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2021年予測:屋外広告(OOH)

世界中の消費者が自宅に閉じこもり、屋外に繰り出すことがほとんどなくなった2020年は、屋外広告(OOH)にとって壊滅的な一年だった。しかし、悲観的な見通しにもかかわらず、OOHはその回復力を証明し、機敏性と柔軟性で状況に適応した。そして今、OOH業界を率いるリーダーの多くが、2021年は成長と成功の一年になると確信している。その中から3人のリーダーに2021年の予測を聞いた。

 

 

待望の技術標準が2021年に登場

プログラマティックOOHにおいての2021年は、何よりもまず、DSP、SSP、メディアオーナーの間で国際的な技術標準を確立することが重要です。具体的には、RTBプロトコルをOOH取引に適用すること、プレイアウトベースの取引やリアルタイム(に近い)取引を標準として実装することなどです。

 

 

現在、プログラマティックOOHのエコシステムは細分化されており、クライアントにとってバイイングはほぼ手作業という状況です。2021年には、どのDSPが本当の意味でOOH市場における地位を確立するのか、彼らのUSP(独自の強み)は何かが明らかになるでしょう。メジャーなOOHメディアとの接続を実現し、OOHとモバイルだけでなく、OOHと音声やテレビのオムニチャネルバイイングを提供するDSPがこのゲームを制することになります。エージェンシーとブランドは間違いなく、これからの1年でテクノロジースタックを見直し、より革新的なOOHアプローチを持つプロバイダーを選択するでしょう。2021年に、業界に求められるのは、プログラマティックOOHのターゲッティングと測定を定義することです。

MAIDSと位置情報の組み合わせは果たして、OOHのターゲティングと測定の基本的なものになるのでしょうか? OOHが1対多のメディアであるように、私たちは業界として、これまでにない観点から、つまり、コホートベースでターゲティングと測定にアプローチする準備ができているのでしょうか? たとえば、CPP(1プレイアウト当たりのコスト)、さらにはコホートベースのCPPなど、新しいKPIを定義するのでしょうか? 2021年にはこうしたさまざまな問題に取り組む必要があります。

OOHにおけるクリエイティビティも、これからの数カ月のうちに発展し始める分野だと考えています。OOHにはもともとクリエイティビティを刺激する要素があり、次の段階は当然、HTML5およびDCO(動的なクリエイティブ最適化)の開発とプログラマティックOOHエコシステムへの統合ということになります。これらの課題を2021年中に乗り越えた者がプログラマティックOOHを制することになるでしょう。

ウォールドゥコー(WallDecaux)(ジェーシードゥコーグループ)プログラマティック責任者、ドロタ・カーク(Dorota Karc)氏

 

2020年に示された柔軟性が従来のOOHエコシステムの成長を促す

2020年は間違いなく、OOHチャネルにとって厳しい1年でした。世界中の人々が屋内にとどまるように言われていたからです。ただしその裏では、クライアントにプログラマティックプランニングとバイイングを提供する最新のチャネルとなるべく、OOHが驚くべき進化を遂げた1年でもありました。今やOOHのデマンドサイドとサプライサイドの両方がプログラマティック機能の必要性を認識しており、プログラマティックへのスムーズな移行を実現するため、OOHに参入する専門事業者も増えています。

この1年で柔軟性が求められていることが浮き彫りになりました。ロックダウンが繰り返され、OOHの主要なデジタルスクリーンに配信される視聴数に影響が生じたという背景があります。プログラマティックプラットフォームにより広告主は、膨大なモバイル位置情報から得られるオーディエンス数データに応じた、インプレッション数の微調整が可能になります。これにより私たちは、オンライン(1対1)の世界とOOH(1対多)の世界の違いを把握することができるようになるでしょう。

2020年にはまた、パブリッシャーが今後、インベントリーを活用し収益化を図る真の好機があることが明らかになりました。私は2021年の予測として、2020年にプログラマティックDOOH(デジタル屋外広告)によって証明された機敏性と高い効率性が、従来のOOHエコシステムの継続的な成長を促進すると考えています。これを実現するには、DOOH環境のDSPとSSPがメディアオーナーやバイヤーと協力し、プログラマティックがいかにDOOHの改善に役立つか、クロスチャネルの世界でOOHをいかに効率化できるかを伝える必要があります。

ハイブスタック(Hivestack) 最高売上責任者、ナイジェル・クラークソン(Nigel Clarkson)氏

 

測定が重要な焦点になる

2020年は、DOOHの分野でプログラマティックおよびアドレサブル技術をどう活用できるかにクライアントが関心を寄せた1年でした。これまでは柔軟性や創造性、ターゲティングの話をクライアントに語るだけで関心をもってもらえましたが、2021年はDOOHのパフォーマンスと効果をリアルタイムで測定することを軸にストーリーを展開することになるでしょう。

 

私たちがDOOHで利用可能なプログラマティックやアドレサブルターゲティングの機能にもっと慣れたら、これらの機能を更に発展させ、キャンペーンの効果をリアルタイムで測定できるようにし、その結果、クライアントの具体的な目標に最適化できるよう、パートナーとともに取り組んでいきたいと考えています。既存のDSP の測定プロバイダーがOOHでリアルタイムにデータを活用できるようになるのか、あるいは、さらに刺激的な可能性として、まったく新しいソリューションが市場に投入されることもあり得るでしょう。つまり、私たちのクライアントがプログラマティックDOOHキャンペーンで真のプライベートソリューションを利用できるということです。どのような形であれ、私たちは2021年、DOOHキャンペーンが、クライアントの事業目標に対してリアルタイムで測定され、最適化され、結果としてオムニチャネルキャンペーンがさらに充実するというストーリーを伝えることになると、期待も込めて予想します。

マターカインド(Matterkind) 製品および戦略マネージャー、ヤスミン・アンドリューズ(Yasmin Andrews)氏

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本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。

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2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。