セプテーニが語るAmazonの魅力と本質-第三回:広告運用の重要性とカゴメとの取り組み [インタビュー]

小売り流通におけるAmazonの影響力は年々高まり続けており、大手消費財メーカーにとり、GMSにも匹敵する存在となっている。それは食品メーカー大手のカゴメにとっても例外ではない。

カゴメ株式会社でAmazonを担当する東京支社 営業三部一課の冨田悠介氏と、広告代理店としてカゴメのAmazonにおける戦略を支えるSepteni Japan株式会社 ブランド広告本部マネージャー 玉石和正氏に、Amazonを使ったメーカーならではの戦略と今後について伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

※カゴメ社及びSepteni Japan社のクライアント企業に関する言及時の個別社名・サービス表記は、一部を除き敬称略とする。

食品業界で年々高まるAmazonの存在感

― 自己紹介をお願いします。

冨田氏 私は東京支社の営業部門において、主にEコマースを所管する課所に所属し、Amazonを担当しております。ここで扱っているものは一般消費者向けの食品・飲料から、業務用までフルラインナップです。Amazonは3人チームで担当しており、私はレトルト商品や調味料などの食品カテゴリーとセプテーニさんへ運用を委託しているAMS(Amazon マーケティングサービス )を担当しております。日々の業務としては、Amazonで販売されている自社商品の状況を確認したり、定期的な商談に向けた資料作成などを行っております。

リアルな店舗がなく、実際にお店に行かないということで、他の営業チームとは日々の活動が随分と異なっています。全てがウェブ上なので、PCのモニターと向き合っている時間が長いですね。笑

また、我々のチームでは、Amazon以外に、楽天やASKUL(アスクル)も担当しており、お客さんとの接点をつくるための広告も出稿していますが、これらの調整・振り返り等も各営業担当が行っています。

ちなみにEコマースに特化した営業部隊は我々のチームだけですが、一方で、自社通販サイトは、本社にあるまた別の部署が担当しています。

玉石氏 私はブランド広告本部に所属しています。部署全体としては、大手ナショナルクライアントさまのデジタルプロモーション全般を支援しており、私は主にメーカー様とのお取り組みが業務の中心になっています。

昨年中頃からAmazonに関する取り組み実績を順調に拡大してきたことから、社内で組織編成・プロジェクト化を行いました。

普段はお客様の元にお伺いしてお打ち合わせをしたり、Amazonにも頻繁にお伺いして、各お客様の最適な広告運用に関するディスカッションを日々行っています。

― Amazonへの注目度が高くなっていることについて、どうお考えですか。

冨田氏 まず、カゴメ社内での注目度ももちろん高まっています。しかし、AMSなどの広告を展開し販売を拡大しているという話になっても、具体的にどのようなことを行っているのか詳細を把握している人は限られているのが現状です。ただ、Amazonの仕組みについての質問は、社内からも多く受けるようになりました。他の営業チームはもちろん、最近では本社のスタッフからも、「Amazonでこういうことができないか」という相談を受けることも増えてきています。

Amazonがショールームに

― 実際にAmazonで売れる商品と実店舗の小売店で売れるものとは、異なりますか?

KAGOME 商品写真

冨田氏 売れ筋の上位については基本的に同じ傾向ですが、勿論Eコマースならではの売れ筋商品もあります。代表的な商品として、「野菜ジュース 糖質オフ200ml」が挙げられます。

こういった商品は、売り場スペースの制約があるリアル店舗では取り扱っていただけないことも多々ありますが、Amazonは豊富な品揃えでカバーしているので、お客様が検索して見つけてくださったり、Amazonのページ上で多くの情報を伝えることもできるので、「こんな商品があったんだ」と目に留めてもらえるシーンが多いと感じております。ちなみに、「野菜ジュース 糖質オフ200ml」については、Amazonでの売上がダントツNo.1です。

また、Amazonではケースで購入される方が多いので、200ml紙容器だと24本となり、リアル店舗で1本購入いただくことと比較すると、一度の購入単価も20倍以上になってきます。

ただ、Amazonに限れば、「Amazonパントリー」「Amazon Prime Now」「Amazonフレッシュ」などのサービスが拡充してきており、リアルの店舗に近い販売単位で購入しているお客様もいらっしゃるようです。

上記で触れた品揃えの拡充や広告プロモーション、各種サービスの拡大によって、当社内におけるAmazonの売上順位は年々上がってきており、存在感を増しています。

玉石氏 さまざまなメーカー様とお話をすると、「Amazonでの販売比率は年々増加傾向である」とみなさん口を揃えて言われます。商品カテゴリーによって早い・遅いはありますが、Amazonにおける販売比率の増加は全体に共通する傾向ですね。

