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新体制下のOutbrainが2025年に目指す道[インタビュー]

ネイティブ広告の草分け的存在であるOutbrainが今大きく変わろうとしている。Teadsとの合併、日本法人の経営体制の刷新などに加えて、新サービスを次々と打ち出す同社が目指す道とは。新体制を支える小山氏に話を聞いた。

(Sponsored by Outbrain)

 

新体制での新たな取り組み

 

―自己紹介をお願いします。

 

Outbrain Japan株式会社にて広告本部長を務める小山拓哉と申します。2024年6月より現職に就きました。

 

―貴社は昨年に経営体制が大きく変わりました。

 

それまでInMobiのカントリーマネージャーを務めていた井料武志がOutbrainのカントリーマネージャーに、カタリナマーケティングジャパンのデジタル責任者だった私が広告本部長に、SMNで営業責任者の経験を持つ森本秋偉が大阪支社長に就任しました。オンライン広告業界での豊富な経験を有するメンバーを配置することで、とりわけ新規顧客開拓分野を強化することができました。

 

―新たな経営体制の下でどのような取り組みを行っているのでしょうか。

 

まず、2024年8月に大阪オフィスを開設しました。これまで関西や九州といった地域の法人のお客様に対しては東京オフィスから出張対応を行っておりましたが、お取引の増加を受けて、大阪オフィスに専属社員を採用することになりました。同じビルにセプテーニ社、オプト社、アドウェイズ社といった同じデジタル広告業界の企業様も入居しています。この新オフィスを拠点として、健康食品や通販を始めとする西日本の広告需要に迅速かつ的確に対応していきたいと考えています。

 

加えて、各ニュースメディア様が保有するウェブサイト上のネイティブ広告枠に対してアプリインストール広告配信サービス提供を開始しました。この新サービス開始の告知などを目的として、昨年は東京ゲームショウへの出展を行っています。

 

―アプリインストール広告配信においては先行事業者が多くいます。貴社はどのように差別化を図ろうとしていますか。

 

やはり広告配信に活用できる独自かつ豊富なデータが最大の強みです。当社であれば、パブリッシャー様のサイトに直接的にタグを埋めているので、どういったユーザーが来訪してどのようなオンライン行動をとったかを把握することができます。DSPはこのようなデータは持ち合わせていません。

 

また当社が得意とするコンテクスチュアルターゲティングはCookieレスまたはIDFAが取得できない環境下でも機能し、ユーザーのプライバシーを毀損せずに広告配信が実現できる点も特徴的です。

 

アテンション指標がデファクトスタンダード化

 

―一昨年にはOutbrainとは別にOnyxというブランディング・プラットフォームを立ち上げました。

 

Outbrainはこれまでマーケティングファネルの中間層から顕在層の獲得向け広告配信プラットフォームとしてご利用いただいてきました。より具体的には、オンライン・ユーザーのリテンションや申込獲得において優れた効果を発揮してきました。

 

 

ただし、当社は広告効果の最大化だけでなく、パブリッシャーの収益向上を重要な事業目的として位置付けています。そして、パブリッシャーの皆様が、SNSの台頭などを受けて広告収益の低下に悩んでいることが近年の事業課題となっていました。この課題を解決するために、収益性が高いブランド広告を取り込むことを企図して、Onyxを立ち上げたのです。

 

―Onyxに対する反応はいかがですか。

 

お陰様で、Onyxを立ち上げてから、グローバル全体では12カ月で2000社のパブリッシャー様、そして200社の広告主様にご利用いただいています。とりわけ広告主様については、従来のOutbrainへの配信実績のあるお客様からのご利用が始まり、複数の成功事例が出たことで、広告代理店様経由で新規のお客様にもご推奨いただけるようになったことが大きいです。

 

―Onyxではアテンション計測及び最適化サービスを提供していますが、このアテンション指標の普及状況はいかがですか。

 

米国IABが推奨し、ビューアビリティーに代わるブランディング広告の指標として海外ではよく使われているアテンションですが、日本市場においてはまだ十分に浸透しているとは言えない状況です。アテンション計測が可能であることを発注条件として定めている企業様もいる一方で、まだ十分なデータが揃わず、比較検討を行うことができていないという企業様もいらっしゃいます。

