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暗号を解く:オーディオ広告でつなぐZ世代のエンゲージメント

破壊的でありながらノスタルジックで、つながりをもちながらも孤独を深めているZ世代は、これまでで最もデジタルに敏感な世代だ。彼らが、ドゥームスクロール(ネガティブなニュースを追いかけ続けること)や、視覚的な刺激を忌避し始めたことで、今改めて、音声プラットフォームに注目が集まっている。では、ブランドはこのトレンドをどう活用できるだろうか?

Z世代は、デジタルにどっぷり浸かって育った最初の世代であり、それは彼らの消費習慣にも表れている。そして、調査結果は、オーディオマーケティングがROIにとても有効だと示唆している。

懐疑的な人は数字を見てみればいい。デジタルオーディオ広告は、2021年から71%の成長を遂げ、ますます力強さを増している。DLMDDとYouGovの調査を見れば、感覚的な共感が、Z世代などのデジタルネイティブ世代の消費にどれほど重要な役割をはたしているかわかる。若年成人の20%は、サウンドアイデンティティ(ジングルなど)を持つブランドに対して消費意欲が高く、35歳以下の5人に1人は、サウンドアイデンティティを持つブランドの製品を実際に購入する傾向が高い。また少なくとも、若年成人の3人に1人は、サウンドアイデンティティを持つブランドに好意的だ。

このことを念頭に置いて考えれば、ブランドにとってこの音声トレンドは、パンデミック後に特に顕著となった「広告疲れ」などの業界課題に対処する絶好の機会だといえるだろう。若い消費者が没入型の体験を求める中、音声は、ブランドがオーディエンスの注目を集め、彼らの記憶に残り、彼らとつながりを築くまたとない機会を提供する。オーディオプラットフォームの利用に時間や場所の制約はない。これは、広告世界に新たな道を開き、ますます混沌とするこのデジタル環境の中で、ブランドを際立たせるのに役立つだろう。

Z世代は生れつき、オーディオメディアの消費に慣れ親しんでおり、サウンドはZ世代のブランド認識に極めて重大な役割を果たしている。先進的なブランドは、全体的な戦略の基本要素にサウンドを組み入れる重要性を十分認識しており、長期的な成長の糧とするため、積極的な対応を行っている。

 

音楽の出番

インターネット後の世界に生まれたZ世代は、驚くほどモバイルネイティブな世代だ。この世代が最も活用しているデバイスはスマートフォンで、1日に約5.2時間がスマートフォンに費やされている。


Z世代とミレニアル世代の56%は、オーディオ体験が、視覚的な刺激からの逃避であることに同意している。

Z世代とモバイル広告の関係で重要なのは、彼らが膨大な数の音楽をストリーミング視聴していること、そしてそれが単なる娯楽の域を越えているということだ。デジタルに満ち溢れたこの社会と距離を置きたいこの世代にとって、音楽は生活に無くてはならないものだ。データによると、彼らはどんな気分になりたいかに応じて、視聴メディアを意図的に使い分けているという。そして驚くべきは、79%もの若者が、音楽は「正気を保つ」ために不可欠だ、と言っていることだ。

これは、デジタルマーケティング担当者が、文脈に即した広告を制作することで、若い世代と効果的にコミュニケーションできることを示唆している。Z世代は、パーソナライズされた体験や、趣味や嗜好に沿ったコンテンツを好む傾向にある。音楽広告を使えば、広告主は特定のジャンルやアーティストを選んでメッセージを送れる。あるいはターゲット層に刺さるプレイリストを作成して、そこに広告メッセージを掲出することもできる。

 

Z世代の、ポッドキャストへの情熱を取り込む

信頼性、透明性、情緒の安定性のためなど、Z世代は数多くの理由から、ポッドキャストにはまっている。スポティファイの調査レポート「Culture Nextレポート」によれば、 Z世代の50%が、テレビ、ラジオ、新聞よりも、ポッドキャストの方がメディアソースとして信頼度が高いと回答している。

ポッドキャスティングでは有名なホストが生まれており、彼らを中心として、熱狂的なファンがコミュニティを形成している。このような双方向性は、クリエイターとオーディエンスが効果的につながる手段となるだけでなく、リスナーとコンテンツとの関わり方を根本的に変え、より深く有意義な関係を築いている。


Z世代の63%は、ポッドキャストをメンタルヘルスのリソースと考えている。

Z世代が信憑性とストーリー性を高く評価しているのであれば、従来のコマーシャルスタイルのメッセージングだけに頼るのではなく、ポッドキャスト広告の中に、Z世代の価値観や関心に共鳴するような、魅力的で説得力のある物語(ナラティブ)を作り出すチャンスだ。ポッドキャストは、知識とエンターテインメントが融合したようなコンテンツを提供できる。ポッドキャストを使えば、広告主は、情報と楽しみの両方を求めるZ世代に、その欲求を満たす価値あるコンテンツを提供できるはずだ。

 

「広告疲れ」との戦い

アドテク用語で最も恐ろしい2つの単語、それが「広告・疲れ」だ。Z世代の49%が、自分たちの文化や価値観に合わない広告が煩わしいから広告ブロッカーを使っていると答えている。つまり広告疲れは、マーケティングの命取りとなる可能性があるのだ。

オーディオマーケティングの押し付けがましくないフォーマットと、メッセージに信憑性と関連性を持たせる力は、広告疲れとの継続的な戦いにおいて貴重な財産になる。

ラジオやオーディオメディアの歴史を通じ、広告は、リスニング体験のごく自然な一部として受け入れられ、煩わしいもの、不快なものとは考えられてこなかった。その上、音声コンテンツは視聴者の視覚を遮ったり、過度に注意を惹いたりすることもない。バックグラウンドに自然に流れる広告は、ユーザーの活動を邪魔することなく、ブランドメッセージを自然に伝えることができる。その結果、オーディオ広告キャンペーンでは、90%を越える、非常に高いリッスンスルー率(LTR、広告完聴取率)を達成するのが当たり前になっている。

広告の注目時間が1秒と言われる世代にあって、これは悪くない成果だろう。

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社CARTA HOLDINGS
2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。