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電通、クッキーレス時代に向けた新しいデータ戦略と、次世代マーケティングモデル『Marketing For Growth』を発表[ニュース]

株式会社電通(以下:電通)が、「電通のデータ戦略、および企業の事業成長のための次世代マーケティングモデル『Marketing For Growth』記者説明会」を開催した。
説明会では、松永久dentsu Japan グロース・オフィサー/チーフデータオフィサー(以下:松永氏)、鈴木禎久株式会社電通 統括執行役員(以下:鈴木氏)、深田欧介執行役員(以下:深田氏)の3人がそれぞれ登壇し、クッキーレス時代に向けた電通の新たな戦略を発表した。

 

 

『電通のデータ戦略と独自データ基盤』という題目で登壇した松永氏は、
「データ戦略の中で重要なのは、データ基盤の構築です。電通はプラットフォーム事業者が提供するDCR(データクリーンルーム)の先行的活用と電通独自データとの連携、複数のDCRに存在するさまざまなデータを運用・分析することができる独自のDCR基盤である『TOBIRAS』、DCRやクライアントの1stパーティデータ由来の解析結果やプランニング知見を統合するマーケティングダッシュボードである『MIERO』を開発することで、クッキーレス時代に向けた準備を行ってきました。
このデータ基盤を活用することで、今後もマーケティングの効果検証やターゲットのセグメント化が可能となります」と説明した。

 

DCRについて語る松永氏

 

ポストクッキーレス時代に向けて電通が構築した独自データ基盤の運用方法
(資料:電通提供)

 

 

『データ戦略をマーケティングに転換すること』という題目で登壇した鈴木氏は、
「マーケティング戦略においてデータの活用は非常に重要です。マーケティングの目的は、顧客を理解し、効果的に予算を使うことです。データを駆使してターゲットを特定し、パーソナライズされたメッセージを届けることで、mROIを最大化することが私たちの目的」と説明。
桜前線などの具体例も活用しながら、天候などのマクロな要素でも、人々の行動が変わる。最適な人に、最適なコンテンツ、価値を、最適なタイミングで情報を届けることが重要で、それに対応するにはさまざまなデータを活用し、マーケティングの効果を最大化するためのマーケティング戦略が必要であると強調した。

 

事例も交えながらマーケティング戦略を語る鈴木氏

 

最後に鈴木氏は
「企業のマーケティング戦略は単なる広告やプロモーションだけではなく、全体を最適化して行うことが重要です。データの活用を通じて、顧客の理解や効果的な予算の使い方を追求し、より効果的なマーケティングを実現していくことが電通の目標です」と締めくくった。

 

目指すべきマーケティングの形は寸胴型ファネル (資料:電通提供)

 

 

 

『Marketing For Growth』という題目で登壇した深田氏は、
「テクノロジーの進化や価値観の多様化により、マーケティングには、データとマーケティングに用いられる機能の分断という課題が生まれています。データと機能をシームレスにつなぐためには、データインフラストラクチャとマーケティングコンサルティングの活用が必要です。電通であれば、独自開発したデータ基盤システムと、これまで培ってきたマーケティングスキル、人材を用いて、この統合を行い、データの奥にあるインサイトを発見することができます。それを基に、効果的なマーケティング戦略を策定することが、次世代マーケティングモデル『Marketing For Growth』です」と動画も交えながら説明した。

 

電通の次世代マーケティングモデル『Marketing For Growth』を紹介する深田氏

 

『Marketing For Growth』には、

①Mechanism Resolving:データサイエンスを活用して市場や顧客の行動を解析し、新たなチャンスを見つける領域
②Value Designing:最も効果的な価値構造を設計する領域
③360°Experience:個人の体験に価値を落とし込み、顧客との関係性を構築する領域
④ROI Management:マーケティングの成果を評価し、改善に向けた判断を行う領域

という4つのマーケティングプロセスがあり、この4つをシームレスにつなぐ“Data Infrastructure”と、そこから専門コンサルタントが新たなインサイトやビジネスチャンスを発見し、一貫性ある戦略や実行のストーリーを構築していく“Marketing Consulting”の2つの要素が、動脈と静脈のように相互連携することで、マーケティング活動全体が活性化し、マーケティングの成果を最大化することができると発表した。

 

最後に深田氏は、電通の役割について言及した。
「『Marketing For Growth』を通じて電通は、単なる機能の提供ではなく、クライアント様とともに成長するエンジンとしての役割を果たすことを目指しています。社会と事業の関係性を築きながら、一人ひとりの幸せを増やしていくことを目指していきます。」と締めくくった。

 

『Marketing For Growth』が目指すデータと機能が相互リンクし、マーケティング活動が活性化する概念 (資料:電通提供)

 

 

クッキーレス時代の到来に向け、準備を行ってきた電通。今後、電通がどのようなマーケティング戦略を策定していくのか注目したい。

 

ABOUT 町田 貢輝

町田貢輝

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学法学部法律学科卒業。編集プロダクション、出版社でエンタメ、健康、IT関連の雑誌と書籍の編集・進行管理に従事。2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。DX領域のメディア運営全般ならびに、調査研究を担当する。