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Taboola Newsroom で編集部が変わる─『AERA DIGITAL』が挑む“読まれる記事”の作り方[インタビュー]

雑誌業界が次々とデジタル化へと舵を切る中で、デジタルメディアだからこそ可能となるサイト閲覧者の行動データ解析はますます需要が高まっている。2025年4月に『AERA DIGITAL』として新たに生まれ変わったニュースメディアを運営する朝日新聞出版では、Taboolaが提供する読者行動解析ツール「Taboola Newsroom」を導入して以来、編集部員一人一人が積極的にデータに注目するようになったという。Taboola Newsroomとは具体的にはどのようなツールで、実際の現場ではどのように活用されているのか。
朝日新聞出版の安藤雄二氏、Taboola Japanの天野光晴氏にお話を伺った。

(Sponsored by Taboola)

 

-自己紹介をお願いします。
 

安藤氏:朝日新聞出版 DXIP戦略本部長と社長補佐役を兼任しております安藤です。DXIPはDXとIPビジネスの造語となり、朝日新聞出版において組織を横断する形でデジタル化を推進する役割を務めています。これまでAOL Japanの日本法人カントリー・マネージャーや、Verizon Mediaの日本法人メディア事業の統括などを経験し現職に至ります。

 

天野氏:Taboola Japanでパブリッシャー向けの営業を担当している天野です。民間放送局での記者職などを経て米国のアドテクノロジー会社で勤め、その後Taboolaに入社しました。Taboolaはメディア企業のウェブサイトの成長支援を軸にグローバル展開しており、広告プラットフォームやPVの増加を支援するプラットフォーム、読者行動解析ツールTaboola Newsroomといったソリューションを提供しています。

 

数字が示す読者の姿

 

-『AERA DIGITAL』についてのご説明をお願いします。またTaboola社とどのような関わりがありますか。
 

安藤氏:”AERA”とはラテン語で「時代」を意味します。広い世代に認知いただいてきた雑誌『AERA』と、デジタル版ニュースメディア『AERA dot.』の編集部を今年4月に統合し、新生『AERA DIGITAL』となりました。変化していく時代に適応しながらも、時代を独自の視点で切り取るメディアとして、新しい形での『AERA』 を目指しています。

 

天野氏:朝日新聞出版とは2023年より取引をさせていただいています。私自身も子どものころから存じ上げている『AERA』がさらなるデジタル化という変革期にあり、Taboolaとしてサポートさせていただけることに喜びを感じています。

 

 

-『AERA DIGITAL』ではユーザー行動解析ツール「Taboola Newsroom」を導入されています。Taboola Newsroomの機能についてご説明をお願いします。
 

天野氏:Taboola Newsroomはウェブサイトがどのように見られているか、ユーザーがどこから来たか、などを解析して表示するツールです。メディア事業の成長を包括的にサポートするというTaboolaのミッションのもと、グローバルで数十人のエンジニアが開発に従事しているもので、大きく2つの機能があります。

1つ目は、自社サイト、たとえば『AERA DIGITAL』に訪れたユーザーがどこから来たか、どのような記事をどれくらい見たか、という情報をリアルタイムや過去24時間・過去7日間などさまざまなタイムスパンで確認できる機能です。記事ごとにPV、直帰率、ページ滞在時間などを示し、記事がもつ実力・総合力を数字で把握することができます。好評を得ているのが「アラート機能」で、例えば特定の記事のトラフィックが急上昇するなど、特に注意を払うべき事象が生じるとお知らせが届く仕組みです。他の解析ツールにはないユニークな機能です。

 

Taboola Newsroomダッシュボード例

 

2つ目は、国内のTaboolaのパートナーサイト全体のデータのトレンドを閲覧できる機能です。もちろんデータはすべて匿名化されています。Taboolaの大規模な数のパートナーサイトのデータを参照できる為、日本全体のデジタルメディアユーザーが何に関心を持っているのか、どんな記事を読んでいるのかをリアルタイムで、または過去に遡って把握していただけます。これにより、編集や記事作成において次にどのようなアクションを起こすべきかのインサイトを得ることができます。

 

Taboola Newsroomダッシュボード例

 

-Taboola Newsroomの利用状況はいかがでしょうか。
 

天野氏:グローバルで多くのパブリッシャーに導入いただいています。日本国内でも雑誌社、新聞社、放送局、デジタルメディアなど、多岐に渡ります。近年は業界においてサイト成長のためにデータ活用を進めようという機運が高まっていて、Taboola Newsroomのニーズが増しています。

 

 

 

「使いやすさ」がもたらす好循環

 

-『AERA DIGITAL』でのTaboola Newsroom導入の経緯についてお聞かせください。
 

安藤氏:以前AOLに勤めていた時から、管轄していたメディアでTaboolaのソリューションを利用しており、使い心地の良さを感じていました。『AERA DIGITAL』に移り、データ解析ツールの見直しがあった際、そういえば便利なツールがあったなとTaboola Newsroomのことを思い出しました。さらにTaboolaの営業マンの熱意も後押しとなり、導入を決めました。

 