 

ただし、日本市場に特徴的な傾向として、目立った成功事例が複数出ると、追随する動きも速いです。アテンション指標とブランドリフト調査との相関性が高いことを示す調査結果も次々と発表され始めているので、視聴完了率やビューアビリティといった従来の指標に代わってアテンション指標がデファクトスタンダード化するのも時間の問題ではないかなと思います。

 

事業拡大でオープンインターネット市場を牽引

 

―SNSの台頭を主な要因とするパブリッシャーの収益低下に歯止めをかけることはできるのでしょうか。

 

当社ではそのための施策を用意しています。日本市場では2025年よりリリースを予定しているMomentsは、大手SNS上で積極的に活用されている縦長動画に特化した広告配信プラットフォームです。このフォーマットをオープンインターネット上に展開できるようになります。

 

多くのパブリッシャー様は集客を目的として、例えばYouTube内に公式チャンネルをお持ちかと思います。こうしたチャンネル向けに用意した動画コンテンツを自社サイト上へ配信しながら広告収益を得ることも可能です。オープンインターネットに属するパブリッシャーの皆様にとって、ウォールドガーデンないしSNSに対する有効な対抗策になると考えています。

 

―ウォールドガーデンとオープンインターネットとの比較においては、広告配信規模の違いがよく取り上げられます。

 

業界専門用語でもありますので整理させて頂くと、ウォールドガーデンとはGoogle、Amazon、Meta(Facebook、Instagram)などのユーザーIDでサービスが利用できる大手プラットフォームの総称であり、オープンインターネットとは新聞・雑誌サイトや情報サイト、企業サイトまで、ユーザーIDを使わなくても広くコンテンツを利用できる幅広いウェブサイト群の総称になるわけですが、ユーザーリーチの観点でいくと、オープンインターネットの方がユーザーの利用数は多いわけです。

 

2024年3月にNielsen Digital社が実施した調査によると、日本におけるOutbrainのネットワークで広告リーチできる国内ユーザー数は、スマートフォンではウェブとアプリ合わせて7,300万人、PCは2,032万人にまで拡大しました。主要SNSやプラットフォームに匹敵する規模です。

 

また大手新聞社サイトなどと提携している当社ネットワークにおいては、世帯年収500万円以上のユーザーが3000万人を超えている点も特徴的です。一般的には一定以上の所得層をターゲティングするには別途費用が発生しますが、当社ネットワークを活用すればこうした費用なしで可処分所得が多いユーザーに広告配信を行うことができます。

 

ウォールドガーデン、つまりSNSなど大手プラットフォームもユーザー投稿のコンテンツに依存するがゆえの悩みを抱えていると聞きます。ヘイトやアダルト系のポストに対してブランド広告が配信されてしまうリスクは避けることは難しいためです。

 

その点、Outbrainでは、オープンインターネット上でも、さらに厳選された優良パブリッシャーにのみ広告を配信できるので、当社の強みとして強調させて頂きたいと思います。

 

―Teadsとの合併が成立すれば、事業規模はさらに拡大することになりますね。

 

当初の予定通り、合併は2025年第1四半期に完了する見込みです。2社の合併により、あらゆるファネルをカバーする巨大な広告配信プラットフォームがオープンインターネット市場に誕生します。

 

Teads社との統合によって新たな選択肢が増えることで、より効果的なマーケティング施策をご提供できることになります。

 

―2025年以降の事業展開についての抱負をお聞かせください。

 

当社の強みであるコンテクスチュアルターゲティングはサードパーティCookie廃止の影響を受けないということはもちろんですが、Cookieが廃止されれば、リターゲティング施策に過度に依存していたマーケティング施策自体の見直しが迫られることになるでしょう。その結果として「新規ユーザーとの出会い」の重要性が高まるはずです。コンテクスチュアルターゲティングを強みとし、ブランド広告主を多く抱えるTeads社と合併し、さらにはOnyxというブランディング・プラットフォームを有するOutbrainの役割が今後ますます大きくなっていくと信じています。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。