また、Amazonでどう売られているか、どう評価されているかが、実際のGMSやオフライン店舗での販売に影響していることをメーカー様が感じ取られています。

Amazonで商品がしっかり売れていないと、消費者はAmazon上の評価を見て買わなくなってしまう、という懸念をお持ちです。

これらの理由から、Amazonへの取り組みに注力するケースがかなり多くなっています。

メーカー様の中には、量販店への提案においても「Amazonではこんなに売れています」というようなアピールの仕方をすることもあるようです。Amazonはオンラインのみならずオフラインのチャネルにも大きな影響を持ちつつあることを感じます。

― メーカーを業界別で見たとき、Amazonに対する依存率が大きいのはどの業界でしょうか?

玉石氏 まず、トイレタリーや酒類を含む飲料など、日用消費財のジャンルが挙げられます。また、家電製品やPC機器なども該当すると考えます。Amazonを熱心に使っているユーザーには、テック関係がお好きな方が多いので、このジャンルも高い比率で増加しているようです。

― Amazonが拡大する中で、リアルな店舗での売上が厳しいというお話や、意識されているということを現場で耳にされることがありますか。

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冨田氏 当社においても、Amazonを含めたEコマースでの売上が加速度的に成長しています。ですが、Eコマースが増えた分、リアル店舗の売上が減っているかというと、そうではないと考えています。

お客様の「買いたい」というモチベーションは、オンラインとオフラインではまた違うところにあると考えており、反対に、Amazonで見かけて気になった商品や、買って気に入った商品をリアル店舗で購入するというケースもあるでしょう。そこは、オンラインとオフラインのバランスを見て、お客様の用途に合わせた提案・売り場作りを行っていけばよいのではないかと考えています。

メディア化するAmazon

― Amazonを広告メディアとしてとらえる動きが業界の中で広まっていますが、どのようにお感じでしょうか。

玉石氏 Amazonを広告メディアとしてとらえる動きについては、今年から急速に活発化していると感じていますが、早期に準備を始めてきたメーカー様だと、昨年以前から組織や取り組み体制自体を大きく再編されてきています。

これは、他の運用型広告ではあまり見られない、AMSという広告メニューならではの特徴が関係していると考えます。

一般的な広告出稿は、広告宣伝部のような部署が担当しており、「広告費」から出稿いただくケースがほとんどですが、ことAMSについては、営業部が出稿を担当し、予算も「販促費」から捻出されるケースが多いです。

現在では、Amazonが広告メディアとして明確に認識されていく中、メーカー様内部で部署の壁を超えて組織再編されるなど、全社での取り組みとして体制を強化するメーカー様が増えてきていることを実感しています。

― カゴメさんがAMSを使い始めたのはいつ頃からですか?

冨田氏 AMSへ予算を投下し始めたのは2017年からです。Amazonを担当するチームに私が加わり2人体制になったことで、ようやく手を付けていけるようになりました。去年は自社で直接AMSに出稿していましたが、今年4月からセプテーニさんに運用を委託しております。AMSでの広告出稿の作業自体は簡単なのですが、出稿した結果をもとにPDCAを回すのが、素人には非常に難しかったです。キーワードや商品ごとのパフォーマンスを見ながら調整をすることは手間であり、どこの軸で判断し改善していけばいいのか、私たちにとっては非常に難しい課題でした。

― なぜセプテーニさんに依頼されたのでしょうか。

冨田氏 別の部署になりますが、自社通販サイトを担当するチームですでにセプテーニさんとお付き合いがあり、その担当者から紹介を受けたことがきっかけです。私たちの部署では、楽天やASKULなど他のプラットフォームへも広告を出稿していますが、代理店さんに運用をお願いすることしたのは、今回のAMSのケースが初めてです。

― Amazonでカゴメを検索すると、他のメーカーの商品広告が結果に表示されることもありますが、どのようにお感じでしたか?

