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越境ECサイトの立ち上げを成功させる鍵とは?

「越境EC」への注目が高まっています。越境ECとは、「国外に拠点を持つことなく、国内から海外へオンラインで商品を販売するeコマース」のことです。

 

実際、経済産業省の調査でも、越境EC市場の伸びが明らかになっています。しかし、まだ参入していない企業も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、これから越境ECを始めようとしている人に向けて、デジタルマーケティング観点で越境ECの現状と「越境ECサイト立ち上げ成功の鍵」をご紹介します。

 

越境ECの現状

越境ECの市場が伸びている

「越境EC」への注目が高まっており市場規模が拡大しています。経済産業省のデータによると、越境ECの購入額は令和2年、日本・米国・中国の3ヶ国間で増加しています。

 

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました | 経済産業省 より

 

よく使われるサービスの一つがShopify

越境ECでよく使われるサービスの一つがShopifyです。

 

Shopify社は、米国ではAmazon、eBayに次ぐ第3位のオンライン小売業者。175か国170万ショップ以上に導入されるまで成長を遂げたカナダの企業です。

参考リンク1

 

海外でECを運営するサイトはグローバル・スタンダードの視点での運営が必要なことが、Shopifyを選ぶ企業の共通の理由です。

 

Shopifyが高い評価を受ける理由としては、テンプレートが豊富であること、販売や在庫管理の利便性、充実した決済機能、サイトの使い勝手の良さなどがあると思われます。

 

ハードルが高いとイメージされがちな越境ECですが、こういったツールを使うことで手間を省くことができます。しかし、越境ECを成功させるためには他にも注意すべき鍵となるポイントがあります。

 

越境EC成功の鍵1. 現地に対応したコピーとクリエイティブ

越境ECでは「海外の人々に好まれるようなサイト」を構築することが、売上を伸ばしていく鍵となります。言うまでもなく、越境ECでは国外の人が対象となるためです。

 

たとえば、日本のウェブサイトのデザインはアメリカ人にはウケが悪く、対策が必要です(「アメリカ人が日本のウェブサイトをどう思うか」を検索すると、大半が「なぜ時代遅れなのか?」「なぜ違うのか?」「乱雑」という結果が上位表示されます)。

 

デザインはエンゲージメントや売上にも影響するので、サイト開設の段階で対策しておくのがいいでしょう。前述のShopifyであればおしゃれなテンプレートが豊富に用意されています。

 

他にも、現地の人にも伝わる、共感される内容でサイトを制作することも重要です。というのも、海外の消費者は熟考よりも直観に頼る傾向があるなど、考え方や購入プロセスが異なるためです(下記記事参照)。重要なコピー作成は機械翻訳や日本人の翻訳ではなく、現地のコピーライターに依頼したほうがいいでしょう。

 

海外の消費者に売る上で、ターゲットの詳細や訴求ポイントが日本国内の消費者とは大きく異なる事が前提となります。サイトで利用するコピーは「海外のターゲットとなる消費者」でとどまることなく、購入者のペルソナに合わせて改善していく必要があります。

 

参考:Research: How Customers Decide Whether to Buy from Your Website | Harvard Business Review

 

越境EC成功の鍵2.機能的なサイト構築

越境ECサイトに限らず、データを活用できる機能的なサイトを構築し、パフォーマンスを上げることも重要です。

 

データフィードを正しく設定する

データフィードを使うと効果的な集客が可能になります。Googleショッピング・Instagramショッピングなど有力な活用先も増えているため、正しいデータフィード設定は必須となっています。

 

  • データフィードは、各媒体ごとに掲載されている商品情報を、自動的に最新のものへ更新してくれる一連の仕組みです。
  • データフィードは広告出稿・運用にて活用されるケースが多くあります。(中略)特にGoogleショッピング広告はユーザーがどのような商品を検索しているかに応じて、自動的に表示する商品をカスタマイズして表示する広告です。
  • ビジネス成長に寄与するデータフィード活用のすすめ | 株式会社プリンシプル より

 

顧客の視点で考えると、データフィードを活用し任意のチャネルから購入可能とすることは、UXの向上に大きく寄与するでしょう。また、データフィードは活躍の幅が広く、広告以外にも活用できます。

 

Shopifyと広告との連携に利用するデータフィードには、さまざまな商品属性情報が必要とされます。誤った属性情報や、売切れ商品を広告に連携するなどのミスが起きない運用が、ECサイトの立ち上げを含む運用の成果に影響します。

 

 

3rdパーティーツールやアプリと連携する

機能的なサイト構築のためには、3rdパーティーツールやアプリと連携することも重要です。

 

というのも、販路のデジタル化・多様化により、商品ごとのパフォーマンス管理(在庫管理等)が複雑になっており、それに伴い業務量も増加しているからです。先ほど紹介した「データフィードの活用」も商品管理を一元化するための仕組みではありますが、膨大な商品一つ一つのデータを管理するのはやはり大変です。

