FLUX平田氏が明かす、恩師への「恩返し」から始まった、AI時代の次世代育成[インタビュー]
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左から株式会社FLUX インターン 宮本 遥樹氏、株式会社FLUX 取締役CPO 平田 慎乃輔氏、株式会社FLUX インターン 新井 穂高氏
デジタルマーケティングの事業から始まり、現在はAIコンサルティングから人材紹介まで幅広く手掛ける株式会社FLUX。急速な成長を遂げている同社を率いる平田氏が、かつての恩師たちの子息をインターンとして受け入れた背景には、起業家としての「原点」とも言える深い絆があった。
(聞き手:ExchangeWire 野下智之)
起業時の「看板」を貸してくれた恩人への報恩
今回のインターン受け入れについて、平田氏は単なる教育プログラムではなく「恩返し」であると強調する。
「新井さん(穂高氏の母)には僕が新卒の頃からお世話になっていて、FLUXを立ち上げたばかりの、何の実績もない頃から本当にお世話になっています。新井さん(穂高氏の母)はご自身の信頼という「看板」を僕に貸し、重要なキーパーソンを次々と紹介してくださっただけでなく、営業の現場にまで同行して支えてくださった。あの時の恩は一生忘れません」
また、宮本氏についても「ビジネスの戦友」と語る。 「宮本さん(遥樹氏の父) とは居酒屋での出会いから始まりましたが、彼がLINEヤフーに移ってからも、ビジネス開発のブレスト相手として壁打ちをしていただきました。現場で一緒にアイデアを形にしてきたカウンターパートとして、深い信頼関係があります」
意思決定の現場に放り込む「平田密着プロジェクト」
平田氏が二人の恩師から受け取ったバトンは、恩師それぞれの子息である二人のインターン生へと手渡された。二人のために特別なインターンシップのプログラムを平田氏は考え、穂高氏には平田氏が出席するほぼすべての会議に同席させ、経営の最前線を見せる試みを始めた。穂高氏は当初、専門用語が飛び交う会議のスピード感に圧倒されたという。
「最初は本当に何を言っているのか分かりませんでした。でも、採用活動から顧客との定例、事業会議まで、あらゆる会議の現場で平田さんがどのような意思決定を行い、どのように実行していくのかを間近で見られたことは、社会の基本構造を知る上で非常に重要な経験でした」
穂高氏が経営の意思決定を間近で学ぶ一方、同じくFLUXでインターンを行う遥樹氏は、より実務に近い現場で別の形の衝撃を受けていた。遥樹氏は、参加前はスタートアップに対して「キラキラしたイメージ」を持っていたと振り返る。
「話しているビジネスの規模感や、英語でのビジネスコミュニケーションなど、今までのアルバイトでは経験できないことが続く日々でした」
SIer志望からPdMへ。技術を「事業」に変えるリアリティ
この経験は、理系大学生である穂高氏のキャリアプランを大きく見直すキッカケになった。
「以前はエンジニア一本で考えていましたが、FLUXのPdMの方々と接し、市場のニーズを機能に落とし込んで事業を作る面白さを知りました」
平田氏は、「AIという変化の激しい領域で重要なのは、技術を事業成果に変える力。穂高君のような若い世代が、スタートアップの意思決定のスピード感と人間関係の機微を同時に学ぶことに、大きな意味がある」と説く。
一方、遥樹氏にとっての転換点は、より直接的な形で訪れた。CRMへの情報の手入力を担っていたある日、AIによる自動入力機能が導入された。URLを貼り付けるだけで30秒後には必要作業が完了する。「自分がやっていた仕事が、目の前でなくなった瞬間でした」。
さらに衝撃だったのはその後だ。同様の業務を担う別のインターン生が、遥樹氏が手作業でこなしていた量の2倍を処理しているのを目の当たりにした。「大学の社会学の授業でAIが仕事を奪う、と聞いていたけれど、それを自分ごととして体感したのは初めてでした」
この体験は遥樹氏の仕事観を根底から揺さぶった。「入力するだけのような作業でお金がもらえる時代は終わる、とはっきり思いました。自分だからこそできることを見つけなければという危機感が生まれた」。その問いはやがてゼミのレポートテーマにもなった。資本主義とAIの関係を社会学的に考察した内容は、FLUXの現場で感じたリアルな問いを学問として昇華させている。
求めるのは「ラーニング&アンラーニング」ができる人材
FLUXにはインターン生にも社員にも、様々なバックグラウンドを持つ人材が集まってくる。スタートアップとして急成長し、500人体制となった今も、平田氏の採用哲学は揺るがない。 「重要なのはラーニング&アンラーニングのバランスです。AI/テクノロジーといった常に最先端の技術や知見をラーニングすることはもちろんですが、それ以上に必要に応じて前職の成功体験を捨てられるかどうか。AI時代において活躍していく上で、このバランスはますます重要になってきます。」
新卒採用が切り拓く、FLUXの新たな可能性
今後、FLUXが本格的な新卒採用を開始すれば、この「次世代育成」の動きはさらに加速することになるだろう。中途採用中心で構築してきた「プロスポーツチームのような組織」という土壌に、真っさらな状態からFLUXのDNAを吸収する新卒層が加わることで、組織の柔軟性はより一層高まる。
平田氏は、「フレキシビリティを前提とした新卒採用は、既存の枠組みに囚われないAIプロダクトやプロフェッショナルサービスを生む源泉になる」と確信している。
かつての恩師との縁から始まった今回のインターン受け入れは、結果として、FLUXが「AI新時代」を勝ち抜くための組織育成文化を見つめ直す契機となった。
人のつながりを大切にする同社の原点を守りつつ、次世代のプロフェッショナルたちが躍動する新たなステージへ、FLUXは今まさに突入しようとしている。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。







