新生Teads、日本市場で本格始動 ― Brandformanceで切り拓くオープンインターネット広告の未来

Teads Japanは東京・虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE HALL」にて、300名規模の来場者を集めたローンチイベント「Teads Elevate Tokyo 2025」を開催した。
広告主、代理店、メディア関係者が詰めかけた会場は満席となり、新生Teadsのビジョンと最新ソリューションに注目が集まった。
冒頭、Teads North East Asiaマネージングディレクターの今村幸彦氏は、設立10周年の節目を迎えたこれまでの歩みと支援への感謝を述べるとともに、「新たなステージで価値を提供する」決意を表明。続いて来日したTeads グローバルCEOのDavid Kostman(デビッド・コストマン)氏が、グローバル戦略と「Brandformance」という独自価値を語り、オープンインターネット広告がGoogleやSNSといった既存のプラットフォームに対抗しうる“真の代替手段”であることを強調した。
さらに、TeadsとOutbrainの合併により新生Teadsがブランディングとパフォーマンスを両立するフルファネルのプラットフォームとなったことが強調され、Kantar、Nikkei Asia、KDDIの具体的な事例を通じて、Teadsが日本市場でどのように成果を実現しているかが明確に示された。
Teads Japan、10年の歩みと新たな挑戦

イベントの幕開けに登壇した今村幸彦氏は、Teads Japanが2015年に設立されてから10周年を迎えたことを報告し、これまで支えてきたパートナー企業や関係者への深い感謝を表明した。
さらに、2025年は、Teadsと両雄を分かち合ってきた、Outbrainとの合併を経て新生Teadsが誕生した記念すべき年であると強調し、「この節目に、さらに濃密なコンテンツと革新的なソリューションを通じて市場に貢献していきたい」と語った。
「これまでの10年は皆様の支えがあったからこそ。新しいステージでは、より深いパートナーシップと革新的な広告体験を提供していきます」と今村氏は力強く呼びかけた。
今村氏の挨拶は、単なる10周年の総括にとどまらず、日本市場での新たな挑戦を印象づけるメッセージとして、参加者の期待を大きく高めた。
Teads CEO David Kostman 氏が語るグローバル戦略

続いて登壇したのは、Teads グローバルCEOのDavid Kostman(デイビッド・コストマン)氏である。同氏はまず、TeadsとOutbrainの合併により誕生した新生Teadsの概要を紹介。世界60カ国以上で展開し、16億ドル超の収益規模を持つ同社は、オープンインターネットにおける主要プレーヤーとして確固たる地位を築いていると述べた。
コストマン氏は、ブランド広告とパフォーマンス広告を統合した「Brandformance」という独自の価値を強調。さらに、TeadsとOutbrainの合併により、新生Teadsがブランディングとパフォーマンスの両方をカバーするフルファネルのプラットフォームとなったことを示し、広告主にとっての包括的な価値を訴えた。
「私たちはユーザーを尊重し、ストーリーテリングを支援し、広告主が混雑する市場で際立つことを可能にする。その成果をデータに基づいて測定可能にするのが新生Teadsの使命である」と語った。さらに「Teadsは、オープンインターネットの未来を形づくる真の代替手段である」と述べ、日本市場における存在感を高める意志を示した。
進化するプロダクトとフルファネルソリューション

Teads Japanのソリューションチームからは、シニアセールスマネージャーの森田洋平氏、セールスマネージャーの山口航平氏、アソシエイトディレクターの三好列氏が登壇し、それぞれが最新のプロダクトアップデートを紹介した。
森田氏は「CTVホームスクリーンはすでに国内で80%以上の普及率を誇り、マルチスクリーンでのリーチ最大化を可能にしている」と述べた。山口氏は「Teads経由でのCTV広告配信においてTraffic計測が可能になった」と説明。さらに三好氏は「Traffic Max、Conversion Maxによって、AIがユーザー行動を解析し、コストパービジットを最大47%改善できた」と語り、AI活用の効果を示した。
また、Teads Studioについては「私たちの使命は、単なる広告配信ではなく、広告主にとって意味のある成果を提供すること。AIとデータを活用することで、より高い効果を約束します」とチームからコメントがあり、技術への自信を強調した。
Kantarが示すオープンインターネットの価値

