジ上で消費者の興味や関心を収集、分類、評価し、マーケターが最適なユーザーにリーチするための支援を行います。3万社以上の広告主と1200社以上の媒体社及び2000以上のプレミアムなアプリと提携。詳細は下記HPをご参照ください。
https://www.openx.com/

ExchangeWire.com概要

データとテクノロジーを活用した広告、マーケティング、Eコマース運営に関するニュースや解説記事を発信する専門情報サイト。関連業界を賑わす流行や最新技術に関する実用的な知見を提供しています。欧州、中東、アフリカやアジア太平洋地域を始めとする世界中のテクノロジーやビジネスに関連した業界に従事する様々な事業者及びPR企業からのご連絡をお待ちしています。詳細は下記HPをご参照ください。
https://www.exchangewire.com/

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。