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コネクテッドTVを「金の卵を産むガチョウ」に育てるには

視聴者数の増加とともに、コネクテッドTV(CTV)への広告主の注目が高まっている。この新しいチャネルは確かにポテンシャルに満ちているが、そうした将来性を完全に実現するには、マーケターは隠された落とし穴を認識し、回避する方法を学ばなければならない。インタラクティブ広告協議会(IAB)オーストラリアのテクノロジー責任者ジョナス・ジャーニマギ(Jonas Jaanimagi)氏(下の画像)がExchangeWireの独占取材に応じ、CTVは何を提供すべきか、CTVがもたらす機会を無駄にしないため、業界に何ができるかを詳細に語った。

 

オーストラリアではこの12~15カ月、CTVが広告界の真のヒーローとして台頭している。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のロックダウンが始まってから、上質な長編デジタル動画コンテンツをテレビ画面でオンデマンド視聴したいという消費者の欲求が劇的に高まった。これを受け、当然のことながら広告主は戦略を変化させ、そうした積極的なオーディエンスに狙いを定めている。オーストラリアはかなりユニークな状況にある。いくつもの大手放送局が競い合うように、上質なBVOD(放送局のオンデマンド・ビデオ)コンテンツを定期的かつ極めて健全に供給しているからだ。広告支出に関するIABオーストラリアの最新報告によると、カテゴリーとしての動画広告はディスプレイ市場を上回り続けているという。この成長の最も重要な要因としてCTVが挙げられている。

 

プログラマティックとプレミアムの「完璧なマリアージュ」

 

こうしたタイプの広告プロダクトの魅力は、単純なリーチ指標だけでは表せない。こういったプロダクトは従来のテレビCMバイヤーとデジタル広告エキスパートそれぞれにとって独特の魅力がある。大画面上の上質コンテンツを無料視聴するために広告も受容する熱心なオーディエンスにリーチできることや、オーディエンスターゲティング、フリークエンシーコントロール、ダイナミッククリエイティブ、データを活用した測定(少なくともその試み)といったプログラマティックデジタルの既知の利点を組み合わせることができるからだ。延べ視聴率(GRP)に、デジタルの基本的な保証であるアカウンタビリティ(説明責任)やアジリティ(機敏性)、そして広告管理がまるで魔法のように融合している。オーストラリアでは現在、デジタルのプレミアム環境は十分に正当化されている。購入されるのは今も大部分がパッケージ済みプロダクトで、オーディエンス在庫も(バイヤーの要件に応じて)バイヤーにダイレクトディールで提供されているためだ。よって、バイヤーのブランドがオープンマーケットのリスクにさらされることはない。シンプルで、ブランドセーフティが高度に確保され、適切にプロダクト化されており、マーケターの要求にもきめ細かく対応している。

 

過去の教訓

 

しかし、需要が劇的に増え続けているため、近い将来、CTV/OTTプロダクトの民主化が進むとIABは予想している。当然ながらすべてのバイヤーがニーズの高い広告在庫にアクセスしたいと考えるからだ。これを支え、実現できるよう、業界としても変化に備える必要がある。10年以上前を振り返ると、大手パブリッシャーや広告ネットワークが供給不足という手段を使い、ディスプレイ広告の価値を人為的に維持しようとしていたことがわかる。そしてアドテクノロジーはそれを自然かつ積極的に回避した。オープンインターネットは今も、あらゆるプロダクトの実行と上質な在庫へのアクセスの可能性を限界まで引き出す媒体だ。特に私たちが進む革新的な環境のなかでは、業界はオープン化の方法を考え、進歩を受け入れる準備を整えなければならない。この世界では不可避なことなのだから。

 

新しいプロダクト、古い課題

 

