2021年予測:TV、CTV、動画
by ExchangeWire.com / Supported by CARTA HOLDINGS on 2021年4月02日 in ニュース
2020年は、あらゆる種類のコンテンツにとって最高の1年だった。なかでも特筆すべきは動画だ。多くの人が自宅に閉じ込められ、ロックダウンのストレスを忘れさせてくれる方法を探し求めた結果、ストリーミングプラットフォームやコネクテッドTV(CTV)、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、広告付き動画配信(AVOD)のサービスはサブスクリプション加入者数と視聴者数が急増した。成長は今後も続くと見られているが、こうしたチャネルがもたらしてくれる大きな機会を、広告主はまだ完全には把握していない。
2021年を予測する連載記事。今回は業界関係者5人に取材し、TV、CTV、動画を待ち受けている状況について尋ねた。
投資の増加とデータアクセスの向上でCTVとリニア広告キャンペーンが進化
CTVデバイスとアプリの数が大幅に増えたのに加え、自宅で過ごす時間が長くなったことで、2020年にはCTVの視聴時間が前例のないレベルにまで急増しました。CTV広告プラットフォームとデータプロバイダーはそれに対応して、機敏性に優れたデータ駆動型のCTV広告の機会を提供すべく、新たなクリエイティブとターゲティング広告ソリューションの開発を加速させています。
アンルーリー(Unruly)が先ごろ実施した調査によると、この業界全体の投資は広告主により良い成果をもたらしただけでなく、CTVの視聴者は一般的なTVの視聴者よりも製品を購入する可能性が42%高く、視聴者はより好ましいユーザー体験を享受するようになりました。(現在、英国の消費者の77%が、広告が表示されない有料コンテンツより、広告が表示される無料のTV番組を好むと回答)
こうした裏付けもあり、CTVに投入される広告費は増えるでしょう。消費者側から見ても、広告という観点からも、CTVが早々に成功を収めたことで、2021年のメディアプランはこれまでと大きく異なり、まったく新しいものになると思われます。メディアプランナーが、TVとデジタルの垣根を越えたリーチとパフォーマンスの向上に関するインサイトを与えてくれる、データという武器を手にするのは、これが初めてです。リニア広告キャンペーンはより戦略的になり、デジタル広告キャンペーンも進化することで、マルチチャネルの効率性が向上していくでしょう。
アンルーリー インターナショナル・グループマネージングディレクター、アレックス・カーン(Alex Khan)氏
2021年はブランドが動画広告機能を実験する1年に
マーケティング予算はいまなお下降線を描いているかもしれませんが、そのカーブが鈍化し続けていることは明るい兆しです。2021年は、デジタルを求める消費者とエンゲージするための1つの手段として、マーケターによる動画コンテンツへの予算投入が増加するとみられます。
2021年は、ブランドが動画広告のインタラクティブ機能を実験する1年となるでしょう。その視線は標準的な広告クリエイティブという枠を超えて、消費者がエンゲージメントも購入もしやすいフォーマットに注がれています。競争相手がひしめく市場でブランドを際立たせるのは双方向性であり、2021年には更に採用が進むと見られます。特に注目されるのがショッパブル動画です。広告主はよりシームレスな購入体験を求める消費者の要望に応えようとしており、ソーシャルメディアプラットフォームを中心に、ショッパブル動画はますます人気が出るでしょう。
ワンダッシュ(OneDash) 創業者兼CEO、ライアン・ペレラ(Rayhan Perera)氏
パンデミック中の視聴習慣がCTVに対する広告主の取り組みを形成
2020年は、消費者が自宅にこもるという新たな「ライフスタイル」が広告主の関心を呼び、予算が集中しました。在宅勤務などパンデミックに関連した制限は2021年も続くとみられ、消費者の「インドア生活」が広告主にとって重要なポイントであることは変わらないでしょう。つまり、マーケターは引き続き創造性を発揮し、デジタル動画の成長とCTV視聴習慣の拡大をうまく活用することで、リビングルームで時間を過ごす消費者のエンゲージメントを獲得できるような方法をさらに見出していかなくてはならないということです。
CTVの視聴者数が目立って伸びていることに加え、広告付きCTVコンテンツという選択肢が増えていることで、広告主はすでに視聴者の動きに合わせ、従来型TVの予算をCTVへと振り替え始めています。マーケティングとメディアの専門家のおよそ10人に9人(88%)は、デジタル動画/OTT(インターネット配信)とCTVテクノロジーの進歩によって、2021年には従来型TVからデジタルへと広告支出が移行する流れが加速すると考えています。実際、eMarketerでは、CTVの広告費は近年最大の成長率となり、米国では40.1%増の113億6000万ドル(約1兆2337億円)に達すると推定しています。
