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サプライとデマンドの特徴から読み解く、Pangleの強さ[インタビュー]

ATT導入を機にした買収や合併、事業再編が進むアプリ広告市場において、その存在を急速に高めているPangle。どのような事業を展開しているのであろうか。

Pangleでサプライサイドの事業を統括する、杉田泰雅氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

 

-自己紹介をお願いします。
Pangleで、サプライサイドの責任者を務めています。2018年にTikTok for Business Japanに入社し、営業職として仕事をしていましたが、その後Pangle立ち上げのタイミングで日本人としては一人目でジョインしました。日本市場でリリース前の市場調査から関わり、今年で4年目になります。Pangleに参画する前は、M.T.BurnやLINE、といった大手広告プラットフォームの立上げに関わってまいりました。

 

リリースからわずか3年、事業規模は急拡大

-Pangleの事業紹介をお願いします。広告主向けのアドネットワークとしてはいかに差別化していますか。またアプリ開発者向けの収益化プラットフォームとしてはどのように差別化していますか。その他の広告プラットフォームとの違いについてお聞かせください。

Pangleは、TikTok for Businessのモバイルアプリ向けアドネットワークです。日本においては2019年春に一部サービスの提供を開始し、同年夏に正式にリリースしました。

TikTok for Businessに集まる膨大な広告ニーズに対応した配信サービスを提供し、あらゆるジャンルのアプリ開発者とパブリッシャーの収益化を実現します。

また広告主様には、Pangleのネットワークを通じて、世界の36の国と地域に向けた広告配信を可能にします。自動化された高いパフォーマンスキャンペーンは、より簡単に多くの市場の顧客にリーチでき、ビジネスの成長を加速させております。

- 日本市場進出の経緯についてお聞かせください。
2019年当時、日本はTikTok for Businessのフィジビリティを実践する市場です。
日本で成功することがグローバルで成功の第一歩だと思っている。そのため積極的に投資しております。
日本市場は、とても競争が厳しい環境にありますが、そうした市場で選ばれた意味は、日本を含む世界中の顧客から支持されることであると考えています。

日本のお客様は、求めるサービスクオリティが非常に高いことでも知られています。この高い要求を満たすことで、日本以外の地域でも私たちは価値を提供できるようになると考えています。

強力なデマンドサイドを持ち、高い収益をパブリッシャーに還元

-アプリ開発者向けの収益化プラットフォームとしてはどのように差別化していますか。
日本のSSPや海外の様々なメディエーションツールとの連携をしています。対応している広告フォーマットも多岐にわたり、リワード動画広告からインタースティシャル動画広告、バナー、ネイティブ、起動画面広告など様々で、グローバルにマネタイズすることが可能です。専任のスタッフがおり、様々なイレギュラーなシチュエーションにおいて対応、サポートすることが可能です。

また、業界でも有数のレコメンドシステムや広告テクノロジーを提供しているという自負もあります。

そしてアプリ開発者様にとっての大きなメリットは、TikTok for Businessのデマンドソースです。TikTok for BusinessはAppsFlyerのIndex ランキングでも上位常連に名前を連ねております。

アプリとウエブチャネルを問わず最適化配信を実現

-広告主向けのアドネットワークとしてはいかに差別化していますか。
まずは、アプリ面でウェブの広告主様のパフォーマンスが合うことが挙げることができます。
リワード動画広告やインタースティシャル動画広告など動画フォーマットを中心としたアドネットワークで革新的なことだったと考えています。
またPangleでは、 ローファネルのアプリ広告・ウェブ広告主の広告KPIを配信目的とした入り口を用意しております。

アプリプロモーションにおいては、アプリインストールをはじめ、様々なイベントに対する最適化をした配信をすることが可能です。

ウエブプロモーションにおいては、クリック、コンバージョンはもとよりバリュー最適化配信にも対応しています。また、自動化の機能も充実しています。キャンペーン予算の最適化機能やクリエイティブの最適化機能などを実装しており、出来るだけ広告運用者に作業負荷をかけないようにしています。運用においても自動化ツールが充実しているため、広告運用者はクリエイティビティな業務に集中していただくことが出来ます。

計測環境も充実しており、アプリプロモーションにおいては主要なMMPとの連携を図っており、SKAN iOS14.5以上においても正しく計測することが可能です。

ウエブプロモーションにおいては、TikTok Pixelタグの利用ができるようになっております。ウェブサイト上で発生しているPixel Eventを正しく補足することが出来、プラットフォームにコンバージョンをポストバックして正しく計測をしており、またオーディエンスの拡張をした広告配信につなげることも可能です。

-日本市場特有の課題としてどのようなことがあるとお考えでしょうか?
まずサプライサイドから見たとき、他国と比較すると日本のCPMは低いと考えております。そして開発リソースが限られていることや、新しいことに対しては比較的保守的なアプローチを選択する傾向がみられるということも、マーケットの成長という観点では課題といえるでしょう。

次に、デマンドサイドから見たときには、 Lowerファネルに重きを置いており、プロモーションの効果をウエブ上での購入、アプリでの購入などに限って評価する傾向が見られます。
海外の場合は、クリックなど中間指標で評価する会社が多いので、その違いも特徴的です。
我々としては、よりご期待に応えていく必要性を認識しております。

アプリとウエブ横断的、多種多様な広告主ポートフォリオ

-貴社の主な広告主層をお聞かせください。

広告主業種のポートフォリオは多様化が進んでおります。また、アプリとウエブそれぞれのプロモーションが半分ずつを占めていることが多いです。

サービスを提供開始した当初は、アプリインストール広告においてはゲームが中心でしたが、ライブ配信、ポイント活動、ニュースアプリ、マッチングアプリなどと今では多くの業種の広告主からの出稿をいただいております。

また、ウエブプロモーションにおいては、ECやファイナンス、人材、不動産などの商材を取り扱う広告主が多いのが現状です。

Googleとの連携により広告在庫をさらに強化
-Pangleでは動画リワード、インタースティシャル、プレイアブルなどの広告フォーマットを用意していると認識しております。この中で現在最も需要が大きいものと、今後の伸び代が大きいものは何でしょうか。
現状は、リワード動画広告の需要が最も多く、次にインタースティシャル広告です。今後伸び代が大きいのはバナーとネイティブフォーマットです。

Pangleは先般、Google Admobと公式連携をいたしました。このことが、バナーとネイティブ フォーマットが今後伸びるという大きな理由です。

また、同時に伸びることが予測されるのは、起動画面広告です。
これまでアプリの特性上、リワード動画広告やインタースティシャル動画広告を導入しづらかったお客様に、そうした広告と同等のCPMやFill Rateをお戻しできるフォーマットであると自負しております。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。