-Taboola Newsroomのどのような点に使い心地の良さを感じますか。
 

安藤氏:「わかりやすさ、使いやすさ」ですね。出した記事がどのくらい読まれて、次にどう生かすか、どうすればさらに読まれるか、ということを把握し知見にしていくことの必要性はもちろん常に感じています。しかしデジタルメディアの編集部は日々忙しく、数字の把握まで手が回らず腰が重くなりがちです。
Taboola Newsroomはグラフも綺麗で、記事への流入元がアイコンで表示されるなど、視覚的にとても分かりやすいため、編集部員も手軽に数字をチェックできています。またトピックインサイトという機能では、同じトピックが他社メディアではどのぐらいの規模で扱われているか、を見ることができ、自社メディアと比較し次の一手を考える手がかりになっています。

『AERA』編集部では、全員がスマホやPCでTaboola Newsroomを利用しています。また編集部のデスクには常時Taboola Newsroomが映し出されているモニターがあり、いつでも記事に関する数字を確認できるようにしています。

 

 

-編集部内でTaboola Newsroomはどのように活用されていますか。
 

安藤氏:基本的には一日のビュー数の把握、また編集部員それぞれが自分の記事のPV数やページ滞在時間、流入経路を把握するために使っています。

流入経路によっては、編集部員は自分が携わった記事がさらに読まれるためのテコ入れが可能となります。記事は出したら終わりではなく、サイト上のトップにもってくる記事を変えるといった、さらに読まれるための改良が可能です。その軸となるのが数字であり、そういった数字を編集部員ひとりひとりが手軽に見に行けるところが、Taboola Newsroomの良さだと思います。

 

Taboola Newsroomダッシュボード例

 

 

-導入されてどういった変化を感じられますか。
 

安藤氏:デジタルメディアとして、数字に対する向き合い方が変わったように感じています。これまでは他のツールを導入しても、複雑で使いにくく短期的にしか利用しないこともありました。Taboola Newsroomの使いやすさのおかげで、編集部員が数字を見る癖がついてきたのではないでしょうか。編集部員が自然にメディアの数字をチェックするようになったことは変化だと感じます。

「メディアで何を発信していくか」という決定は勘やセンスに頼るということもありますが、デジタルメディアではそれに加えて数値的な根拠を持つことができます。PV数だけではなく、ウェブメディアを構成するあらゆる数字を把握し、今後にどう活かしていくか、という戦略を立てるうえでTaboola Newsroomの貢献は大きいと思っています。

 

天野氏:データドリブンな記事作成や編集の必要性は感じられますか。

 

安藤氏:それをやらないと苦しいだろうなと思っています。他社さんでも同じだと思いますが、分かっていても、データ重視の方向に移行しきれない部分があります。我々も試行錯誤していますが、編集部が強くなっていくために、編集部員ひとりひとりがある程度のデータを理解して活かせるようにならないと、これからの時代デジタルメディアとしては生き残っていけないと考えています。ユーザーが求めているものを当てる、そのターゲティングの精度を上げるという意味でもデータ活用は欠かせないです。

 

-Taboolaからのサポートはいかがですか。
 

安藤氏:担当者の方のレスポンスが早く助かっています。ソリューションに関して質問を投げかけても、素早く打ち返していただいています。また、編集部員に向けて複数回、Taboola Newsroomの使い方をレクチャーしていただきました。もともと使いやすいので説明がなくても簡単に利用できるのですが、「こんな機能もあります。こういった使い方もあります」と紹介いただき、より使える幅が広がりました。

以前Taboolaの上層部の方とお話をしたときに、「いかにパブリッシャーのためにサポートできるか」に真剣に向き合う姿が印象的でしたが、その熱意が現場の担当者まで浸透しているなと思います。パブリッシャーのために、という姿勢がすごく頼もしく、こちらの立場も理解してくれているので相談しやすいです。最もフランクにお話させていただける、頼もしいパートナーだと思っています。

 

新たな『AERA』を目指して

 

-Taboola Newsroomのこれからの展望についてお聞かせください
 

天野氏:私たちはパブリッシャーがTaboola Newsroomを使ってデジタルメディアの編集や記事作成をデータドリブンに行えるよう、サポートしています。一方で、私自身は全てがデータ由来であるべきだという考えを持っている訳ではありません。パブリッシャーや編集者、記者はそれぞれ、独自の思いやモチベーション、人のつながりといった、データに現れないものを必ず持っています。それらがもとに作られた記事をより効果的に広く世に届けるための有効なサポートを、今後もTaboola Newsroomが担っていけると考えています。

 

-『AERA DIGITAL』はこれからどういったメディアを目指しますか。
 

安藤氏:今はメディアの存在意義そのものが問われています。SNSが情報取得における主要プレーヤーになってしまうこともあり、自分たちが良いと思ってきたアセットやブランドが通用しないことがたくさんあるのは事実だと思います。

そもそも我々は何のためにメディアを運営しているのか、ということを再構築し、新しい『AERA』を作り必要とされるメディアになる、それが私たちの目標です。『AERA』の歴史といったアセット・ブランドを活かしつつ新しいメディアを作るためには、今までと同じやり方では通用しません。新たなチャレンジという意味では、テクノロジーやツールを吸収し、編集部員それぞれが数字に強くなりデータを活用できるようになることもその一つです。まさに生き残るために、今が踏ん張りどころだと思っています。

ABOUT 角田 知香

角田 知香

ExchangeWireJAPAN 編集担当。イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。