冨田氏 やはり違和感がありましたね。例えば「カゴメ」と検索した際に競合の商品が上位に露出されている状況を見て、「このままでよいのか」という気持ちでした。多くのお客様は、スマホなら1スクロール目、PCなら1ページ目の上のほうしか見ませんから、そこで認識されないというリスクはずっと感じていました。

玉石氏 カゴメさんは、AMSに担当の方がついて基礎的な運用は行っていらっしゃいましたが、検証や新規キーワードの発掘など、もっとお手伝い出来ることがありそうだと感じていました。例えば、AMSでは、細かい入札マネジメントが必要になってくる部分があるのですが、当初、ROASの観点でより入札強化すべきキーワード、反対に抑制すべきキーワードなどが多分に残っている状態でした。ですから、私たちがサポートすることでもっと良い効果があげられると考えて、取り組みを始めました。

エージェンシーサポートで、PDCAを回せるように

― GoogleやYahoo!Japanのサーチ広告とくらべて、運用のしかたは全く異なるものですか。

玉石氏 異なります。AMSにおいて、他の広告と決定的に異なるのが、売り場の中で一つ一つのキーワードに対して、一つ一つの商品をマッチングさせるという考え方で、「このキーワードの時にはこの商品を出したほうがよい」という掛け合わせのマネジメントが必要になってきます。

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AMSの場合、広告商品としての仕様はシンプルである分、どのくらい手間をかけたかどうかという点が運用上成否の分かれ目につながります。具体的には、キャンペーン構造の作り込みや、中に入っているキーワードの状況を、いかに細かくウォッチングしながら日々のアクションを逐一とっていけるかということが重要です。

また、AmazonにはAmazon特有の広告配信の仕組みがあるため、その仕組みをどのくらい深く研究し施策に落とし込めたかどうかということも、広告効果に大きな差を生みます。

― セプテーニさんが運用することで、カゴメさんにはどのような変化が見られましたか。

冨田氏 先ほど触れたように、我々が自社内でAMSのアカウントを運用している時には、うまくPDCAを回せていませんでした。やろうと思っても方法がわからず、手間をかける時間もなかったのです。しかし、セプテーニさんにお願いしてからは、このPDCAの部分が非常にうまく回せるようになったと実感しています。始める前はレスポンスの速度やレポートの質などに不安がありましたが、密にやりとりしてくださるので、杞憂に終わりました。PDCAの基礎となるレポートも分かりやすくまとめてくださっているので、対策も考えやすくなりました。レポートはウィークリーでいただいており、「こういうことはできませんか」とご相談すると、すぐに返信してくださるので助かります。

Amazonを通してお客様に何を伝えるか?が重要

― 今後さらにAmazonでの売り上げを拡大していくうえで、どのようなことが必要だとお考えでしょうか。

冨田氏 当社にとってAmazonは大切な取引先であり、多くのお客様を抱える巨大なプラットフォームであると考えております。私たちが、Amazon内のウェブページを通じてお客様に何を伝えたいのかを考え抜くことが大切であり、カゴメの商品を使うとどんなメリットがあるのか、どのように生活が変わっていくのかを、Amazonという巨大なプラットフォームを上手に使って情報を発信していくことが重要ではないでしょうか。モノベースで考えていても情報はお客様にすんなり伝わっては行かないでしょうから、今後はお客様のライフスタイルに軸を置いて、当社の掲げる「日本の野菜不足を0に」というメッセージも、Amazonのお客様へ、上手に変換して伝えていきたいと思っています。

― セプテーニさんでは、広告主がAmazonを使って売り上げを伸ばしていくためには何が必要だと思いますか?

玉石氏 今、さまざまなメーカー様がAmazonに注目し、AMSの出稿を増やしていく動きが見られます。

AMSは、Amazonを訪れた購買フェーズに近いユーザーに広告を出すため、売り場外から連れてくる他の広告プロダクトと比べ、ベースの広告効果は上がりやすいという特徴があります。

そのため、広告効果のみを見て効率がいいから現状で十分、と言われるメーカー様も多いのですが、そうではなく、取り組みのKPIや評価などから大きく変えていく必要性も感じております。実際にAmazon以外にもリーチすべきユーザーは多くいます。そういったところからユーザーを連れてきて自社の顧客にしていくために、今後は販促の枠から一歩出て、広告の目線で様々なプロダクトをミックスした運用をしていく必要があるでしょう。

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ABOUT 玉石 和正

玉石 和正

Septeni Japan 株式会社
ブランド広告本部 コミュニケーション戦略部 マネージャー
2011年、セプテーニ入社。入社以来、オウンドメディア活用(SEO・アクセス解析)から広告クリエイティブの最適化、各種デジタル広告のアルゴリズム研究などに従事。2016年~2017年には、複数の業務インフラの開発・導入プロジェクトを管掌する。2017年10月、ブランド広告本部の立ち上げに参画し、デジタルにおける認知・販促キャンペーンの戦略設計を行う傍ら、Amazonにおけるマーケティング専門チームを発足し、広告運用ツールなどの商品開発・推進責任者を務める。