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2021年予測:デジタルトランスフォーメーションとオートメーション

デジタル化は何ら新しいものではなく、2020年になるまで緩やかな進化の過程をたどっていた。だが、企業は前代未聞の状況への対応を余儀なくされ、従来型チャネルからデジタル化および自動化されたチャネルへの移行が急速に加速した。2021年を予測する連載の最新記事では、業界関係者6名に取材し、今年も引き続きアドテクに変化をもたらすであろうデジタルトランスフォーメーションと自動化について尋ねた。

 

ブランドは2020年の進展を足がかりに新たなデジタル機能を採用

2021年はデジタルトランスフォーメーション(DX)がますます加速します。多くの場合、パンデミック中に実現したDXの進展がその土台となる可能性が高いでしょう。さまざまな業界で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに、多くの主要なDX目標が達成に向けて一気に前進しました。

そうした目標には、eコマースの成長、データの取得と活用、(データを活用した)測定の強化、アジリティ(機敏性)と働き方の向上、インハウス機能の改善を通じた内製化などが含まれます。多くのブランドは逆境にあっても、長期的なDX目標をほんの数カ月で達成し、結果的には以前よりも大きく飛躍した状態で2021年を迎えています。

こうした期間を通じてブランドが実現した進展と獲得した能力により、2021年は業界にとってエキサイティングな1年になるでしょう。ブランドはサプライチェーンへの依存を深め、新たな能力を活かして、エージェンシーやテクノロジー、測定パートナーとの関係を進化させる方向を目指すでしょう。

いずれにせよ、ブランドは以前にも増して、パートナーに対し(戦略的かつ運営的に)自社のニーズに適切に対応することや価値を生み出す方法について、一層の柔軟性と透明性の強化を期待するようになります。エージェンシーの場合、それはインハウス化やハイブリッドモデルのさらなる拡充という形で顕在化します。

一方、技術パートナーや測定パートナーの場合は、高度にカスタマイズされ、より社内機能と統合できるソリューションの提供が求められるでしょう。組織のDX計画を加速させ、依存ではなく実益につながるソリューションを提供できる企業が、2021年に成功することは明らかです。

メディアセンス メディアパートナー、ライアン・カンギサール(Ryan Kangisser)氏

 

AIで強化されたベリフィケーション(検証)システムが主流となり、透明性の向上に貢献

マーケターは2021年の厳しい景気見通しに備えて計画を立てています。そして今後、マーケターにとってかつてないほど重要になるのが、購入や入札するメディアの品質管理の強化により、すべてのインプレッションを無駄にしないことです。

2021年にはパフォーマンスマーケティングと効率性改善に向かう変化が一層進むでしょう。技術の進歩により、透明性と測定精度が向上したデジタルマーケティングのエコシステムに道が開け、キャンペーンが適切なオーディエンスと確実に結びつくようになります。アドベリフィケーションを活用して、キャンペーンをフラウド(不正)から守り、ビューアブルでブランドセーフティな状態に保つことは、今や必須の条件となりました。

2021年にマーケターが測定技術を活用して注力するテーマは、広告費の無駄の削減、キャンペーンによるビジネスインパクトの測定、消費者エンゲージメントの向上です。それが特に当てはまるのは、コネクテッドTVやOTT、ソーシャルメディアなどのプラットフォームで、広告主はそうした環境におけるアドベリフィケーションのさらなる向上を求めています。

AI(人工知能)や機械学習で強化されたアドベリフィケーションの先進ソリューションが主流になります。こうしたポジティブな進展は、広告エコシステムのあらゆるステークホルダーに恩恵をもたらします。パブリッシャーはコンテンツをマネタイズして売上を伸ばせるようになり、エージェンシーはより効果的で効率的な戦略を打ち出せるようになり、ブランドは自社のキャンペーンが消費者に与えたインパクトを把握できるようになるでしょう。

インテグラル・アド・サイエンス CMO、トニー・マーロウ(Tony Marlow)氏

 

デジタルへの投資が引き続き成長を主導

市場が2021年にかけて回復するなか、マーケターが注力を迫られるのは、顧客との一対一の関係を育むことと、パーソナルな体験を大規模に提供することです。繁華街のシャッターが閉ざされていたあいだに、デジタルへの投資は飛躍的に伸びており、ロックダウン解除後も引き続き成長の原動力になるでしょう。

