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ついにアドテク業界のユニコーンがIPOか?Google、Facebookとの戦いに注目が高まるAppNexus

投資銀行のLUMA Partnersは、2015年第三四半期におけるアドテク企業の株価が、全体で35%減少したと伝えています。上場しているアドテク企業の株価が軒並み下がり続けている状況の中、2016年春、アドテク業界の数少ないユニコーン企業(評価額10億ドル以上)であるAppNexusが、ついにIPOするのではないかというニュースが注目を集めています。

AppNexus holds discussions with banks about an IPO - Business Insider画像:AppNexus holds discussions with banks about an IPO - Business Insider
 

Googleの広告在庫およびFacebook Exchange、Rubicon Projectといった大手のディスプレイ広告オープンソースを利用可能なAppNexusは現在、マーケター、メディアバイヤーおよびパブリッシャー向けにサービスを提供しており(パブリッシャー向けサービス"AppNexus Publisher Suite"は今月4日にローンチ)、Google/DoubleClick、およびFacebook/Atlasとパートナーかつライバル関係にあります。
 
そんな世界最大の独立系アドテク企業であるAppNexusが、ゴールドマン・サックスなどの投資銀行とIPOに関する協議を行っていると、今週火曜日にBusiness Insiderは伝えました。ここ数年、IPOするのではないかと業界内でも噂になっていたAppNexus。2007年創立の同社は、今までに2.88億ドルを調達し、23のオフィスに900名以上のスタッフを抱え、提供している広告プラットフォーム上の広告費は約20億ドルと言われています。
 
IPOではなくM&Aというオプションに関しては、AppNexusは20-30億ドルの買収額を希望していると言われています。前回ご紹介したNeustarによるMarketShare買収のように、OracleやIBM、Salesforce、Adobeといったアドテク&マーケティングテクノロジーを強化したいエンタープライズ向けのサービスを提供している大企業、または、今年の前半に業界を驚かせたVerizonによるAOL買収のように、電話事業会社などによる新規参入の可能性も考えられます。
 
しかし、英国デジタルパフォーマンスエージェンシーCroudのJonathan Beeston氏は、WPPによる昨年の2500万ドルのAppNexusへの出資によって、競合するグローバルの広告代理店ネットワークとAppNexusとの関係が難しくなってしまった可能性があること、また、IBMやOracleといった企業がメディアバイイングにあまり興味を示していないことから、AppNexusにとってIPOが唯一のオプションではないかとBusiness Insiderにて伝えています。
 
「2015年はこれから起こるアドテク業界のパワーゲームのためのウォーミングアップでした」と、The Drum(英大手マーケティング情報サイト)にて語っているAppNexus社長のMichael Rubenstein氏。これから一体どのような動きが起こるか、注目が高まります。
 
なお、AppNexusのスポークスパーソンはBusiness Insiderに対して、ゴールドマン・サックス他、いずれの投資銀行とも協議には入っていないと伝えています。
 
参考:
AppNexus
AppNexus holds discussions with banks about an IPO - Business Insider
AppNexus Launches Full-Stack Publisher Suite - NEW YORK, Nov.4, 2015 /PRNewswire/ -
AppNexus: '2015 was just the warm up act for what's next to come in the ad tech power game' | The Drum

 

 

ABOUT Global Adtech

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編集長 八田 浩(Hiroshi Hatta)氏  株式会社オプト 取締役
2004年株式会社オプト入社。電通との資本業務提携において 協業責任者として同社へ出向。
オプト帰任後、広告代理事業に加え、アドテク事業、動画事業、オムニチャネル事業のメディア/商品開発を担当。
2015年4月より現任。