グローバル調査会社Kantar Japanからは、メディア&クリエイティブインサイト部門 ディレクターの吉本潤一氏が登壇。「オープンインターネットを活用したキャンペーンは、シナジー効果を生み出すことで広告効果を最大化できる」と語り、複数メディアを横断的に展開することで効果が1.6倍に高まるという調査結果を紹介した。
さらに吉本氏は、広告クリエイティブの“7つのキュー(要素)”を盛り込むことの重要性に言及。ブランドロゴやキャラクター、メッセージなど複数の要素を広告に盛り込むことで、キャンペーン全体の一貫性と効果が高まると説明した。また「1つのチャネルにおいてもクリエイティブの質を落とすとキャンペーン全体に悪影響を与える」と警鐘を鳴らし、全チャネルで一貫した高品質の表現が必要だと指摘した。
この発表は、Teadsが掲げるオープンインターネットの考え方──すなわち、クローズドプラットフォームに依存しない広告主のための真の代替手段を提供し、透明性のある効果測定、ユーザー体験の尊重、そして信頼できるメディアとの協業を重視するという姿勢──を第三者の視点で補強し、会場の参加者に強い印象を残した。
成果を裏付ける事例 Nikkei AsiaとKDDI

理論だけでなく、実際の成果事例もイベントで共有された。
まず紹介されたのは、日本経済新聞社 グローバルユニット Nikkei Asiaグループの中島慶太氏による事例である。Nikkei AsiaはTeadsを活用することで、新規読者を効率的に獲得。クリック単価は他媒体に比べて大幅に低く、サイト滞在時間も長いという成果を上げている。さらに年間購読プランへの移行率も高く、グローバル展開を目指す戦略においてTeadsの活用が大きな効果を発揮していることが明らかになった。
中島氏は「海外の読者を開拓するためには効率的な新規訪問者獲得が欠かせない。Teadsは低コストで質の高い読者を集めることに大きく寄与している」と語った。さらに同氏は、媒体別の広告予算配分についても触れ、「Teadsには全体予算の約30%を割いており、他は検索広告が約10%、残り60%がディスプレイ広告に配分されている」と説明。その理由について「Teadsは他のディスプレイ媒体と比べ、質の高いトラフィックと年間購読への転換率が高いため」と述べた。

続いて紹介されたのは、KDDI株式会社 コミュニケーションデザイン部 メディア企画グループの大下倉舞氏によるブランド広告事例である。同社はオープンインターネットのコンテキスト配信を活用することで、ランディングページの読了率を従来比で30%改善する成果を得た。さらに「アテンション計測」に基づく新たな広告評価の取り組みを進め、ブランディング効果の測定に挑んでいる。実際の検証では、縦型動画フォーマットのアテンション率が80%を超え、ブランド想起率も2倍近く改善する結果が得られたという。
大下倉氏は「能動的に情報を探す瞬間に適切な広告を届けることができるのがTeadsの強み。ユーザー体験を損なわずにブランドへの理解を深められる」と語った。さらに同氏は「広告ブロックやブランドセーフティといった業界共通の課題に対しても、Teadsの環境は大きな安心感を提供していることを評価しており、それが今後業界的にも拡大を期待している」と補足し、課題解決のストーリーを強調した。
これらの事例は、Teadsが掲げる「Brandformance」の考え方が単なる概念ではなく、実際の市場で成果を生み出していることを示すものとなった。
オープンインターネットの未来へ

イベントの最後に改めて強調されたのは、新生Teadsが日本市場において「オープンインターネット広告の新たな選択肢」としての役割を果たしていくという姿勢である。今村幸彦氏は、これまでの10年を支えてきたパートナーへの感謝を述べるとともに、「新しいソリューションとともに、広告主・代理店・メディアと共創し、オープンインターネットの未来を切り拓いていきたい」と力強く語った。
会場を埋め尽くした300名の参加者の熱気に象徴されるように、新生Teadsは日本市場で本格的な始動を迎えた。その一歩は、オープンインターネットの業界に新たな潮流をもたらす起点ともなるであろう。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。




