電通デジタル × Silverpushが読み解く2026年に向けたYouTube広告の進化──“文脈”と“モーメント”がもたらす新たな設計視点[インタビュー]
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圧倒的なリーチ力と、動画ならではの表現力を備えたYouTube広告は、2026年に向けてさらなる進化のフェーズに入ろうとしている。標準的な配信手法や自動最適化が担ってきた役割を前提としつつ、近年注目されているのが「どのような文脈(コンテキスト)やモーメントで広告に接触するか」という視点だ。
ここで言うコンテキストとは、単なる動画ジャンルやキーワードではなく、視聴されているコンテンツの内容や視聴意図を含めた“文脈”そのものを指す。本記事では、電通デジタルとSilverpushによる実際の取り組みを通じて、YouTube広告におけるコンテクスチュアルターゲティングの活用可能性を探る。
(Sponsored by Silverpush)
YouTube広告に求められる視点の変化──「量」から「文脈」へ
―自己紹介をお願いします。
後藤氏:電通デジタルの後藤百香と申します。新卒で入社以来、外資系企業のデジタルマーケティング戦略を担当してきました。2025年からは、国内外のメディアプラットフォーム各社様との戦略的提携を推進する業務も兼任しています。
中野氏:Silverpushのカントリーマネージャーを務める中野済です。複数の外資系広告ソリューション企業で日本ビジネスの責任者を務めるなど、動画広告を中心にデジタル広告業界には約20年にわたり従事してきました。
山下氏:シニアセールスディレクターの山下祐治と申します。国内及び外資系の広告会社やDSPとSSPで経験を積んできました。
―YouTube広告の活用状況についてお聞かせください。
後藤氏: 日本国内では、多くの広告主様がYouTube広告を活用しており、標準的なターゲティングや自動最適化を含めた運用はすでに広く定着しています。その一方で近年、「どのような文脈で広告が視聴されているか」「ブランドとしてよりふさわしい環境で接触できているか」といった点にも、徐々に関心が向けられるようになってきました。
電通デジタル Dentsu Digital Global Center, Digital Planner, 後藤 百香 氏
コンテクスチュアルターゲティングは、既存の配信手法を置き換えるものではなく、こうした視点を踏まえ、特定の目的やKPIに応じて粒度細かく活用できる補完的なアプローチだと捉えています。2025年に入ってから、私自身もその可能性を検証する機会が増えてきました。
中野氏:日本以外の市場においても、欧米やアジアを含め、従来の配信手法をベースとしながら視聴されているコンテンツの文脈やモーメントを意識した設計が広がっています。
Silverpushでは、グローバル市場においてこれまで10,000件以上のYouTubeにおけるコンテキスト配信に携わってきました。日本市場においても、目的やKPIに応じた活用が今後さらに広がっていくと見ています。
明確だが幅のあるターゲットをどう設計するか
―活用のきっかけを教えてください。
後藤氏:「中小企業の経営者」という、明確でありながらも幅のあるターゲットを想定したキャンペーンを担当した際に、より精度高くリーチする手法の一つとして有効ではないかと考えたのがきっかけです。本キャンペーンでは、「意思決定権を持つ層に、適切なタイミングで届けられているか」をKPI設計の軸に据えました。
一般論として、ターゲットが明確になるほど、広告プラットフォーム上では一定程度抽象化された形で扱われることが多くなります。YouTubeの標準的なターゲティングや自動最適化は非常に有効ですが、特定の文脈により近づけたい場合には、配信設計の段階で追加の工夫が求められるケースもあります。
―YouTubeの通常配信の配信でのターゲティングはどのように指定していたのでしょうか。
後藤氏:例えば「中小企業」や「確定申告」といったキーワード設定があります。これにより関連性の高いコンテンツへの配信が期待できます。一方で、YouTube広告の自動最適化はKPI達成のために配信対象を柔軟に広げる特性もあるため、結果として多様なジャンルの動画に広告が表示されるケースも見られました。
また、チャンネル単位で配信先を指定することも可能ですが、目的に合致したチャンネルを網羅的に抽出し、かつ安定した配信量を確保するのは運用負荷の観点から人手では限界があります。そこで今回は、既存手法を前提としながら、別の視点からのアプローチを検討しました。
―そこでコンテクスチュアルターゲティングを活用したのですね。
後藤氏:まず中小企業経営者を業種、従業員規模、意思決定プロセスなどの観点から複数のペルソナに分解しました。そのうえで、情報接触シーンや意思決定タイミングを想定し、視聴コンテンツの傾向まで落とし込みました。この設計をSilverpush様と連携し、具体的なコンテキストリストに変換しています。
山下氏:ブリーフィング内容をもとに、複数の社内ソリューションを活用し、目的に応じた独自設計のコンテキストリストを抽出しています。これにより、YouTube広告において戦略的なコンテクスチュアルターゲティングが可能になります。
Silverpush シニアセールスディレクター 山下 祐治 氏
配信面とブランドの親和性から「モーメント」を捉える
―今回の取り組みで得られた気づきは何ですか。
後藤氏:主に「配信面の質」と「動画単位でのブランド適合性の把握」という2つの点で新たな気づきがありました。
