アイモバイルGoogleサイト運営向けパートナーGCPPアプリスペシャリスト認定記念「総DL数70億!「Voodoo」に聞く成長戦略と「Sensor Tower」によるアプリ最新トレンド」イベントレポート
by ニュース
on 2025年1月21日 in
インターネット広告事業を展開する株式会社アイモバイルは、Googleのサイト運営者向け認定パートナー「GCPPアプリスペシャリスト」の認定を受けたことを記念し、アプリ業界の最新トレンドについて日本とグローバルの視点で議論するイベント「総DL数70億!「Voodoo」に聞く成長戦略と「Sensor Tower」によるアプリ最新トレンド」を、2024年11月28日、渋谷Googleオフィスにて開催した。
グーグル合同会社 執行役員 横山 由加子氏による開催の挨拶、アプリ業界の最新トレンドについてSensor Towerによるプレゼンテーション、ハイパーカジュアルゲームで急成長を遂げるVoodooでの成長戦略についてのパネルディスカッション、Googleによるアプリスペシャリストの紹介と続き、アイモバイルによる事業紹介・閉幕の挨拶で幕を閉じた。
プレゼンテーション:Sensor Towerによる2024年最新アプリトレンド
モバイルアプリ/ゲームのデータや分析環境を提供するSensor Towerのシニアアカウントディレクター Jin Park氏によるプレゼンテーションでは、ゲームを中心とした日本・世界での最新のアプリトレンドが明らかとなった。
Park氏は、日本のモバイルアプリ市場は成熟し安定したマーケットではあるが2020年をピークにゲームダウンロード数はマイナス傾向となっている現状に触れ、一方で、動画・ライブ配信・SNS・漫画アプリといった非ゲームアプリダウンロード数・課金額は上昇していると報告した。2024年上半期のトップゲームアプリランキングによると、近年日本のゲームアプリ市場では新規ゲームアプリが伸び悩む中で、2024年3月リリースの「キノコ伝説:魔法と勇者のランプ」が好調である。
また、Sensor Tower調査によると、日本のゲーム市場が縮小傾向にある中で、ハイパーカジュアルゲーム(プレーが簡単かつゲーム内広告が収益源)・ハイブリッドカジュアルゲーム(ミッドコアとハイパーカジュアルの融合型)が、ダウンロード全体の4割*を占め、かなりシェアを伸ばしている。
*出典:Sensor Tower / 2023年10月~2024年9月でのiOS&Androidの合計ダウンロード数(日本市場)
さらに、Park氏はグローバルでのアプリ市場の動向に触れ、世界各国でのハイパーカジュアル/ハイブリッドカジュアルゲームのダウンロード数の違いを述べた上で、世界のトップパブリッシャーの中で日本企業の数は減少傾向にあると報告した。
後半は、アプリ内広告のマネタイズに焦点を当て、日本とアメリカを比較した場合、アメリカでは9割の広告配信事業社がゲームを介して利益を生む一方で、日本は半数が非ゲームを介しての利益であるという興味深いデータを明らかにした。Park氏は「日本では、非ゲーム業者もアプリ内での収益化に成功し、シェアを拡大している」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。
Voodoo×アイモバイル×Sensor Tower パネルディスカッション:「総DL数70億!Voodooに聞く成長戦略」
「総DL数70億!Voodooに聞く成長戦略」と題された次のパネルディスカッションには、フランスのゲーム制作会社VoodooでHead of Monetizationを務めるBaptiste Durif氏、引き続きSensor Tower.incシニアアカウントディレクター Jin Park氏、株式会社アイモバイル メディアソリューション事業本部 マネージャー 望月 慎吾氏が登壇し、躍進するVoodooの経営戦略・マネタイズ方法を紹介した。
VoodooはMeta、Googleに続き世界第3位のアプリダウンロード数を獲得し、2013年設立当初より急成長を遂げている。2024年6月にSNSアプリBeRealを買収したことも話題となり、世界のゲーム制作会社から注目を集めている。