 

データフィードの管理では商品データの変換・送信・自動更新などの対応が必要ですが、例えば「dfplus io」のようなツールを導入すれば管理の手間を減らすことができます。

 

  • dfplus io は2021年6月、日本製データフィード管理ツールとしては初めて Shopifyとのデータ連携を開始し、「Googleショッピング」「Instagramショッピング」等の手軽なスタート、より成果の出やすい商品データへの最適化、商品データ活用の一元管理のための機能を提供しています。
  • データフィード管理ツール「dfplus.io」、 Shopifyストアの集客を支援するため 業界最安値※の月額1万円プランを新設|株式会社フィードフォースのプレスリリース より

 

3rdパーティーツールとの連携ではその他、ECサイトの運営をサポートする現地スタッフがいる場合、日本人には馴染みのない、現地で利用される主要なツールを利用する可能性があります。例えば、ツール間の連携によく活用される、ZapierやIntegromatなどのRPAツールがあります。世界で活躍するメンバーがスムーズに運用する上でツールがうまく連携する環境は、オペレーションにとって良い事でしょう。

 

越境EC成功の鍵3. 集客も忘れずに

サイトの立ち上げで力尽きてしまい、集客が手薄にならないようにしましょう。いくら立派なサイトでも訪問者がいなければ売上は上がりません。以下は集客のためのアイデアの一例です。

 

集客の例①:ローンチ前にニュースレター・メルマガで集客

Statistaによると、2020年のメールユーザー数は40億人に達し、2025年には46億人にまで増加すると言われています。

参考リンク

 

ブランドや商品の発見にSNSは重要な媒体ですが、特にアメリカ・海外では、消費者とのコミュニケーション上、2022年現在でもメールは主要なチャネルです。

 

ストアのローンチ前でもメールなどのPRで認知をあげ、顧客のナーチャリングを試みることが可能です。集客コストを下げる事にもつながるでしょう。

 

SNSがどんなに普及しても、メールはマーケティング施策の中で最も価値のあるツールの1つであることに変わりはありません。

 

集客の例②:無料の集客施策例

SEO対策、コンテンツマーケティング、SNS運用など

 

ウェブサイトは、SNSに次いで、マーケティングで使用される2番目のチャネルです。広告の単価や集客コストが上がるなか、長期的に自然検索から集客をする施策はマーケティング戦略を描く上でとても重要です。

 

SEOでの集客以外にECサイトへの集客を促進する媒体として、PinterestでのコンテンツキュレーションやYouTubeへの動画投稿も効果的なコンテンツマーケティング施策です。

 

集客の例③:広告からの集客

海外では、日本ではあまり採用されていない広告チャネルがたくさんあります。

 

リスティング広告、ディスプレイ広告、動画広告、SNS広告など、お馴染みの集客メディア以外にも検討する余地があります。

 

アメリカの場合、その代表的なチャネルがCTV/OTT(Connected TV / Ovet The Top)やポッドキャスト広告です。

 

ここ数年でケーブルテレビからオンラインストリーミングサービスに切り替えるアメリカ人が増えており、CTVの広告費は2021年の約110億ドルから2024年には約190億ドルに成長すると予想されています。参考リンク

 

ポッドキャストは、アメリカ人の二人に一人が聞いた事があるとされていて、アメリカ人に浸透している媒体です。それに、ポッドキャストの視聴者総数は、年平均成長率20%で増加しています。

 

他のチャネルと違い、ポッドキャストはエンゲージメントがかなり高く、80% のリスナーが各ポッドキャストのエピソードをほとんど最後まで聴いているとされています。

 

全体として、ポッドキャスト広告に対する一般的な受容性は肯定的であり、視聴者はそれを魅力的で好感が持て、関連性があり、記憶に残るものと見なす傾向があります。アメリカへの越境ECをする上で、ブランドや商品の認知を上げるのに最適なチャネルの一つと言えるでしょう。

 

最後に

この記事では、越境ECの現状と越境ECサイト立ち上げ成功のためのポイントを3つご紹介しました。

 

  • コピーとクリエイティブを現地に対応させる
  • 機能的なサイトを構築する
  • 集客も忘れずに

 

海外で売るには、優れた商品があればいいというわけではありません。 売れるECストアを立ち上げるには多くの作業が必要であり、ブランドを発見して、認知してもらうためには、効果的に、継続的な改善をしながら運用することを心がけましょう。

 

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ABOUT Kris Irizawa

Kris Irizawa

プリンシプルアメリカ ディレクター
Logitechなどのシリコンバレー・スタートアップ企業で9年間マーケティング解析を経験。プリンシプルアメリカの解析ディレクターとしてLA在住。 【実績】 シリコンバレーのスタートアップ、大手デジタルデバイスメーカーのグローバルEC事業のサイト解析。BtoB SaaS、FinTechのスタートアップのBtoBマーケティング施策に関わるツール導入や解析業務に携わる。