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フィジカルディスタンスで隔てられたコロナ後の世界で販売組織が生き残るには

対面で人と会うことを避けるため、ブランドがリード(見込み客)との接触にオンラインツールを使う傾向が続いており、販売組織は、その過程で収集されたデータを活用できるように販売プロセスを適応させる必要が生じてきている。AIとデータを駆使するコンサルティング企業Artefactでデータコンサルティングディレクターを務めるファビアン・クロ(Fabien Cros)氏(下の画像)が、販売組織が成功を収める方法を解説する。

 

 

2020年4月には、90か国で約39億人がロックダウンの影響を受けた。隔離策が緩和されつつある今も、リードジェネレーションの活動と販売パイプラインはかなり圧迫されている。全米旅行業協会によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の時点では、企業の幹部らは、仮に対面で会うことがなくなればビジネスの少なくとも28%が失われると見積もっていたという。

典型的な販売組織を見てみると、仮にセールスファネルの上部では大半がデジタル化されているとしても、ファネルの下部は今も対面によって動く部分が大きく、この状況は変わりそうにない。長期的なビジネス関係を維持するには直接会うことが欠かせないと考える人が95%いることが、さまざまな調査でわかっている。

2020年4月には、90か国で約39億人がロックダウンの影響を受けた。隔離策が緩和されつつある今も、リードジェネレーションの活動と販売パイプラインはかなり圧迫されている。全米旅行業協会によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の時点では、企業の幹部らは、仮に対面で会うことがなくなればビジネスの少なくとも28%が失われると見積もっていたという。

典型的な販売組織を見てみると、仮にセールスファネルの上部では大半がデジタル化されているとしても、ファネルの下部は今も対面によって動く部分が大きく、この状況は変わりそうにない。長期的なビジネス関係を維持するには直接会うことが欠かせないと考える人が95%いることが、さまざまな調査でわかっている。

GoogleやTwitterなど多くのFortune 500企業が、リモートワーク継続に傾いているのは、フィジカルディスタンス(物理的距離)を保ちつつ働く新しい時代のシグナルだ。であれば、大切なのは販売組織の自己改革はどうすれば可能かと問うことだ。直接会うことが禁じられ、在宅勤務が奨励されている今、販売組織は時代に対応し、人にエンゲージする必要がある。

 

 

データソリューション

解決法はデータ駆動型のアプローチだ。このロックダウンの間、ほとんどの販売組織がそれまで決定的に不足していたものを手に入れた。それがデータだ。Global Web Index(GWI)によると、オンラインのブラウジングが急増し、ディスカウント情報についてのミレニアル世代による検索が28%増加している。

米国のインターネット利用に関するニューヨークタイムズの分析を見ると、新型コロナウイルスのまん延に伴って人々の行動が大きく変化したことがわかる。仕事、遊び、コミュニケーションにおいて電子機器への依存が強まっており、Facebookだけでもトラフィックが27%増加した。

こうなると、販売組織の選択肢は2つだ。新型コロナウイルスの収束後に従来のモデルに戻すのか、それとも、パンデミック中に生成された膨大なデータを活用していくのか。進むべき道は後者だ。新しくなった世界では、B2BだろうとB2Cだろうと、データを重視して機械学習を意思決定に活用し、人間と機械が協力する組織になる必要がある。

 

そのために実行すべきことが3つある。順に解説しよう。

 

 

1.データに基づく製品/サービスのライフサイクルに関するセグメンテーション

販売組織は、現在入手できるデータの収集、蓄積、活用を進める必要がある。その第1歩はきめ細かい顧客セグメンテーションだ。ファーストパーティーデータ(CRMの情報と過去の購入履歴)と、セカンドパーティーおよびサードパーティーのデータをともに用い、行動、嗜好、ライフイベントといったインサイトでデータを強化する。きめ細かいセグメンテーションは、さまざまな潜在顧客クラスターをすべて割り出すためのものだ。

ただ、セグメンテーションは顧客にとどまらず、製品やサービスについても行わなければならない。製品のライフサイクルは、サプライチェーンにおいて重要なKPIであるにもかかわらず、販売組織で適切に使われていることはほとんどない。

サプライチェーンや研究開発、製造から得られた製品のライフサイクルのデータを追跡することで、販売組織は最近のすべての製品発売について最新情報を把握できるばかりか、情報の先取りすらも可能で、発売されたばかりの製品をロイヤルティの高い顧客に売り込めるようになる。