YouTube広告では、管理画面上で不適切な配信面を除外する機能が用意されており、ブランドセーフティを確保するための基本的な仕組みが整っています。そのうえで今回は、確定申告を解説する動画など、テーマ性の高い文脈を意識した配信を行いました。結果として、ブランド適合性の高いコンテンツ環境において、「まさにその情報に触れているタイミング」で広告に接触してもらえる設計が実現できたと感じています。
また、動画単位で配信状況を可視化できた点も印象的でした。ペルソナごとに配信面、インプレッション、完全視聴率を整理することで反応の違いをより具体的に把握でき、今後の設計にも活かせる示唆が得られたと考えています。
コンテキスト配信を支える運用と調整のあり方
―コンテキストリストはSilverpushが抽出するとのことですが、広告配信が開始されてからはどのような役割を担ったのでしょうか。
後藤氏:コンテキスト配信の運用および最適化については、当社の運用方針のもと、専門的な領域を中心にSilverpush様にご支援いただきながら進めました。 広告運用の現場においては、速報値レポートの作成や広告予算の増減または動画の秒数の変更といったことにも対応しなければなりません。こうした作業に時間を要する場合も多々あるのですが、Silverpush様には本当に迅速に対応していただきました。
また単なる数値報告に留まらず、「どの変数をどう調整すべきか」まで踏み込んだ密なコミュニケーションがあったことで、品質の高いコンテキスト配信を実現できました。
山下氏:ご予算を増額いただいたことに伴い、広告在庫を増やす必要が生じた際などに電通デジタル様と別途ご相談させていただきました。具体的には、ペルソナ設計に基づくコンテキストの中でも「アウトドア」関連が数値面で良好だったため、成果が見込める領域として「アウトドアスポーツ」まで対象を広げ、関連動画の配信機会を増やす調整を行いました。
―PDCAを回す中でどのようにキャンペーン全体の施策を最適化されたのでしょうか。
後藤氏:キャンペーンの初期段階では複数の配信手法を併用しながら特性を把握し、その後、文脈との親和性や視聴態度の面で手応えを感じられたコンテクスチュアル配信を中心に設計を見直しました。KPIも検証結果に応じてリーチから完全視聴関連指標へ移行するなど段階的に調整し、目的に即した評価と改善が行えたと考えています。
配信結果をどう読み解くか──QCPMという補助的な評価視点
―キャンペーンを振り返る中で、どのような視点が得られましたか。
後藤氏:今回のキャンペーンでは、KPI自体はリーチや完全視聴率など、一般的な指標を用いて運用していました。一方で、キャンペーン終了後に結果を振り返る中で、「広告が想定した文脈やターゲット環境にどの程度沿って配信されていたのか」に加えて、コンテキスト配信を行った際の配信単価や配信効率についても、もう一段整理してレビューできないかと考えました。
そこでご紹介いただいたのが、QCPM(Qualified CPM)という考え方です。
中野氏:QCPMは、ブランド適合性を踏まえたCPMの考え方に近い指標です。
弊社では、広告キャンペーンの投下予算に対して、文脈やターゲット、ペルソナとの親和性を満たした配信面でのインプレッションのみを対象に算出したCPMを、QCPMと定義しています。
つまり、規定したコンテキストに沿って、どれだけ効率的に関連性のあるプレースメントへ配信できていたかを振り返るための指標として活用できます。
Silverpush カントリーマネージャー 中野 済 氏
後藤氏:この指標を用いることで、配信効率をコスト面からも整理し、結果をより納得感のある形で振り返ることができました。
また、QCPMは既存のKPIや運用指標を置き換えるものではなく、従来の指標による評価を補完するかたちで活用できる考え方だと捉えています。
文脈とモーメントから考える、YouTube広告の次の設計
―今回の実績を踏まえた次の展開をどのように思い描いていますか。
後藤氏:YouTube広告におけるコンテクスチュアルターゲティングは、実際に活用した経験のある広告主様がまだ限られている印象があります。だからこそ、まずは小さく試してみることで、その考え方や可能性を実感していただけるのではないかと思います。私自身も、実際に取り組むことで設計の幅が大きく広がりました。一度取り入れてみるだけでも、これまでとは異なる視点で配信設計を考えられるようになるはずです。
今後は、よりボリュームのあるターゲティングにおいても、モーメントごとの配信設計に取り組んでみたいと考えています。検討フェーズや関心度に応じた表現の出し分けを考える際、コンテクスチュアルターゲティングは有効な選択肢の一つになると思います。
中野氏:比較・検討段階にあるユーザーと、より潜在的な関心段階にあるユーザーとでは、接触しているコンテンツの文脈は異なります。例えば、車の購入においては、中古車レビューの動画は購入検討層との接点になりやすく、ライフスタイルや日常シーンを扱った動画は、将来的な検討につながる潜在層との接点になり得ます。
動画レベルで文脈を捉えることで、関心度に応じた配信設計が可能になり、設計の幅を柔軟に広げることができます。
2026年に向けて日本市場でも、「どのような文脈・モーメントで広告に接触しているか」を意識した設計が、YouTube広告戦略の一部として徐々に定着していくと考えています。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 共同編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。ExchangeWire主催の大型イベントであるATS Tokyoのモデレーターも務めている。






