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LIVE BOARDの田中社長に聞く―「トータルスクリーン・プランニング」による次世代メディアの市場拡大【新社長インタビュー】

2026年2月2日、株式会社 LIVE BOARDの新しい代表取締役社長に田中 淳泰(たなか あつひろ)氏が就任した。同氏は2008年に電通に入社して以来17年間、一貫してテレビのタイム・スポット業務、デジタルでのブランディングから獲得案件まで、幅広いメディア業務に従事してきた。そうしたなか、デジタルOOH広告配信プラットフォームの運営をしてきたLIVE BOARDではテレビ×デジタル×DOOHでの統合展開を「トータルスクリーン・プランニング」として再定義し、注力方針に掲げている。

今回はテレビ×デジタル×DOOHを横断した次世代メディアの市場拡大に挑戦する田中氏に話を聞いた。

(Sponsored by LIVE BOARD)

 

広告の統合メディアプランニング需要が高まる

―自己紹介をお願いします。

2008年に電通に入社して以来、一貫してメディア部門に携わってきました。当初はテレビのタイム・スポット業務を担当していましたが、デジタルのブランディング・獲得案件についても電通デジタルへの出向を含めて幅広く経験し、直近の約6年間はOTTメディアを担当する動画業務推進部に所属していました。

 

その部署のメインミッションは、テレビとデジタルを横断した戦略設計からバイイング、効果検証までを一気通貫で行う「統合メディアプランニング」となりますが、私個人としてはテレビ・デジタルソリューションのキャリアを生かし、統合マーケティングダッシュボード「MIERO (ミエロ)」のソリューション開発・推進も担当してきました。

 

―田中様が新社長に就任した経緯について教えてください。

テレビ×デジタル×DOOHを横断した統合メディアプランニングが市場で当たり前に受入れられる状態をLIVE BOARDが作り、拡大をさせていくために、私が培ってきた経験を生かしていくことがミッションだと捉えています。

 

広告主からは統合メディアプランニングが求められているなか、TVerやABEMA、InstagramやTikTokなどメディアの選択肢も広がっています。しかし、昨今のユーザーのテレビ離れに加え、デジタルにおいてもメディアの多様化が進んだ結果、広告主が届けたい情報をターゲットに届けるのが難しくなっています。そこで今後はDOOHやリテールメディアのように、ユーザーの外出中に広告を見せていくことも、統合メディアプランニングでは必ず必要になると考えています。

 

これまで私が培ってきた「テレビとデジタルの統合」における実践知やノウハウも最大限に生かしながら、LIVE BOARDが新たな市場を切り開いていきたいですね。

OOH業界で「メジャメントデータ」計測がスタート

―田中様はテレビとデジタルの動画領域市場のプロデュースやメディアプランニングに長年携わって来ました。田中社長から見た現在のDOOH市場についてはどのように見えていますか。

日本の総広告費の推移が105%前後で成長している中、OOH市場全体も同水準で成長しており、その成長を牽引しているのがDOOH市場の拡大です。一方で、テレビやデジタルの動画広告を合わせた動画市場全体(約2.7〜2.8兆円)から見ると、DOOHのシェアはまだ4%程度に留まっています。だからこそ、この4%を少しでも拡大させていく余地と可能性が大いにある市場だと捉えています。

 

―DOOH市場の中で、LIVE BOARDはどのような役割を担っていると考えていますか。

これまでのOOHは、高い強制視認性や公共性、そして圧倒的なロケーションの力による「ブランド体験」や「話題化」といった、情緒的な価値を中心に評価されてきました。そのため、象徴的な媒体を指名して買い付ける手法が主流であり、それは現在も有効な戦略の一つです。DOOHにおいても同様で、インパクト媒体が大きく注目をされ、市場を牽引してきたと考えています。

 

また、LIVE BOARDも加盟している一般社団法人 日本OOHメジャメント協会にて、OOH広告の接触を統一指標で可視化する 「日本版OOHメジャメントデータ」計測が3月にスタートしています。

 

テレビやデジタル広告における「インプレッション」や「リーチ」のような、他メディアと横断して比較できる共通指標は長らく不在でした。その結果、統合的なメディアプランニングの検討土台において、OOHの投資対効果を定量的に証明することが難しく、予算が個別に切り出されてしまう、あるいは選定の選択肢から漏れてしまうといった課題を抱えていました。

 

