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コンテキスト広告はデジタル広告の未来形成に対応できるか―ATS Tokyo 2023イベントレポート(10)

デジタルメディアとマーケティング業界の有識者が一堂に会し、業界の最新動向についての議論を行うイベント「ATS Tokyo 2023」が12月8日、都内にて開催された。

 

「コンテキスト広告はデジタル広告の未来形成に対応できるか」をテーマとしたセッションは、ExchangeWire.com共同創業者兼最高戦略責任者のキアラン・オーケインによる進行の下で、StackAdaptのチーフ・レベニュー・オフィサーを務めるクリスチャン・ゲロン氏と、EssenceMediacom Japanのマネージングパートナーであるダレン・ビーガス氏が議論を交わした。

 

冒頭にクッキーレスの進行状況について問われたビーガス氏は、iOSの利用率が比較的高い日本市場は現時点で本格的なクッキーレス時代に突入していると指摘。またゲロン氏は既に多様なクッキーレスソリューションが用意されているとの認識を示した上で、これらのソリューションが普及していくか否かについては、バイサイドがどれほど積極的に採用するかにかかっていると述べた。

 

またゲロン氏は、サードパーティクッキーを用いたリターゲティングは、過去の閲覧履歴に基づいた「大雑把な推測」による事後的なアプローチに過ぎないと主張。対照的に、コンテクスチュアルターゲティングであれば、ユーザーが目にしている情報に基づき「適切なモーメント」をリアルタイムに捉えた上で広告を配信することができると説明した。さらにゲロン氏は、細かな設定が可能なコンテクスチュアル広告であれば、より高度で粒度の細かいターゲティングが可能であると指摘。CRMデータなど他のデータやシグナルと組み合わせることで、クッキーレスな環境においても効果的な広告配信は引き続き可能であるとの見通しを伝えた。

 

話題がクッキーレス環境下で発展が見込まれる領域に及ぶと、ゲロン氏はMMM(マーケティングミックスモデリング)や実店舗に対する広告効果を計測するための「フットフォールアトリビューション」といったクッキーレスなアトリビューション計測方法に言及。ビーガス氏はコンテクスチュアルターゲティング配信を介した広告クリエイティブの最適化やPMP配信の拡大への期待を示した。

 

 

最後にゲロン氏は「2024年以降のオンライン広告業界は、データ保護から価値創造へと軸足を移すべき」と提言。消費者に対して未来を伝えるという広告の本来的な機能を取り戻すべきだと訴えた。

 

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。