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運用型広告を蘇らせるIntent IQのID技術-「運用型広告の限界」と「PMPが売れない壁」をどう突破するか?[イベントレポート]

2026年5月13日、東京・六本木にてメディア向けイベント「「運用型広告の限界」と「PMPが売れない壁」をどう突破するか?〜『運用型広告』を蘇らせるID技術と、『高単価PMP』を引っ張る直営業の裏側〜」が開催された。プレゼンテーションに登壇したのはアイデンティティソリューションを展開し日本に市場を広げているIntent IQと、ウェブメディア運営企業及びアプリ開発者向けにメディアパートナー事業を展開する株式会社フォーエム。それぞれパブリッシャーの収益最大化を実現する独自のソリューションを紹介し、パブリッシャーが直面する課題への取組実績を共有した。

(Sponsored by Intent IQ)

 

パブリッシャーの収益課題に挑むIntent IQ

 

IDソリューション企業Intent IQは、クッキーレス時代に対応した技術を用いて、パブリッシャーの広告収益向上を実現するアイデンティティソリューションを展開している。プレゼンテーションには事業開発担当上級副社長のタミル・シュブ氏が登壇し、同社の技術概要やグローバルでの実績、日本市場での成果について紹介した。

 

Intent IQはiOS及びSafari環境における広告収益課題の解決に特化したIDソリューションを提供する。Safariでは取得可能な識別子が限られることで、CPMやフィルレートの低下が起こりやすいが、同社は独自のデバイスグラフ技術を活用してこの課題に対応している。同ソリューションの特徴は、共通IDに依存せず、Safariユーザーのシグナルを補完することで、広告主側のターゲティング精度を向上させる点にある。さらにPrebidやサーバーサイド連携など、多様な実装方式にも対応している。

 

 

同社は近年アドテクノロジー業界で高い評価を得ており、2023年・2024年にはThe AdExchanger Awardsにおいてベスト・アイデンティティ・テクノロジー賞を連続受賞。さらに2025年には、Digiday Technology Awardsでベスト・クッキーレス・アイデンティフィケーション・テクノロジー賞を受賞するなど、媒体社向けソリューションとしての革新性が評価されている。

 

IAB標準にも採用された「Bid Enhancement」

 

Intent IQの中核プロダクトが「Bid Enhancement(入札強化)」。同社が開発したIDブリッジング技術を基盤としており、その仕組みはオンライン広告の技術標準を策定するInteractive Advertising Bureau(IAB)の正式仕様として採用されている。

 

Safariユーザーがサイトへアクセスした際、通常はそのままSSPへ送られるビッドリクエストに対し、Bid EnhancementではIntent IQが介在する。独自のデバイスグラフを活用し、「このSafariユーザーはChrome環境ではどのIDに該当するか」をリアルタイムで推定し、その情報をSSPやDSPが利用可能な識別子として補完することで、広告主側はより精度の高いターゲティングを行えるようになる。これにより、媒体社はSafari環境でも広告価値を高めることができる。さらにIntent IQでは、ABテストやリアルタイム分析も実施し、「IDあり・なし」での収益差分を継続的に可視化しているとのことである。

 

Safar収益の向上を記録した国内外のパブリッシャー

 

Intent IQのソリューション導入は全世界的に進んでいる。まず導入事例として紹介されたのが英大手新聞社デーリー・メール。同社はiOS及びSafari経由のトラフィック比率が高く、識別子不足によるCPM低下が課題となっていた。Intent IQとの連携によりSafari収益は平均27%向上。その成果は過去3年間にわたり継続的に維持されているとのこと。Safari環境でも広告主が適切にターゲティングできるようになった好例である。

 

フィルレートの大きな改善が見られたのはエンターテインメント系UGCサイトFandom。Fandomもまた、iOS比率の高い媒体としてSafari収益に課題を抱えていたが、Safari収益55〜80%向上に加え、フィルレートは50%改善したという。媒体社にとってフィルレートの改善は、在庫価値最大化の点で大きなインパクトを持つ。

