「嫌われる広告」はなぜ生まれる?-アライドアーキテクツが「コスメサミット」を開催

写真:村岡氏

アライドアーキテクツは、7月3日、都内にて化粧品業界の担当者向けセミナーを開催した。

「コスメサミット」と題した本セミナーには、300名が来場した。同社の Chief Product Officer(CPO)兼上級執行役員を務める村岡弥真人氏は、デジタルマーケティング手法が成熟及び細分化されつつあることから、業界特化型のイベントを発案したと説明。まずは2兆7800億円の市場規模を持つ化粧品業界向けのセミナーを主催することになったとの経緯を伝えた。

第1部では、「広告が嫌われる世の中」における広告コミュニケーション戦略の課題についてのパネルディスカッションを実施した。サンスター株式会社ダイレクト営業部デジタルグループ長代行の兒嶋仁視氏は、「嫌われているのは広告全般ではなく、デジタル広告のみ」であると主張。能動的に別のコンテンツを閲覧しているデジタルユーザーに対して、「望んでいない内容を望んでいないタイミングで届けている」ことに原因があると述べた。

株式会社カネボウ化粧品コミュニケーション企画グループの中根志功氏は、端末が増えた結果、広告の量が圧倒的に増えたことが背景にあるのではないかと指摘。また消費者に嫌われてしまうような広告を配信してしまう広告主は「マーケティング課題の整理をできていない」と断じた。

写真2:

同社では、自社アプリユーザーの離脱率といった態度変容を定点観測することで、ユーザーとのコミュニケーションの成果を計測。各施策を実施するに当たっては、「すること」だけではなく、「週末にはプッシュ通知はしない」などの「しないこと」も合わせて決める必要があると論じた。株式会社アテニア営業戦略本部通販営業部部長の新海喜顕氏も、嫌われる広告の背景には「CPA至上主義」があると同調した。

続いて3者は、デジタルマーケティングにおける認知獲得施策の役割についても議論した。中根氏は、新規顧客に比べて既存顧客の売上が圧倒的に多い事業構造においては、認知に対する評価が相対的に低くなると指摘。兒嶋氏は、マーケティング統括者が全体的な管理を適切に行えば、その管理下において認知と獲得の指標を完全分離することは可能であるとの考えを示した。また新海氏は、認知をせずとも購入に至る場合もあることから、必ずしも認知獲得に特化した施策に注力する必要はないのではないかとの疑問を呈した。

セミナーの後半には、株式会社ムーンショット代表取締役CEOの菅原健一氏による司会進行の下で、D2Cスタートアップ企業による議論を展開。株式会社SpartyのCMOを務める横塚まよ氏は、同社がオーダーメードシャンプーという受注生産型のEC販売モデルの下で極めてパーソナライズされた広告コミュニケーションを取っていることから、「嫌われる広告にはなり得ない」と主張。DINETTE株式会社代表取締役CEOの尾崎美紀氏は、信頼関係を結んだ1000人以上のインフルエンサーの無料投稿により、「広告費をかけずに新規顧客を獲得」することが実現できていると伝えた。

写真3:バルクオム 野口卓也氏

株式会社バルクオム代表取締役CEOの野口卓也氏は、A/Bテストを行うに当たり、完成度の高い広告クリエイティブのみでテストをすることに疑問を提起。「キレイではないクリエイティブも試さなければ、真の広告効果は分からず、また全く新しいユーザー層を発掘することもできない」と述べた。

また本セミナーには、富士フイルム株式会社e戦略推進室マネージャーの一色昭典氏、資生堂ジャパン株式会社EC事業部オウンドEC推進室グループリーダーの小椋一平氏、株式会社ランクアップ宣伝部ファンサイトチームの河村樹氏、株式会社シンクロ代表取締役社長の西井敏恭氏なども登壇した。

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長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。