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楽天の消費行動分析データから明らかになるユーザー消費行動のすべて―セプテーニ×電通デジタル×楽天による、「RMP - Connect」を活用したマーケティング施策[インタビュー]

 

2022年9月、楽天グループ株式会社は運用型広告プラットフォーム「RMP - Connect」の提供を開始した。現在、本プラットフォームは、株式会社電通および株式会社電通デジタルが先行的に利用しているが、そこに株式会社セプテーニが参画することでさらに体制の強化を図っている。

 

1億以上(2022年12月時点)の楽天会員とそのIDに加え、オフラインサービスも充実している楽天。この膨大なデータを用いて、3社はどのような戦略を描いているのだろうか。

 

「RMP - Connect」を活用した施策から、オンライン・オフラインデータを組み合わせた今後の展望までを、楽天グループ株式会社 深田 淳氏(写真:左)、株式会社電通デジタル 望月  兆氏(写真:中央)、Septeni Japan株式会社 柏舘 悠平氏(写真:右)に話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)

(ライター:同 渡辺 龍)

(Sponsored by Septeni Japan)

 

 

続々とECへの参入は進んでいる

―自己紹介をお願いします

深田氏:楽天グループ株式会社の深田と申します。コマース&マーケティングカンパニー マーケティングソリューションズ事業の運用型広告課という部署に所属しており、楽天のアセットを用いた運用型広告プロダクトの提供、運用、企画開発などに携わっています。

 

望月氏:株式会社電通デジタルの望月と申します。コマース部門の楽天ルームという部署に所属していまして、楽天様向き合いという形で仕事をしています。楽天のデータ、アセットを活用した広告プランニング、「楽天市場」出店店舗様の支援等、楽天様に関わる施策全般の支援を行っています。

 

柏舘氏:Septeni Japan株式会社の柏舘と申します。EC/リテールメディア部に所属しています。単純な販促に限定しないECやリテールメディアの価値追求を目的として、業務にあたっております。

 

―ECやリテールメディアの直近の動向について、どのように捉えていますか

深田氏:「リテールメディア」は近年バズワードになっており、これから伸びてくるメディアだと思います。「楽天市場」はまさにEC領域のリテールメディアになります。一方で、オフラインの盛り上がりも見逃せません。オフラインとオンラインそれぞれの消費行動分析データに紐付く識別子をどのように繋げていくかはこの領域で非常に重要になるポイントの1つだと感じています。

 

望月氏:代理店の視点から見ると、自社でオフラインの販売店を持っている広告主様も「楽天市場」をはじめとしたECプラットフォームに多数参入しているという動きが見られます。そうすることで、自分たちが持つ購買者データだけでなく競合他社のデータも参考にできますし、さらに商品を買う人の傾向を横比較できるといった点も参入を後押ししている要因の1つだと思います。また、楽天様は「楽天スーパーSALE」などの大きいイベントがあるので、自社で大きな広告を打たなくても自然と人が集まってくる場になっています。そこで自分たちの売上最大化を目指していくという動きも見られます。

 

柏舘氏:日頃からお客様と向き合っている中でも、販促だけではなくフルファネルプランニングにECプラットフォームを活用したいという声や、ECプラットフォームのデータに興味を持つ声、販促からさらにアッパーに発信していきたいという声をお聞きします。その背景にはクッキー規制による消費行動分析データへの関心の高まりがあると考えています。また、EC自体の売り上げは堅調に伸びてきているものの、実態としては1つのプラットフォームに閉じた売り上げに頼りきりになってしまっているケースも多く見受けられます。

 

―そのような背景が3社での取り組みに繋がったのですね

柏舘氏:おっしゃる通りです。非常に魅力的な楽天エコシステム(楽天経済圏)の消費行動分析データの価値、電通デジタルさんの楽天様に関するプロモーション全般の経験や知見、さらに当社のオンライン販促領域でのプランニングや運用設計といった、三者の強みが掛け合わさることで、新しいシナジーが期待できると思いました。

 

―実際にはどのような取り組みが進んでいるのでしょうか

望月氏:運用型広告プラットフォームの「RMP - Connect」の活用が中心になります。現在、楽天・電通・電通デジタルの3社が先行して取り扱っているのですが、ここにセプテーニさんにも参画してもらうことで新しい切り口を探していこうというのが今回のプロジェクトになっています。

 

―楽天では「RMP - Display Ads」という商品を提供されていますが、それとは大きく異なるものなのでしょうか

深田氏:「RMP - Display Ads」は、基本的に広告のプランニングや運用、レポーティングは全て楽天の中で行うマネージドサービスです。楽天が蓄積するデータの特徴やその優位性は自分たちが蓄積するデータなのでよく把握しており、だからこそ私たち楽天が運用全般を担う意義は大きいと自負しております。一方で、代理店の持つアセットやノウハウを活かした運用を組み合わせることで、より多種多様な顧客のニーズに対してバリューが最大化できるのではという考えは常にありました。そこで「 RMP - Connect」ではターゲットセグメントの抽出・策定やオンライン・オフラインにおける効果検証レポートの管理を行うことができるダッシュボードを展開して、代理店に広告の運用全般を行っていただきます。現在は電通デジタルさんが入り込むことで、彼らの持つアセットやノウハウをうまく活かしていただき、より広告主様のニーズに沿ったマーケティング設計が可能となっています。今後はセプテーニさんも交えてどういった形での取り組みが最適かを練りながら進めている状況です。