 

 

日本国内でも着実に導入が進んでいる。神戸新聞社では2025年初頭から導入を開始し、主にPrebid経由のSafari収益が平均27%向上しているとのことである。その他複数媒体への導入も進んでおり、IDソリューション需要の高まりがうかがえる。

 

Cookieレス時代において、媒体社が広告収益を維持・向上させるためには、単なる広告配信技術ではなく、「ID戦略そのもの」が競争力になる。Intent IQの事例は、国内パブリッシャーにとって大きな示唆となったのではないだろうか。

 

プレミアムブランドを惹きつけるFourMのPMP配信

 

続いて登壇した株式会社フォーエムのデマンドチームを率いる小山氏は、パブリッシャーの収益性低下という課題に対し、パブリッシャーが持つ良質なアセットと連携することで、多くのブランド広告主からの予算獲得を牽引している実績を語った。現在、同社のPMP取扱高は前年比200%以上と急成長を遂げている。

 

 

同社が注力するPMP(プライベートマーケットプレイス)配信は、従来のオープンオークションが抱える不透明さを解消し、特定の広告主とメディア間で高単価な取引を実現する仕組みである。CPMは一般的なオークションの5〜10倍にものぼり、メディア側の開発負担がない「ハイインパクトな広告フォーマット(通称:SKINフォーマット)」を自社開発することで、ユーザーのアテンションを最大限に引き出している。

 

小山氏は「SNSなどのウォールドガーデンに対し、能動的なユーザーが集まるオープンウェブにはコンテンツに対する深い没入感や、メディアそのものへの強い信頼がある」と強調。PMPにおけるSKINフォーマットの導入やメディアのデータ活用など、パブリッシャーと共に広告価値を発見し、連携を強めることで、広告主へその真価を伝えていくという。こうしてメディアに還元された広告収益がコンテンツの質を高め、さらなるトラフィックを生む「収益の好循環」を業界全体に創り出すビジョンを語り、プレゼンテーションを締めくくった。

 

 

選ばれるメディアは何を考えている?

 

イベントの後半では、「選ばれるメディアは何を考えているのか」をテーマにパネルディスカッションが行われた。女性向け出版メディアを展開する株式会社Donutsの清水氏、海外エンタメ専門メディア「THE RIVER」を運営する株式会社riverchの中谷氏が登壇し、司会の株式会社フォーエム森脇氏とともに、メディアでの広告運用について議論が交わされた。

 

 

ユーザー体験とブランド価値を両立するリッチ広告

 

FourMを介したメディアでのSNS第三者配信について、Donutsの清水氏は「導入当初は、編集部側がコンテンツの見え方やユーザーの心象を懸念していた」と振り返る。しかし、FourMの販売力の強みと信頼関係から導入を決断。結果としてユーザーからのネガティブな反応はなかった。

 

大手配信プラットフォームの案件を中心に成果を上げているTHE RIVERの中谷氏は、FourMのSKINフォーマットという大型のディスプレイ広告を導入している。「メディアのトップページに、洗練されたクリエイティブが大きく載ることで、メディアに箔がつく。他の広告主へのアピールという副次効果も期待できると考え、嬉しく受け入れた」とのこと。ブランディングの観点からもポジティブな効果を実感している。

 

「PMP配信の運用上で意識していること」という問いに対し、両者が共通して挙げたのは「案件の可否判断におけるスピード感」であった。広告業界特有のタイトなスケジュールに対応するため、清水氏・中谷氏ともに、Slackなどの通知を受け取るとできるだけ迅速に可否を返答しているという。司会の森脇氏も「スピード感を持って対応してくれる媒体には優先的に案件を提案しやすくなる」と応じ、パブリッシャーとパートナー同士の柔軟で迅速な協力体制が、継続的な案件を引き寄せる鍵の一つになっていることがわかった。

ABOUT 長野 雅俊

長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 共同編集長

ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。ExchangeWire主催の大型イベントであるATS Tokyoのモデレーターも務めている。