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電通グループ「世界の広告費成長率予測(2023~2025)」改定版を発表[ニュース]

電通グループは、世界58市場から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」の改定版を発表した。

本予測は、毎年2回を基本として実施しており、今回は2023年、2024年、2025年予測の更新となる。なお、2022年7月発表の予測から、将来予測および過去データにおいて、ロシア市場の数値を除外して算出している。

主な結果は次のとおり。

 

◆ 2023年の世界の広告費成長率は3.3%を予測、市場規模は初の100兆円超えへ

2023年の世界の広告費成長率予測は、先行き不透明な経済状況が及ぼす消費活動の減少により、前回2022年12月発表の予測から0.2pt下方修正の3.3%となったが、市場規模は7,279億米ドル(約102兆円※)と初の100兆円超えとなる見込み。また、世界の広告市場の成長を牽引するデジタル広告は7.8%増となり、総広告費に占める割合は2022年の55.8%からさらに増加し58.3%となる見通し。

地域別には、中東を除く、北米、西ヨーロッパ、中央および東ヨーロッパ、アジア・パシフィック(日本含む)、ラテンアメリカでプラス成長となり、市場規模のトップ5カ国は2022年と変わらず、米国、中国、日本、英国、ドイツとなる見通し。

 

◆ 2024年、2025年も順調な成長を予測、デジタル広告の割合は2025年に初の60%超へ

2024年の世界の広告市場は、UEFA欧州サッカー選手権や米国大統領選挙など、大型スポーツや社会的に注目されるイベント等の寄与により、4.7%増の7,625億米ドルを予測している。また、2025年にも3.8%増となる順調な成長で、市場規模は7,918億米ドルになる見通し。なお、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2024年に59.1%、2025年には60.3%と、初めて60%台に達すると予測。

 

<世界の総広告費の推移>

(注)将来予測及び過去データに遡及し、ロシア市場の数値を除外

◆ 2023年の世界の広告市場(媒体別)について

媒体別では、デジタル広告の中でも、リテールメディアが18.0%、コネクテッドTVが15.2%の高成長が見込まれるほか、プログラマティックも14.4%の成長を見込んでおり、これらは2023年のデジタル広告費の71.4%を占めると予測。
テレビ広告は、一時的にマイナス3.1%の成長となるが、2024年以降は再びプラス成長に戻る見通し。減少傾向にある新聞・雑誌はマイナス4.8%となる見通しだが、OOH(屋外/交通)、シネマ、オーディオは、それぞれ3.8%、2.1%、0.8%の成長を予測している。

 

◆2023年の日本の広告市場動向について

2023年の日本の広告市場は、前回2022年12月発表の予測から0.5pt下方修正の1.0%の成長を見込んでいる。ウクライナ情勢や欧米の金融機関の破綻など先行きが不透明な面があるものの、新型コロナウイルス対策の緩和に伴い、「交通・レジャー」や「外食・各種サービス」などサービス関連の広告需要が拡大するほか、市場成長を牽引するデジタル広告の更なる伸長もあり、市場全体としてはプラスの成長を予測。なお、2024年は3.2%、2025年は2.7%の成長を見込んでいる。

 

<地域別成長率予測>

<媒体別成長率予測>

 

【世界の広告費成長率予測の概要】
世界の広告費成長率予測は、2023年4月下旬までに、世界の58市場からデータを収集し、各市場における専門的な知見を取り入れて作成。対象媒体は、デジタル、テレビ、新聞・雑誌、OOH(屋外/交通)、オーディオ、シネマとなる。
広告費は、交渉によるディスカウントやエージェンシー・コミッションを差し引いた金額で、現地通貨建てで提供され、全世界および地域の数値は2023年4月の平均為替レートで米ドルに換算。本予測は年2回を基本として発表しており、実績値と最新の予測値はすべて恒常為替レートに基づき修正している。

<詳細レポート:「dentsu Global Ad Spend Forecasts May 2023」>
詳細レポートはこちら(URL)からダウンロード可能(英語のみ)。

※1米ドル=約140円で換算。

ABOUT 柏 海

柏 海

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。