IABオーストラリアのテクノロジー責任者ジョナス・ジャーニマギ(Jonas Jaanimagi)氏

サーバーサイド広告挿入(SSAI)技術(広告を動画コンテンツにリアルタイムでシームレスに挿入する技術)の拡大によって効率化は進んでいるものの、CTVには配信、測定の両方に関する技術的な課題が残っている。SSAIは顧客体験を向上し、従来のクライアントサイド広告挿入(CSAI)技術より効率的かつ効果的に売上を創出できる。しかし、ID管理、クロスメディア測定、アドフラウドのリスクといった主要な技術的課題はいまだに解決されていない。IAB Tech Labのシニア製品ディレクター、アミット・シェティー(Amit Shetty)氏は、これについて以下のようにまとめている。「爆発的な成長とプレミアムな環境が仇となり、CTV市場はフラウド業者の格好の標的になっている。プログラマティック販売を成長させるには、まずフラウドの問題に対処する必要がある」

 

デジタル広告プロダクトは常に、完全な説明責任の呪縛に悩まされてきた。この要求に応えるためには、業界全体が団結し、適切なスタンダードと協調的なベストプラクティスにコミットしなければならない。モバイル広告の信頼性は、オーディエンスの劇的なモバイルシフトによって、長い間、過剰な期待に苦しめられてきた。プロダクトの一貫性や正確なアトリビューション、アドフラウドなどの課題を徐々に克服するより前に、「モバイルの年」という決まり文句の下で10年近くも稼働せざるを得なかったのだ。嫌というほどわかっていることだが、技術的、法的な環境は目まぐるしく変化しており、いまだこれらすべてが重要な課題として絶え間なく降りかかってきている。

 

過去に悪戦苦闘したハードルにつまずくことなく、明らかに確実性が高まってきているCTV/OTTの成長機会を着実に開花させるためには、業界全体が一致団結して取り組む必要があるだろう。アプリストア特有の一貫性のないサポートの問題や、奇妙で多様な独特のコンテンツの利害関係などによって、これ以上成長が阻害されるのは望ましくない。CTV/OTTをユニークなプロダクトとして成長させるためには、IAB Tech Labの技術支援の下、全世界のIABが責任を持って、教育や技術スタンダード、ベストプラクティスなどの最新版を提供する必要がある。これがIABオーストラリアで、我々がコミットしていることだ。

 

新しいプロダクト、古い課題

 

プログラマティック取引の透明性に関する主要な技術スタンダードは、ウェブベース、アプリ内という2つの環境で自動化を実現するための最も重要かつ基本的な仕様だ。しかし、もどかしいことに、真の協調的アプローチと広範な導入がなければ、これらのスタンダードが真価を発揮することはない。IAB Tech LabのOpenRTBプロトコルとフラウド対策(ads.txt、app-ads.txt、sellers.json、SupplyChain Object)のすべての背後にある中核理論は、透明性への完全な責任という思想的支柱によって支えられている。将来、マーケターが不要なリスクを負ってこの成長が妨げられないようにするために、IABオーストラリアとIAB Tech Labはオーストラリアの市場在庫にアクセス、検証するとともに、標準仕様の認知や啓発、ベストプラクティスや推奨事項を浸透させていく意向だ。VAST(動画広告配信テンプレート)の最新スタンダード、Open Measurementの改良版、公開が間近に迫るCTV専用のapp-ads.txtソリューションなどは、すべて重要なアップデートであり、これらは透明性に関するスタンダードを広範なデバイスやOSに対応させるためのツールとなるものである。

 

業界の全面的な協力がなければ、過去にさまざまな機会を失ってきたように、私たちはCTVでの大きな機会を逃すことになるだろう。すべての関係者が最新のスタンダードを採用して、ベストプラクティスを実行するよう啓発することで、将来すべての人が利益を得られるよう、我々は一致団結しなければならないのだ。

 

洞察や知識を得たい人は手始めとして、IAB Tech Labのシェティー氏の素晴らしいブログシリーズ(全6回)を読むことを推奨する。

 

 

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにサイバー・コミュニケーションズが翻訳・編集し、ご提供しています。

株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)
日本のインターネット広告誕生の1996年に設立。以来、電通グループのデジタル広告関連事業者として、デジタルマーケティング全般のサービスを展開、数百の媒体社・広告会社との取引と共に、業界を牽引し、最先端のマーケティングサービスを通じて、クライアントと ユーザーのコミュニケーションを実現している。