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AnyMind Groupが、インフルエンサーマーケティングで目指すこと[インタビュー]

 

AnyMind Groupは、インフルエンサーマーケティングプラットフォームAnyTagにおいて、Instagramのリール分析機能の提供を開始した。

同社プロダクトAnyTagについて、および今回のリール分析機能の提供開始の背景、これによりブランドが実現可能となることなどについて、同社Head of D2C & EC Enablement / AnyChat 遠藤 舞氏(写真 左)、Product Manager of Product Development 村上 恵里花氏(写真 右)に、お話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

 

 

-自己紹介をお願いいたします

遠藤氏:AnyMindの遠藤と申します。Head of D2C & EC Enablement / AnyChatとして、D2Cブランドを展開されている事業者様に対して、インフルエンサーやチャットコマースなど、ECに関するあらゆるソリューションを提供する事業部に属しています。そこで村上とともに、事業方針を決めて、そこに対してインフルエンサーマーケティングでどのような機能を作っていくのか、チャットコマースに関してはどのようなプロダクト開発をするのかという部分 をプロダクトチームと連携しながら進める仕事をしています。

村上氏:現在AnyTagのプロダクト開発を担当している村上と申します。主に、ビジネスサイドのリクエストを受けて、デザイナーやエンジニアと連携をしながらプロダクトの開発を行っています。

 

―貴社サービスのAnyTagについてお聞かせください

遠藤氏:AnyTagは、インフルエンサーマーケティングに関するデータを統合して、効果の分析や改善を促すという、マーケティングキャンペーンの運用管理ツールであり、インフルエンサーマーケティング全体の自動化・効率化を図ることができるプラットフォームを目指しております。

インフルエンサー自体に関するデータや、 案件投稿後の効果を測定でき るようになっています。その情報を基に 次回どのよう なことをするかという提案までを含め 、プランニングからレポーティングまでを一気通貫でサポートできるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム です。

インフルエンサーのアカウントのみならず、企業・ ブランドのSNSアカウントにも対応しており、大きくはSNSマーケティングというところに対する効果分析ができ る よう になっています。

また ブランドは、AnyTagに登録しているインフルエンサー向けにキャンペーンの公募をすることが可能であり、契約後はプラットフォーム上でインフルエンサーと連携し、 キャンペーン 投稿からその効果測定までを完結 させることが可能です。

 

 

インフルエンサーマーケティングの成功に不可欠な、効果計測を実現

-AnyTagが対応しているインフルエンサーのチャネルについてお聞かせください

遠藤氏:Twitter、facebook/Instagram、TikTokについてカバーしていますが、各プラットフォームによりAPIを通して取得できる指標や情報量は異なります。

インフルエンサーマーケティングをしている企業・ブランドは、「有名な人を使えば効果が出る 」であったり、「なんとなくインフルエンサーを使えば効果が出る」ということを感覚的に認識されるようになってきました。ですが、そのことに対する最終的な結果はどうであったのか、何が起因してその結果に至ったのかということについては、従来国内で提供されてきたインフルエンサーマーケティングツールにおいては計測をすることができませんでした。

AnyTagは、これを解決するために作られたプラットフォームです。

 

-今回提供を開始した、リール分析機能について、背景と特長をお聞かせください

遠藤氏:現在市場では、効果が高いといわれている短尺動画への需要が高まっております。

実際にブランドがキャンペーンをする際には、リール動画投稿をしたいというリクエストを受けることが昨年から非常に増えています。

2022 年になり、Meta社さんが リールのエンゲージメント数(視聴数、いいねの数、コメント数)の公開を開始したことで、APIを通して数値を自動 取得できるようになりました。これを受けて、AnyTagにおいてもリール分析機能を追加しました。

インフルエンサーマーケティングという観点においては、当社が提供するようなツールはそもそも業界内で限られているというのが現状であり、 機能を実装しているツールは稀有であると認識しております。一方で、日本国内でも多く提供されているSNS分析ツールにおいては、リール分析の開発を進められていたり、リリースをされている他社様もいらっしゃるようです。

リールの分析ができ るようになったことにより、Instagram内で、リール投稿、フィード投稿、ストーリーズ投稿の各 施策にどのような効果があったのかについて、相関性をもって分析することが可能になりました。これは 、Instagramを使ったマーケティングをされているブランドにとっては大きなプラスのインパクトです。

 

 

Instagramで高まるリール人気

―Instagramでのプロモーションにおけるリールプロモーションの割合はどのくらいになりつつあるのでしょうか?

遠藤氏:予算の関係で言うと、リール投稿はストーリーズ投稿よりも1投稿当たりのコストが高くなりますが、既 に半分以上はリール投稿の案件になってきているという感覚があります 。

これまでは、フィード投稿が一番人気でした。そして予算が限られている場合にはストーリーズで、これらをセットにして展開するというのが主流でした。

しかし現在では、フィード投稿とリール投稿の 金額感はほぼ同じであるにも関わらず 、リール投稿 の方が より高い効果が得られることが分かっています 。

リール機能では、関連動画が自動的に再生されるため、フィード投稿に比べて 新しいユーザーに見てもらいやすいという特徴があります。

接触するユーザーが多く、効果が出やすいということから、人気が高まっているのだと思います 。ある大手広告主企業では、複数ある全てのブランドにおいて、リールを活用したプロモーションをされているというケースもあります 。

また実際、インフルエンサーマーケティングを長年実施されているナショナルクライアントはかなりリールに移行してきているという印象です。

 

-そのようなブランドは、リールをどのような目的で活用するのでしょうか?

遠藤氏:リールの特長としては、キャプションが見られるというよりも、動画が見られるため、最初は認知や興味関心を高めるというところにとどまります。ですが、同じフォーマットのTikTokにおいてはダイレクトレスポンス効果があるといわれるようになってきているように、リール投稿においても間接的な購買促進効果が高いといわれています。

 

 

高まるダイレクトレスポンス効果計測に対応へ

-AnyTagというプロダクトおよび、貴社インフルエンサーマーケティング事業において、今後の取り組みをお聞かせください。

村上氏:今インフルエンサーマーケティング領域のプラットフォームは、とりわけTikTokが伸びており、引き続き、YouTubeやInstagramなども根強いニーズがあり が、会社としての売上も同様の傾向があります。今後もTikTok領域での開発は 注力ポイントの一つ であると考えております。

遠藤氏:今後さらにAnyTagというプロダクトを普及させていくには、今回リリースしたリール分析機能のように、新しい媒体の効果測定機能を増やしていくということが確実に必要であると認識しています。またもう一つは、より正確なデータの蓄積をしていくことというのが挙げられます。

そして、広告主や広告代理店などのデマンド側のみならず、インフルエンサー側にもいかにAnyTagを知っていただくことができ るかというところが、プロダクトの今後の成長のカギとなってくると思っています。

インフルエンサーの方々に、AnyTagを知っていただき、そして直接登録をしていただくという動きも、引き続き進めていきたいと考えております。

またインフルエンサーマーケティングでは、近年ダイレクトレスポンス効果に対するニーズが高まっておいます。そこで、インフルエンサーによる投稿の測定結果のみに限らず、その投稿がECサイト上でどのような効果を及ぼしたのか、という点 を測定することが求められています。

当社ではこの領域 に対しても開発を進めて おり、ECマネジメントプラットフォームAnyX(エニー エックス)上で、順次提供機能を拡充していく予定です。

AnyTagとの連携・機能統合も進めているので 、インフルエンサーマーケティングの活動が実際のECモールや自社ECサイト上の売上 にどのような効果をもたらしているのかを可視化する機能を、年内にはリリースする予定です。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。