×

広告とプログラマティック:将来の展望

今回のExchangeWireとのQ&Aでは、TPAデジタル(旧プログラマティック・アドバイザリー)の創業者でCEOのウェイン・ブロッドウェル(Wayne Blodwell)氏と、英国責任者のダン・ラーデン(Dan Larden)氏が、リブランドに至った決断と、広告に対するプログラマティックの今後の影響について語ってくれた。

 

TPAデジタルに社名変更した際、「プログラマティック」という言葉をなくした主な理由は何ですか?

 

TPAデジタル 創業者兼CEO、ウェイン・ブロッドウェル氏

ブロッドウェル氏:とてもシンプルなことでした。「プログラマティック」という言葉が、もはや私たちが行っていることを正確に反映しなくなっていたのです。創業当初、広告主のある特定のプログラマティック課題を解決するため、この領域に関わることになりました。しかし時間が経つにつれて、「テレビやソーシャルでも同様のことができますか?」と繰り返し質問されるようになりました。そして、当然ながら、その答えはほぼいつもイエスでした。

 

言うまでもないかと思いますが、広告主は、以前よりはるかに多くの意思決定を求められているにも関わらず、大抵の場合、戦略的かつ適切に決定するための環境を十分に確保できていないのです。TPAデジタルは、型にはまった製品やサービスではなく、専門性に立脚する存在であり続けることで、市場で最も正確なアドバイスを提供し、偏りのない助言で広告主の力になるというミッションに取り組んでいます。

 

もう一点申し上げたいのは、この社名変更が、私たちのコアビジネスの転換ではなく、むしろ行っていることを正確に反映するためのアップデートだということです。私たちは、事業領域を拡大しながらも、広告主に画期的な結果を引き続き提供しようと尽力しています。

 

同様に、教育サービスもTPAアカデミーにリブランドしましたが、その理由は何でしょうか。また、進化するデジタルマーケティング業界において、マーケターが習得すべき主要なトレーニングは何でしょう?

 

ラーデン氏:名称はアップデートしましたが、当社のオンライン学習ポータルのミッションは変わりません。プログラマティックエコシステムをシンプルにして、その学習やインスピレーションを支援するというものです。これまでにブランド、パブリッシャー、エージェンシーから1500人が、私たちのプログラマティック基礎コースを受講しています。これは、プログラマティックとは何か、どんな仕組みかなどについての、偏見のないトレーニングと教育に、今なお大きな需要があることを示しています。

 

2022年は、識別子(ID)とサプライパス最適化(SPO)に関する基礎コースを追加することに注力しています。これらはブランドからよく質問される2大トピックであり、2022年には当社にとっても大きな焦点になると見込んでいるからです。

 

ブランド各社は、プログラマティックを広範なデジタルサービスにどう応用すれば良いですか。あるいはデジタルサービスをプログラマティックに適用するのも同様ですか?

 

TPAデジタル 英国責任者、ダン・ラーデン氏

ラーデン氏:プログラマティック広告は、広告業界の状況を完全に変えました。この変化のすべてが良いものだったわけではありませんが、最近のデジタルメディア実務者に根付いた原則が何かは、ブランド各社との会話でも明らかです。

 

 

 

 

具体的には、データに基づくマーケティング施策の改善、ターゲティング戦術やクリエイティブ戦術の革新、メディア投資のより科学的な測定と評価、そしてテストして学習するという思考法の浸透などが挙げられます。これらの原則は定着しており、この先も、私たちがクライアントと共にすべてのデジタルチャネルで引き続き推進していくものです。

 

バイイング手法としてのプログラマティックの将来はどうなりますか。サードパーティCookieが廃止された後、プログラマティックはどう進化するのでしょうか?

 

ブロッドウェル氏:プログラマティックは、有力な広告バイイング手法として、その存在感をますます強めていくでしょう。なぜならテクノロジーを介して売買される広告はすべてプログラマティックである、というのが私たちの見方だからです。一般的には、OpenRTBによるバイイングや、オープンなDSPを介したバイイングに分類されることが多いですが、これはレガシーな考え方です。プログラマティックは、広告におけるテクノロジー革命に常に関わってきました。また、英語の辞書で「プログラマティック」は、「計画に従って実行される」と定義されています。残念なことに、いつの間にかプログラマティックは、コンプライアンス違反のデータ業務や不透明なサプライチェーン、アドフラウドなどと同一視されるようになってしまいました。これらは、テクノロジーの誤った使用から生まれたものであり、テクノロジー自体の問題ではありません。

 

「プログラマティック」という言葉が人々を苛立たせるというのは馬鹿げた話です。またそれを検討するための会議や議論に膨大な時間を費やしているというもそうです。現実には、広告の大半はすでにこの方法で売買されており、だからこそ、新興のクリエイターやブランドがプログラマティック・ファーストの考え方で頭角を現してきているのです。プログラマティックを最大限に活用できるものこそが、大きな成果を上げられるのです。

ABOUT ExchangeWire.com / Supported by CARTA HOLDINGS

ExchangeWire.com / Supported by CCI

本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS
2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。