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「幸せなマーケターになるためのキャリアの作り方」とは?――「MCA道場」最終講義が開催

一般社団法人マーケターキャリア協会(MCA)は4月22日、都内にて、マーケターのキャリア育成を目的とした「MCA道場」の最終講義を開催した。前回に続き、新型コロナウイルス感染症の拡散・感染防止のため、本講座はWeb会議サービスのZoomビデオコミュニケーションズを利用したオンライン形式で実施された。

 

気になる30代での平均年収を紹介

「幸せなマーケターになるためのキャリアの作り方」をテーマとした本講座を担当したのは、MCA代表理事で株式会社ホールハート代表取締役CEOの小野進一氏。広告・ネット業界専門人材紹介サービスを運営してきた経験に基づき、マーケターのキャリア形成について論じた。

 

同氏は、キャリア形成のあり方を検討する上での重要事項の一つである年収について、講義の冒頭から踏み込んで言及。外資系事業会社、伝統的な日本の事業会社、ウェブ系事業会社、大手総合広告会社、一般的な総合広告会社、ネット系広告会社、マスメディア企業など業種ごとの30歳時点での平均的な年収レンジを紹介した。

 

業種ごとの異なるキャリア傾向を解説

またマーケターのキャリア形成における主な選択肢として、一つの企業に留まりながらの現場でのキャリアアップ、転職、起業、フリーランスとしての独立の4種類に整理。いずれの選択肢を取り得るかについては業種ごとに異なる傾向が見られると述べた。とりわけ希望する業務に従事できる時間の多寡や裁量の有無などについて業種ごとに特徴的な違いがあるため、キャリア形成のあり方が変わり得るという。

 

例えば伝統的な日本の事業会社では一般的に転職組が少なく、実際に事業会社出身の著名なマーケターは長年同じ企業で経験を積んでいる場合が多い。一方で、常に部署異動や人事異動の可能性にさらされており、必ずしもマーケティング業務だけに携わることができるわけではない。よってその会社の理念や提供サービスそのものに愛着を感じる人ほど成功しやすいとの印象を伝えた。

また大手総合広告会社は年収が高く、様々な役職が用意されているので、同じく社内でキャリアアップを実現する余地が大きくあるが、近年は残業抑制が推進されていることから残業代が削減されている傾向にある。

 

加えて現在、事業構造の再編が求められているメディア企業の最大のリスクは、今後もそのメディアが存在するかどうかが不透明なことであると説明。ただし、年収は比較的高い傾向にあり、違う業種への転職活動を行うも、その年収を維持できないとの理由で断念する事例が多いとも伝えた。

 

独立には年収1000万円到達が必要

同氏が実力主義であると見なすのが、外資系事業会社、ウェブ系事業会社、ネット系広告会社。同じ30代の社員でも、500万円~1500万円といった具合に年収の開きがあるという。いずれも転職を通じてキャリアアップを実現する傾向が見られ、またネット系広告会社などでは若くして執行役員や取締役に就任する事例が多いと述べた。

 

小野氏はさらに、マーケティング業務における起業やフリーランスとしての独立に対して予め注意を喚起。現在の日本市場においては、広告枠の販売や広告クリエイティブの制作作業に対して料金が発生することが一般化しており、広告戦略に関するプランニングやコンサルティング業務に対して支払いが行われることは稀であることに留意すべきと伝えた。

 

また独立前には会社勤めを通じた年収が1000万円前後に到達しているべきであるとの目安を提示。年収400万円と評価された個人の能力のみに対して、企業が支払いを行うことはまずないとの厳しい見解を示した。さらに独立後の人脈形成などの課題も指摘した。

 

最も重要なのはきちんとした実績

小野氏が講義全体を通して強調していたのは、一社できちんとした実績を挙げることの重要性。転職エージェントなどの後押しを受けて、数年ごとに転職を繰り返す人もいるが、そうした人で成功を収めた例は見たことがないという。さらにはキャリアアップや能力に関しては多様な捉え方があり、個人の給与が上がらずとも会社の事業が成長することをキャリアアップと見なすことができる場合があることや、会社を好きでいられるということも一つの能力であると説いた。

 

講義の終盤では、「今後10年のキャリアプランを書く」というワークショップを開催。各参加者が10分で考えをまとめ、ZOOMのブレイクアウトルーム機能を通じて他の参加者と共有し、代表者が発表するという手続きで進められた。続いて同様の形式で「マーケターとしての自分の幸せを考える」というワークショップが実施された。

 

最終講義が終了すると、修了式へと移行。MCAの各理事が各参加者へのねぎらいを含めた挨拶をした後、事前に郵送された修了証を手にしながらのオンライン記念写真撮影を実施した。その後も希望者が残り、それぞれの自宅などに用意した飲み物を開けながらのオンライン上での懇親会が行われた。

 

2019年8月から開始されたMCA道場の第1期はこれで終了。今後は第2期道場と、道場の上級編となるマスターコースが開催される予定となっている。

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長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。