2026年、トップマーケターが注目する5つのトレンド
by on 2026年6月25日 in ニュース

今年はメディア環境が激変し、フラグメンテーション(断片化)の加速が顕著になっています。それゆえ、業界にとって重要な動向がつい見落とされがちになってきました。
今年初め、ChatGPTがプラットフォーム上で広告サービスを開始すると発表(*1)したニュースも、その好例です。これは、紛れもなく大きなニュースなのです。マッキンゼーの調査(*2)によれば、現在、米国のユーザーの44%が購買意思決定の主要手段としてChatGPTを利用しています。つまりマーケターにとって、デジタル環境の急速な変化に対応できなければ、自社製品を消費者にアピールする絶好の機会を逃してしまうことを意味するのです。
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マーケターの格差が拡大
AIとプログラマティック広告を牽引するStackAdaptは、マーケターやエージェンシー、ブランドがこれらの分野で多大な成果を収められるようサポートを行っています。すでに世界の複数市場でパートナー企業がChatGPT上の広告にアクセスし、展開・管理できるサポートを実施。また、この新しいチャネルをより広範なメディア戦略に統合する取り組みにも着手しています。
さらにパートナー企業と緊密に連携、ビジネスを成功に導く重要な鍵を見出すことにも注力しています。今年初めには、世界のマーケター約500名を対象に調査を実施(*3)。そこから導き出された結果は興味深く、同時にやや意外なものでした。
この結果の肯定的側面は、マーケターの大多数が今後の見通しを楽観視していること。回答者の75%は「今後、マーケティング予算は増加する」と予測し、84%は「前年より業績が上向く」と答えました。しかしその裏には、統合戦略を導入しているマーケターと、いまだ断片的な技術スタックを利用しているマーケターとの間で格差が拡大している現状が伺えます。
特に印象的だったのは、業績を前年から大幅に向上させたトップマーケターたちの回答でした。「2027年までに技術スタックの少なくとも50%を統合する」と答えた人は、その他のマーケターの4倍。また「統合プラットフォームはROI(投資利益率)を向上させる」と答えた人は53%で、他のマーケターの31%を大きく上回りました。
弊社はこうした調査結果から、マーケティング機能の向上を模索する方々を念頭に、2026年のプログラマティック広告の中核を成す5つのトレンドをまとめました。パフォーマンス向上を目指すマーケターにこれらのトレンドを把握していただくことは、極めて有意義であると考えます。
クロスチャネル統合の意義
まず最初のトレンドは、「クロスチャネルの統合」。サイロ化されたチャネルは、今日のプログラマティック広告において最も無駄な支出の1つです。マーケターの3分の2(66%)は、「サイロ化によってプログラマティック広告予算が最大で30%無駄になっている」と回答しています。
一方、トップティア(最上位層)の広告主を対象とした調査では、マルチチャネルキャンペーンのクリック率(CTR)がシングルチャネルキャンペーンのそれを47ポイント上回るという結果が出ました。
こうした事実を踏まえると、マーケターは直ちに全社的なオムニチャネル戦略を試す前に、まずいくつかのマルチチャネルキャンペーンを実行することが得策でしょう。効果的なアプローチを挙げるなら、既にクリエイティブや測定基準で堅固な基盤を築いているチャネル(コネクテッドTVやディスプレイリターゲティングなどが往々にして適切)を優先的に活用すること。それによって短期的な成果を上げ、迅速に断片化を解消することができるのです。
AIと技術スタック
2026年の報告書では、AIについて触れないわけにはいきません。よって、2つめのトレンドは「即効性あるAIの活用」。しかしながら案の定、マーケターの間ではAIをどのように使いこなすべきか共通認識がまだ確立していません。
全体的に見るとAIは今、クリエイティブの発展やターゲティング、最適化などでより中心的な役割を果たしています。つまりマーケターはAIに対し、エンドツーエンドのキャンペーン実行ではなく、ワークフローの加速に信頼を置いているのです。例えばダイナミッククリエイティブ最適化(DCO)を活用する広告主は、32%が「CTRが向上した」、56%が「クリック単価(CPC)が下がった」と回答しています。
