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JARO、2025年度の苦情受付件数が過去最多1万2,589件に ネット上の不快な広告への苦情が急増

公益社団法人日本広告審査機構(JARO)は、2025年度の苦情受付状況を発表した。苦情件数は過去最多の1万2,589件に達し、インターネット上の広告・表示への苦情は前年度の1.7倍に増加した。なかでも、広告表現への苦情は2.4倍、掲載手法への苦情は2倍となった。

 

2025年度の苦情件数はJARO設立以来最多に

JAROは、消費者から寄せられる広告への苦情や意見を業界・企業へフィードバックし、広告の健全性と信頼性向上を担う機関である。近年、インターネット広告市場が拡大を続ける一方で、広告表現や掲載手法をめぐる消費者との間の摩擦も顕在化しつつあった。2025年度は、こうした流れを象徴する形で、苦情件数がコロナ禍で外出自粛が広がった2020年度(11,560件)を上回り、設立以来最多となる12,589件を記録した。称賛・照会等を含めた総受付件数も14,723件にのぼり、2020年度に次ぐ規模となった。

 

インターネット広告への苦情が前年度の1.7倍に急増

2025年度はインターネット上の広告・表示への苦情が前年度の1.7倍に急増した。とりわけ広告の表現に対する苦情は2.4倍、掲載手法(頻度・動き・非表示設定の不備など)に対する苦情は2倍と、他媒体と比較して突出した伸びを示した。増加の一因として、電子コミックサイトやレシピサイト等における性的な広告表現が2024年度から問題視され、2025年6月から7月にかけて報道で取り上げられたことが挙げられる。これを契機に、性的表現に限らず「気持ち悪い」「怖い」といった表現全般への苦情も連鎖的に増加した。

 

業種別・媒体別の傾向

業種別では、電子書籍・ビデオ・音楽配信(1,171件、うち909件が性的表現に関するもの)、医薬部外品・医薬品、オンラインゲームで表現への苦情が目立った。医薬部外品・医薬品分野では、腸や筋肉、内耳などのイラストや、おなら、ガスなどの表現への不快感を訴える声が目立った。このうち、医薬部外品や医薬品をECで販売する1事業者には、腸や膀胱、耳内部のイラスト、GIFアニメなどに対する苦情が737件寄せられた。媒体別では、インターネットが前年度比1.7倍に急増し、初めて苦情全体の6割(60.9%)を占めるに至った。これは「日本の広告費」(電通)でインターネット広告費が2025年に構成比50.2%と初めて過半数に達したこととも符合する動きである。テレビも前年度比123.2%と増加し、クレジットカードや動画配信サービスの番組名に関する苦情が目立った。

 

苦情内容の内訳と申立者の属性

苦情は「表示」「表現」「手法」の3区分に分類される。2025年度は「表現」への苦情が6,749件(前年度比184.1%)と著しく増加し、コロナ下で「表示」が優勢だった構図が逆転した。「手法」も1,027件(同163.8%)に増加し、約8割がインターネット上のものだった。申立者の年代別では30代(213.1%)、20代(170.5%)の伸びが目立ち、男女比は男性54.4%、女性45.3%と差が縮小した。性的な広告への苦情1,937件のうち、申立者の75.9%を女性が占めた点も特徴である。

 

苦情対応の実績

2025年度、JAROは広告主への苦情情報提供を33回・2,470件分実施した。うち非会員企業向けが32回・2,432件であった。電子コミックおよびオンラインゲーム分野では業界団体への情報提供も行い、自主的な取り組みを促した。委員会審議を経て発信する「見解」は20件(厳重警告9件、警告11件)で、うちインターネット関連が17件を占めた。美容医療分野では、料金・契約条件に関する苦情の増加を受け「見解」を4件発信している。

 

JAROの見解

JAROは今回の結果を受け、以下のように総括している。

JAROは2025年度の傾向として、

①インターネット上の広告・表示に関する苦情の急増
②30代・40代女性からの申し立ての増加
③不快感を伴う広告表現や誘導的な掲載手法への苦情の増加

の3点を挙げている。その上で、こうした傾向は特定の媒体に限られた問題ではなく、広告全体への忌避感・不信感が急速に広がる予兆でもあると指摘し、広告主・媒体社・プラットフォーマー・広告会社など広告に携わるすべての関係者が社会的責任を自覚し、消費者の声に耳を傾けながら自主規制を一歩前へ進めていく必要があると述べている。

 

今後の展望

JAROは、2026年以降が消費者の広告体験向上に向けた確かな転換期となるよう、業界関係者とともに取り組む意向を示している。インターネット広告費が広告費全体の過半数を占める中、表現の不快感や誘導的な掲載手法への苦情が広告全体への忌避感につながりかねないとの懸念も示されており、広告主・媒体社・プラットフォーマー・広告会社が連携した自主規制の強化が、今後の焦点となりそうだ。

 

■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000150351.html

ABOUT 町田貢輝

町田貢輝

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学法学部法律学科卒業。編集プロダクション、出版社でエンタメ、健康、IT関連の雑誌と書籍の編集・進行管理に従事。2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。DX領域のメディア運営全般ならびに、調査研究を担当する。