総ダウンロード数70億という数字について、Park氏は「日本での年間新規ゲームアプリダウンロード数が約7億、つまり日本の約10年分に匹敵するダウンロード数となる。」と驚きを見せた。Durif氏によると、Voodooでは現在250のゲームとアプリをリリースしており、新作の開発のため300ほどのスタジオと提携しているとのこと。
現在は行っていない取り組みではあるが、Voodooの立ち上げ初期に「各チームで毎週1つ新ゲームを作成しアプリストアでリリースする」という実験をしていたというDurif氏のエピソードに、会場からは驚きの声があがった。一週間おきに異なる判断ポイントを設定し、各ポイントで様々なKPIを確認し、見込みがあるゲームには継続投資していったという。
さらにVoodooではこれらのKPIに基づき、A/Bテストを毎週500以上実施しており、ユーザーセグメンテーションに基づく最適化を目指している。
話題はマネタイズへと移り、Voodooにおけるマネタイズ成功・失敗事例の両方がDurif氏によって紹介された。主な成功事例としては、課金/非課金ユーザーの区別により広告表示を調整したことでユーザー離脱を防ぐことができた例、リワード広告の導入などユーザー主導の広告表示に切り替えた例、またゲームプレイの進行にあわせて課金できる機能を追加した例などが挙がった。失敗事例には、ビディングへの切り替えがeCPMへのネガティブな影響を生んだ例、外部のウェブショップでの購入を促す試みが最終的に収益化につながらなかった例などが紹介された。
Voodooを急成長企業に導いた収益戦略のみならず、苦境や失敗事例への言及もあり、あらためてユーザー分析と緻密な戦略構築の必要性が痛感させられるパネルディスカッションとなった。
イベント終盤には、Googleによる認定パートナー制度の紹介として、グーグル合同会社 メディアパートナーシップ事業部 チャネルパートナーマネージャー 杤木 ケビン氏により、あらためてアイモバイルがGCPP(Google Certified Publishing Partner)認定パートナーに選ばれたことが報告された。アイモバイルは今回、アプリ内広告収益の専門家の中でもトップクラスの資格「アプリスペシャリスト」として認定され、世界で5社のみに与えられるGCPPアプリスペシャリストに認定された。アプリビジネスにおける豊富な経験・知識そして高い信頼が評価された形である。
続いて、株式会社アイモバイル メディアソリューション事業本部の荒井 孝樹氏が登壇し、事業案内、特にメディアソリューション事業本部が行うパブリッシャー向けの提案・運用サポートを紹介した。
アイモバイルより3つの報告として、一つ目「CPMトレンドの共有」では、年間を通してトレンドラインが右肩下がりであるという状況を報告したうえで、アイモバイルでのサポートの中で「広告エコシステム・計測システム対応」が抜け落ちているパブリッシャーに向け再確認を呼びかけた。二つ目「maioアップデート」では、アイモバイルが運営する動画広告プラットフォームmaioのSDKアップデートにより、ウォーターフォールの収益改善があったと報告。ポイントアプリとマンガアプリのiOSの実績ではどちらもアップデート後に収益が伸びた事例を紹介した。最後は「Google Ad Managerの活用事例」として、アイモバイルではカジュアルゲーム・ハイパーカジュアルゲームでGoogle Ad Managerを導入した結果、全体平均で収益が約110~130%増加した事例を紹介。Google Ad Managerはメディエーション・広告ソースと2つの利用法があるが、広告ソースとしてはAd Manager内でデマンド設定・調節が可能であるとし、収益増加への貢献をアピールした。
締めくくりには、株式会社アイモバイル執行役員の甲斐 康浩氏がおなじみの法被姿で登壇し、GCPP認定パートナーに選ばれたことへの感謝と今後の事業展開への意気込みを語った。これからのアイモバイルの発展がますます楽しみとなるイベントとなった。
ABOUT 角田 知香

イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。