CTVを視聴しているのはおそらく若い世代だとみられますが、より上の年齢層にも広まりつつあります。2020年に米国でCTVを視聴していたのは、Z世代の合計4570万人に対し、ベビーブーマー世代は3280万人でした。自宅にこもる生活が続くなか、マーケターはそれぞれのオーディエンスとつながるためにCTV広告を採用していくでしょう。
eMarketerのレポートによれば、2021年までにCTVインベントリーのおよそ60%がプログラマティック購入されると報告されています。CTV市場の成長にともないCPMは上昇しましたが、アプリのエコシステムは分散化し、広く採用されている業界標準も存在しません。
こうした状況は、OTT/CTVを取り巻く環境でアドフラウドのリスクが高まっていることを意味します。CTVのアドフラウドとブランドリスクをめぐる大きな懸念から、2021年にはセーフガードを活用する広告主が増え、CTVのベリフィケーション技術とパートナーシップも進歩していくでしょう。
インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science) CMO、トニー・マーロウ(Tony Marlow)氏
2021年はデジタルと従来型TVの本格的なデータ統合元年となるべき年
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる制限によって、メディアやチャネル全般でオーディエンスの行動が根本から変化しました。その結果、テレビは視聴時間の増加と関心の向上という恩恵を受けています。こうした状況は2021年以降も続き、データを活用したテクノロジー主導型の広告配信(とくに測定分野)への動きが加速し、TVの仕組みを支える業界にも影響がおよぶと私たちはみています。
これは予測でもあり、行動喚起でもありますが、2021年はTVのエコシステム全体のデータ統合と調和が真に実現される年になるべきだと考えています。ブランドやマーケターが求める効果を得るために必要な条件を構築するため、従来型TVとオンデマンドTVを一体化させるのです。普遍性が得られると同時に、TVのデータは実用的、即時的、透明性を持つものでなくてはならないという点においても、同様の動きが起きるとみています。2021年にはそれを可能とする新たな業界パートナーシップが誕生するでしょう。
アドジャイル(Adgile) グローバルCEO、ポール・エバンス(Paul Evans)氏
メディア投資には有効性への自信が必要
2020年に、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた10年にもおよぶロードマップが、数日や数週間までに短縮されたのは、新型コロナウイルスによって生じたニューノーマルに適応するためでした。そうした大転換の中心にあったのが動画視聴です。現在、ユーチューブには1時間あたり30万時間分を超える動画がアップロードされています。
また、フェイスブックやインスタグラム、TikTok(ティックトック)などのプラットフォームには、無限とも思えるほどの動画供給が続いています。
しかし、動画視聴が急増し、それに伴う広告費も大幅に増額したことで、重大な疑問が生まれています。チャネルとしての動画の価値を導き測定するうえで最適な方法は何かという疑問です。
デスクトップPCやスマートフォン、CTVで動画を視聴する人が増えるにつれ、広告主は動画広告の効果をめぐる透明性の向上を求めるようになるでしょう。
2021年に動画広告で成果を上げるためには、広告主は効果とコンテンツの両面で、自信をもってメディアに投資しなければなりません。広告主はすでに、自社ブランドと関連性のある高品質のコンテンツを結びつけることは可能であり、関連性が動画広告の成功を握るカギであることを知っています。
パブリッシャーは大小を問わず、この驚異的な成長を活かしながら、広告主にとっては最大限に効率的な道を、消費者にとってはこの上なく楽しい体験を生み出すための手段を模索することになるでしょう。
プリミス(Primis) コンテンツ担当責任者、オムリ・ポラック(Omri Polak)氏
ExchangeWire.comGLOBAL by CARTA HOLDINGSGlobal by CCI
ABOUT ExchangeWire.com / Supported by CARTA HOLDINGS
本記事は、ExchangeWire.comに掲載された記事の中から日本の読者向けにCARTA HOLDINGSが翻訳・編集し、ご提供しています。
株式会社CARTA HOLDINGS
2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。