 

 

「RMP - Connect」により、ユーザーの輪郭をさらに明確に

―「RMP - Connect」は具体的にどのように活用していくイメージなのでしょうか

望月氏:大きく2点あるのですが、まず1点目としては、広告接触者の態度変容可視化に活用します。2点目は、キャンペーンの参加率、獲得効率向上に活用していきます。

1点目については、「RMP - Connect」と楽天インサイトさんの調査データを掛け合わせた施策をイメージしています。調査データを用いることで広告配信後の態度変容をスコア化し、ポジティブな反応があったユーザーについては、次回施策でも引き続き広告のターゲットとして捉えます。同時に、類似ユーザーも炙り出しながら、次回施策ではそこに対しても広告を配信していくことで、単発では終わらせない施策を打っていきます。

2点目については、「RMP - Connect」と楽天ポイントを掛け合わせた施策をイメージしております。楽天の強みの1つである楽天ポイントをキャンペーンでのインセンティブに活用することで、見込み顧客のCVR向上を狙っていく施策です。

 

―そういった従来のポイント付与キャンペーンは、これまでも行われていたように思いますが

望月氏:まさにその点をお伝えしたいのですが、単にポイントをばら撒いてユーザーを引き付けるといった話ではありません。従来のポイントキャンペーンはユーザーに楽天ポイントを付与して終了だったため、PDCAが十分に回せていませんでした。

キャンペーンに参加いただき、商品やサービスと接点を持ってくださったユーザーの楽天IDに基づく消費行動分析データを、同意を得たかたちで分析し、次回の集客施策等に活用できる、という点がこの施策の柱になります。

具体的には、楽天IDをベースに楽天環境下で精緻なペルソナを描いたり、AIで拡張して類似の特徴をもつユーザーのID群を配信のターゲットにできたり、キャンペーンを単発で終わらせずに、継続的に効果を改善する施策に昇華させることが可能になります。

 

―セプテーニと電通デジタルにプランニングをお願いした場合の、強みはどこでしょうか

柏舘氏: これからさらに広告主様の活用が加速していくと思われる楽天領域において、Grとして先行して多くの実績や知見を溜めてきたことが最大の強みと考えております。当社とお取り組みを進行中のお客様であれば、数多あるメディアミックスの中から、お客様サービスやカテゴリ特徴に基づいた最適な楽天領域の活用方法をご提案できるものと自負しております。

 

望月氏:「RMP - Connect」では一気通貫での取り組みが可能になったことで、プランニングから広告運用に至るまで、当社の知見を発揮することができます。さらに今回セプテーニさんが加わることで、お互い持ち合わせていなかった知恵を出し合いながら、広告主様の課題に合わせた解決策を練っていきたいと考えています。

 

 

オンライン・オフライン双方の消費行動分析データの活用が鍵

―今後の展望やメッセージはありますか

柏舘氏:店舗集客のDXや、流通事業者の消費行動分析データの活用は今後さらに進んでいきます。広告主様が物を売っているかどうか、販促目的なのか宣伝目的なのかを問わず、ECを含めたリテールメディアは非常に重要な場の1つとして存在感を増してくると思います。クッキーレスやプライバシー保護規制の影響を受けるこの時代に、マーケティング手段の1つとして、顧客カテゴリを問わずにデファクトスタンダードとなることが大事だと考えています。

 

望月氏:フルファネルでのマーケティング支援を拡充させることは最重要事項です。一言にマーケティングと言っても、ユーザー毎にデータをどのように活用していくのかというプランニング力、また、得られたデータをどのように紐解くのかといった分析力は今後さらに求められてくる部分だと思っています。この2点に関しては、より幅を持たせてマーケティング支援を行っていきます。

 

深田氏:当社が蓄積している上質なデータを活用した広告・分析ソリューションを、広告主様に広くご利用いただきたいということが1つです。また、ECだけでなくオフラインの消費行動分析データも充実しているということも改めてお伝えしたいです。例えば「Rakuten Pasha」というスーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、毎日の街でのお買い物で「楽天ポイント」を獲得できるスマートフォン向けサービスもその一例です。これはレシートの投稿を通じて、ユーザーからオフラインでのお買い物の情報をご提供いただくものになっています。

現在、多くの方がオンライン・オフラインの垣根なく買い物をしている中で、どちらか一方のデータしか追っていないようでは、とたんにユーザーの消費行動における実態を見失ってしまいます。楽天エコシステムでは各種サービスのデータが楽天IDに基づいているため、それらを用い、オンライン・オフライン双方での消費行動分析データをシームレスに捕捉できるのは楽天の強みであると同時に、今後さらに強化させていきたい部分でもあります。

 

 

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https://ln.septeni.jp/XenG7B5

ABOUT 渡辺 龍

渡辺 龍

ExchangeWireJAPAN 編集担当 立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。 その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。