2021年に明らかになるのは、ポストコロナ時代を生き抜き、繁栄することができる顧客にフォーカスした組織作りのため、業務運用の変革も必要になるということです。この組織改革の大きさは、通常より多くのサポートを必要とするでしょう。そしてそうしたサポートは、成長を牽引する戦略を迅速に実行できるエージェンシーから提供されるでしょう。結果として生じる変革は、顧客を中心とした操作性とそのための継続的な再設定に十分適応する必要があり、スピードとインパクトと効率性を高めた価値を提供するために、技術分野で繰り返される飛躍的な進歩を活用する必要があるのです。

企業が変革に乗り出すのは決して容易なことではありませんが、そうしたブランドはやがて、顧客に対し最も重要なタッチポイントやモーメントへの投資提案に備える力を高めていくでしょう。誰もが出店しているオンライン市場で抜きんでることを目指すブランドにとって、カスタマーエクスペリエンスマネジメントは差別化の切り札になるはずです。

マークル英国法人 CEO、アン・スタッグ(Anne Stagg)氏

 

PPCの自動化とAI2021年の主役に

デジタルのマーケティングおよび広告に関する2021年のトレンド予測は多数ありますが、PPC(Click課金型広告)の自動化とAIが引き続き主役の座を占めるでしょう。メディアエージェンシーによる自動化技術への移行を予想していますが、その主な原動力となるのは、キャンペーンの自動的な効率化を支援する機械学習とAIです。

AIは2021年に基本仕様となる可能性が高く、手作業での入札はごく近い将来、完全消滅するという予想も多数あります。クライアントの戦略を導き適切なキャンペーンを策定する力を高める目的で、エージェンシーがPPCキャンペーンで比較的時間のかかる作業を減らすのに、新たな自動化技術が役立つでしょう。2021年にPPCの自動化を活用できないブランドは、それを実行する競合他社に後れを取る可能性が高くなります。

tmwi グループコマーシャルディレクター、サイモン・バーンズ(Simon Barnes)氏

 

AIで強化されたコンテクスチュアルターゲティングがターゲティングの問題を解決

2021年はアドテク業界の進化における転換の年になります。市場は現在、ユーザー識別情報にアクセスしないデジタル広告の世界、つまりCookieが廃止されiOS上のIDFA(広告識別子)もない時代へと突き進んでいます。

当社の予想は、コンテクスチュアルターゲティングの方向に向かって劇的な変化が起きるというものです。ブランドや広告主は、大規模かつ最適なタイミングで、適切なコンテンツを伴ってユーザーへのターゲティングを実施できるようになり、長年のプライバシー問題を解決するでしょう。AIで強化されたコンテクスチュアルターゲティングの活用がまもなく本格化し、「イン・ザ・モーメント(欲求の瞬間)」への精度を高めた広告が見られるようになります。コネクテッドTVのユーザーには、視聴中のコンテンツに合わせた広告が配信されることになります。たとえば、誰かが旅客機に搭乗するシーンの後で、旅行のCMが流れるといったことが考えられます。

TappX CEO、ダニエル・レイナ(Daniel Reina)氏

 

デジタル特化企業への投資増加が業界勢力図を変える可能性

長引くパンデミックによる消費意欲と広告の取り組みへの影響が続いたにもかかわらず、成長を達成した分野は多数存在します。とりわけ目立つのは、ゲームや動画、コネクテッドTV/OTT、チャット/コミュニケーションアプリなどです。

2020年に大きく業績を伸ばしたのは主にデジタルテクノロジーとオンラインサービスに特化した企業であり、それゆえ投資家が、デジタル主導の世界への急転換に乗じようとするなか、アドテク系企業のIPOには驚異的な評価額がつく例が散見されました。こうした状況が2021年の私たちの業界にどう影響していくのかは興味深いところです。

スマート 北欧カントリーマネージャー、ピエール・クック=アンダーソン(Pierce Cook-Anderson)氏

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにサイバー・コミュニケーションズが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)
日本のインターネット広告誕生の1996年に設立。以来、電通グループのデジタル広告関連事業者として、デジタルマーケティング全般のサービスを展開、数百の媒体社・広告会社との取引と共に、業界を牽引し、最先端のマーケティングサービスを通じて、クライアントと ユーザーのコミュニケーションを実現している。