この「指標の壁」を解消し、DOOHが持つ本来の広告価値を科学的に定義・証明していくこと。そして、デジタルとリアルの垣根をなくした柔軟な広告取引を実現すること。その使命を掲げ、日本で初めてインプレッションベースのプログラマティックDOOHを展開したのが、我々LIVE BOARDです。

DOOHが広告キャンペーンの加速・増幅装置の役割を果たす

―LIVE BOARDでは注力方針として「トータルスクリーン・プランニング」を掲げました。現在の市場環境の中で、この3つのメディアを統合して活用することの意義やメリットをどのように捉えていますか。

これまで、テレビ・デジタル・DOOHを統合するアプローチは一般的に「トリプルメディア」と言われており、当社でもそのように提唱してきましたが、LIVE BOARDでは新たに「トータルスクリーン・プランニング」として再定義することにいたしました。

 

DOOHは、テレビとデジタルという土台の上に「家の外での接点」として加わることで、広告キャンペーン全体を後押しし、投資対効果をさらに引き上げる「Campaign Accelerator(キャンペーンの加速・増幅装置)」の役割を果たすと考えています。また、メディアの多様化が進んでいるなか、DOOHが新聞や雑誌、リテールメディアなどと競合をしていくような、3番目争いをしていきたいわけではないという表明でもあります。特にリテールメディアについてはDOOHネットワークとの連携も進めば、広告のトップ・ミドル・ボトムファネルで全てを統合的にカバーしやすくなります。

 

その立ち位置を明確にしたうえで競合するのではなく、むしろ協調して広告効果を立てていく必要があると考え、我々はこの概念を新たに「トータルスクリーン・プランニング」と再定義しました。

 

―「Campaign Accelerator」について、具体的なイメージを教えてください。

DOOHにはCampaign Acceleratorとして、大きく2つの機能があると考えています。

 

一つは「Incremental Reach Accelerator(リーチの増幅装置)」です。
テレビやデジタルに一定の予算を投下すると、後半になるにつれて新規リーチの獲得単価が高騰します。ここでDOOHを組み合わせることで、テレビ・デジタルだけでは取り切れなかった層へリーチを伸ばし、全体の効率曲線を崩すことなくリーチを最大化できます。

 

(出典:LIVE BOARD提供資料)

次に「 Perception Accelerator(認知の加速装置)」です。
テレビやデジタルで広告に接触しても態度変容に至らなかったターゲットを、家の外で再び捉えます。多面的な接触を生み出すことで、最後の最後まで認知形成を後押しし、結果的に1人あたりの認知獲得単価を効率化します。

 

(出典:LIVE BOARD提供資料)

 

―トータルスクリーン(トリプルメディア)が特に効果的に働く案件と、注力していくためのアクションを教えてください。

テレビやデジタルに一定規模の予算を投下されているなかで、効率が悪化し始めたタイミングのキャンペーンでDOOHを組み合わせるのが特に効果的です。「広告を届けたい人に届ける」という点では、どの業種のクライアント様でもお使いいただけるかと考えています。

 

2026年は業界にとって「共通メジャメント元年」となりますので、今後のアクションとしてはまず、DOOHのインプレッション等の共通指標の浸透に全力を尽くすとともに、投資効果を含めた統合分析事例を増やしていきます。

 

LIVE BOARDがOOH・広告業界にイノベーションを起こす

―貴社の事業展望と今後の市場発展に期待することをお聞かせください。

LIVE BOARDは既存のOOHメディアからではなく、データとテクノロジーの会社であるNTTドコモグループを基盤にして生まれました。「トータルスクリーン・プランニング」や「Campaign Accelerator」もその一環となりますが、Instagramが写真・カメラの会社から生まれなかったように、OOH・広告業界へのイノベーションを起こしていくのがLIVE BOARDの果たすべき役割かと捉えています。

 

市場の動きとしては「メジャメント(測定指標)の統一」という歴史的転換点により、OOH全体が統合メディアプランニングの土台に乗ることを期待しており、そのうえでLIVE BOARDとしては、DOOHがインパクト重視の媒体にとどまらず、データドリブンな「トータルスクリーン・プランニング」の一部として常態化して組み込まれる未来を目指します。ステークホルダーの皆様と連携しながら新たな広告価値を証明し、日本の広告体験そのものを進化させていきたいと考えています。

ABOUT 柏 海

柏 海

ExchangeWireJAPAN 副編集長

日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。