当社が最近B2Cの販売組織に対して行った重要な提案のひとつが、独立した製品セグメンテーションの構築だった。市場の反応、製品の発売、企業の目標に基づいて、製品のライフサイクルの各段階で販売戦略(メディア支出、販売パンフレットの仕様、販売対象、利用可能なプロモーションなど)をダイナミックに調整できるようにするのだ。

 

 

2. コンテンツファクトリーの構築

企業はきめ細かいセグメンテーション機能を開発する一方で、コンテンツの開発、調整、改善も早急に実施する必要がある。1つですべてに人に対応するランディングページなどもう存在しない。マーケターはあらゆる顧客セグメントと製品/サービスセグメントに対し、最適で最新のコンテンツを取りまとめる必要がある。

だからこそ「コンテンツファクトリー」、つまり、相手にあわせて適切なコンテンツをタイミングよく制作する大きな専門チームの構築を進める企業が増えている。真っ先に採り入れた企業の1つがCoca-Colaだった。同社が構築したその名も「Content Factory」という組織は、同社のさまざまなブランドと消費者をつなぐために考える人と動く人の、世界規模のネットワークだ。コンテンツが今も最重要であることを示すサクセスストーリーと言える。

コンテンツはコミュニケーションと広告の道具にすぎないと考えがちな販売組織が多い。数年前はそうだったが、今の販売はデジタル化されたアッパーファネルへの依存が大きくなっている。買いたいと思っている製品/サービスについての顧客の知識が豊富になってきており、適切なコンテンツと専門知識をロウワーファネルにもっと供給する必要がある。

パンデミックが収束した時、「コンテンツファクトリー」やそれに準じるものがないブランドは、潜在的な買い手に最も効果的なタイミングで適切な情報を受け取ってもらえず、需要が減少しコストが重視され、競争が激化したエコシステムの中で、時代に取り残されるかもしれない。


3.
デジタルセールス司令部の構築

セールス担当はこれまで、製品とサービスについてある程度わかっていればよかった。しかし、今は深い専門知識が必要だ。

デジタルセールスの司令部は、企業のプロスペクト、リード、リピート客に関する重要な情報を提供する。売れる可能性がいちばん高い製品やサービス、顧客との最新のやりとり、購入履歴など、セグメンテーション段階で機械学習アルゴリズムが集めたあらゆるインサイトを提示することになる。また、コンテンツファクトリーの豊富なライブラリーを基に、特定のリードに対する売り込み方とその理由をアドバイスする。

たとえば当社では、B2Bのテレコム関連のクライアントについて、主要な製品ページに、ページのどこまでスクロールされたのかを示す「Scroll Depth Index」を実装し、実際の閲覧行動に基づいて、特定のリードに売り込むべき製品がどれかすぐにわかるようにした。さらに、この指標とサイト上の行動データを組み合わせて、リードの購買傾向を予測することもできた。

これにより、物理的なタッチポイントについてはウォームリード(購買意欲の高いリード)を優先し、コールドリード(購買意欲の低いリード)はアッパーファネルに戻してさらに提供コンテンツを増やすようにできた。結果、リードコンバージョン率が平均2~3%になり、デジタルROIが40%増加するなど、Boston Consulting Group(BCG)に匹敵する成果を上げた。

新型コロナウイルスの影響により、セールス担当がプロスペクトやリードに直接会えない状態は続いており、今後数か月、デジタルセールス司令部によるオンラインコミュニケーションの改善とコンテクスチュアライゼーション(状況に合わせた情報提供)には、とても大きな可能性がある。

この間、多くの販売組織のプロスペクトは減少し、コストに敏感になっている。製品/サービスと顧客のセグメンテーションを構築しつつ、データを重視して機械学習を意思決定に活用するモデルに方針転換することが極めて重要だ。加えて、インサイトに富み、膨大なデータを擁するデジタルセンターの人員を強化しよう。McKinseyによると、率先してデジタル化を進めているB2B企業でこのアプローチを取り入れている企業は概ね、同種の企業と比べて売上が5倍になっているという。これだけでも、あらゆる販売組織がこの施策に取り組むべきだと納得できるはずだ。

ABOUT ExchangeWire.com / Supported by CARTA HOLDINGS

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS
2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。