「インハウスとは主体性を持つこと」-トップマーケターが語るインハウスの本質

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ネットリサーチ企業のマクロミル本社で、2月20日、「インハウスのメリットとデメリットを考える」と題されたセミナーが開催された。

マーケティング及び広告関連業務を広告会社へと外注するのではなく、自社内で実施する「インハウス」をテーマとした本セミナーは、ExchangeWire Japanとマクロミルとが共同で開催。広告主の立場にある事業会社のマーケティング担当者約100名が参加した。

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冒頭、ExchangeWireJAPAN野下智之が、先行する米国でのインハウス事情を紹介。2018年時点で完全なインハウス化に踏み切っている企業は全体の2割弱であり、必ずしも広告会社への委託費の削減に留まらず、ROI測定やターゲティングの精緻化など多様な目的の下で推進されていると述べた。

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富士フイルム株式会社e戦略推進室マネージャーの一色昭典氏は、同社の子会社となるハウスエージェンシーと連動したインハウス化への取り組みを解説。広告クリエイティブの制作から運用業務までを外部の広告会社に委託した場合、①各施策の結果のみしか把握できないためにユーザー理解が十分にできない、②高速でのPDCAが回せない、などの課題が生じるという。

そこで同社では、ファーストパーティーデータを適切に管理した上で、これまで事業部ごとに異なっていた成果指標を統一することで全社を横断した組織的なマーケティング施策を行うインハウス化を断行。組織的な強化を図るため、各関係者が具体的な知見を記入する「ナレッジシート」を海外子会社含めて共有している。

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株式会社メルカリマーケティンググループ・シニアマーケティングスペシャリストの坂田博昭氏は、同じインハウスでも「広告運用の内製化」と「運用ノウハウの蓄積」は似て非なるものであるとして区別。最終的な目的となる事業成長とより密接に関連した後者に本格的に取り組むとなると、事業分析を行なうためのBIツールやデータベース言語であるSQLの利用法などを学ばなければならない。新たな学びを得るための時間を確保できないのであれば、インハウス化を推進する環境としては適していないとの考えを示した。坂田氏は、今でも分からないことがあれば、積極的に新卒社員を含む同僚へと質問を繰り返しているという。

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セミナーの後半では、株式会社マクロミル統合データプロダクト本部 デジタルマーケティング事業部斉藤司氏の司会進行による質疑応答を実施。参加者からは、インハウス組織体制の構築方法、各プラットフォームの特徴を踏まえた上での具体的な自社運用方法などについての質問が寄せられた。

登壇者が一致して伝えていたのは、インハウスにおいては、マーケティング担当者が主体性を持つことが何よりも重要であるということ。セミナー終了後も熱心な参加者が残り、各登壇者へと質問を投げかけていた。

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長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。