マーケターの経験値が高まるにつれ、AIはクリエイティブの反復やテスト&バリエーション、オーディエンスの絞り込み、予測の最適化などでますます重要な役割を担うでしょう。しかし、戦略に取って代わるものではありません。ゆえにAIを代替手段としてではなく、まずは加速化のツールとして活用することを推奨します。マシンの生成による反復作業と人によるクリエイティブディレクションを組み合わせることで、コンテンツを迅速に改善し、質の高いエンゲージメントを強化できるのです。
3つめのトレンドは、「技術スタックの統合」。この点に関しては、調査結果に驚く方が多いのではないでしょうか。マーケターの大多数は専門的ツールの方がROIを高めると考えています。しかし弊社の調査では、「技術スタックを25~50%統合するだけでもパフォーマンスが向上する」という結果が出ました。
AIを活用したソリューションが普及するにつれ、断片化された技術スタックは特に競争性の点において不利でしょう。対応策は、従来型の単一ソリューションに変え、AIや効果測定、アクティベーションなどを組み合わせた統合型ワークフローを確立させること。トップマーケターはまさにこの統合型で、最大のROI向上を実現しているのです。
オムニチャネルと「実験精神」
4つめのトレンドである「オムニチャネルへの適切なアプローチ」は、少々指摘しにくいものです。というのも、多くのマーケターが既にオムニチャネルを実行していると考えているからです。
しかし、調査結果では異なる実情が示されました。「オムニチャネルキャンペーンを実行している」と答えたマーケターは75%に上りますが、本当の意味でのオーケストレーション、つまりコネクテッドTVやディスプレイ広告、オーディオ広告などのチャネルを駆使し、包括的に消費者を誘導するシーケンス配信(一連の広告・メッセージを順番に配信する手法)を実現しているマーケターはほんの一部に過ぎません。
2027年に向けて、マーケターには現実的な最小限のオムニチャネルモデルを推奨します。これは通常、レポートの共有やシーケンス配信、KPIの統合など2~3の接続されたチャネルで構成されています。
そして最後の5つめは、「実験」。前年比で業績向上を最大化させたマーケターは、プログラマティックダイレクトメールやゲーム内広告、コネクテッドTV、デジタル屋外広告(DOOH)といった新しいフォーマットに、他のマーケターよりも確信を持って支出している傾向が見られます。実際に弊社は報告書の中でも、これらのフォーマットが全て今年中に、測定可能なフルファネルパフォーマンスチャネルになると予測しました。
まだこれらの新しいチャネルを試していないマーケターには、積極的にテスト・アンド・ラーンのアプローチを取り入れることをお勧めします。またコスト削減のため、クリエイティブテンプレートやAIを活用した制作も賢明でしょう。
業界全体を見渡せば、将来への展望は明るいといえます。今日マーケターが活用できるAIツールやデータは、数年前には想像もできなかったものです。ゆえに大胆な実験に取り組むマーケターは、特にプログラマティック広告のようなダイナミックな分野で、今後数年間のうちに最大の成果を上げると予測できるのです。
参考資料:
*1 『Testing ads in ChatGPT』(オープンAI、2026年2月)
*2 『New front door to the internet: Winning in the age of AI search』(マッキンゼー・アンド・カンパニー、2025年10月)
*3 『The State of Programmatic Advertising』(StackAdapt、2026年、n=484 global marketers)
コラム執筆者
山口 武
StackAdapt Japan, Head of Business
ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒業後、米Oddcast社やMarketing Solutions社でマーケティング、戦略コンサルティングなどに従事。2011年に帰国、日本ヒューレット・パッカード、コムスコアジャパンで勤務後、15年にIntegral Ad Science Japanの立ち上げに参画。21年には同社日本・韓国のカントリーマネージャーに就任。その後Monksのカントリーマネージャー、Ogury Japanのコマーシャルディレクターを経て、24年StackAdaptに入社。以来、日本市場におけるビジネスの責任者を務める。
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