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コンビニ最大手の購買データをオープンインターネットへ。The Trade Deskとセブン‐イレブン・ジャパン、リテールデータ活用で連携。

実購買データに基づく確実性の高いターゲティング手法へのニーズが急速に高まる中、独立系DSP大手のThe Trade Desk(以下、TTD)と、国内最大級のコンビニエンスストアチェーンであるセブン‐イレブン・ジャパン(以下、SEJ)が、リテールデータを活用したターゲティング広告配信における戦略的な連携を発表した。

メディア関係者向けに開催された説明会では、両社のキーパーソンが登壇し、オープンインターネットにおけるデータ活用のビジョンや本連携が広告主にもたらす価値について詳細が語られた。

 

ウォールドガーデンに対し、バイサイドに特化した「中立性・透明性」で新たな選択肢を提示

 

冒頭、The Trade Desk日本支社ゼネラルマネージャーの馬嶋氏が登壇し、同社の成り立ちとビジョンを説明した。

 

 

TTDは、2009年にアメリカで2人のエンジニアによって創業され、広告の売り手(媒体側)の収益や広告配信量のみを優先する従来システムから、買い手(広告主側)に特化した中立かつ持続可能なプラットフォームを志向したのが始まりとなる。

 

馬嶋氏は、TTDが持つ強みとして「中立性」と「透明性」を挙げた。

TTDでは自社データとサードパーティデータを使って広告配信し、第三者のデータを使って計測することが可能となり、中立的な立場でデータを活用している。さらに透明性の面でも、どの媒体に対していくらで入札・購入し、どのような広告効果が得られたのかを管理画面上で詳細に把握できるプラットフォームを設計している。

また、成長が著しいOTT、CTV、オーディオ、ディスプレイなど、ユーザーの多様な生活動線に合わせたマルチチャネルの配信において、透明性とコントロールが極めて重要な役割を果たすと語った。

 

1.3兆円規模へ成長する市場。オフラインの実購買シグナルが持つ価値

 

続いて、The Trade Deskでデータ事業を統括するシニアディレクターの城間氏が登壇し、リテールメディア市場の現状とSEJとの具体的な連携内容について説明した。

 

城間氏は、国内のリテールメディア広告市場の大幅な成長予測を示しつつ、「小売売上の約87%(食品・飲料においては95%)は依然としてオフラインの実店舗で行われている」という点に着目。マーケターが直面する断片化した消費者接点やオフライン購買において、リテールデータの活用こそが課題解決の鍵となると強調した。

 

TTDは、すでに共通ポイントサービス「Ponta」をはじめとする会員基盤や購買データを活用しマーケティング支援を行うロイヤリティマーケティングとデータパートナーシップを築いているが、ここに今回、SEJが持つデータ資産が加わる。
SEJは全国に約2万2000店舗を展開し、ユーザー属性、POS、店舗位置情報などの強力なファーストパーティデータ(SEJデータ)を保有している。本連携により、広告主はTTDのプラットフォーム上に連携されたSEJデータにTTDの管理画面からアクセスし、広告配信に活用できるようになる。

 

 

城間氏は、本提携による広告主のメリットとして、以下の4点を紹介した。

① 高精度のオーディエンスセグメント

豊富な商品カテゴリーをベースに、最大1年分の購買履歴から構築されたセグメントを活用可能。

② カスタムオーディエンス機能

SEJとの連携を通じ、特定のブランドに合わせたカスタムセグメントの構築が可能。

③ オムニチャネルでの広告配信

CTV、オーディオ、ディスプレイなど、オープンインターネット上のチャネルを横断してSEJデータを活用可能。

④ AIを活用した最適化

TTDのAIを活用し、長期的なキャンペーンのパフォーマンスを最適化する。

 

外部配信における「技術・スピード・セキュリティの壁」を突破

 

ゲストとして登壇した株式会社セブン‐イレブン・ジャパン新規事業推進室 リテールメディア推進部 総括マネージャーの大石氏は、リテール事業者としての視点から、データ活用の重要性と今回の提携に至った背景を語った。

 

 

SEJの店舗には1日あたり約2000万人が来店する。この膨大な購買データは、これまで商品開発や自社アプリ「セブン‐イレブンアプリ」(会員数約2800万人)内でのクーポン配信等に活用されてきた。アプリ内で購買データに基づくターゲティング配信を行うと、データを使わない場合と比較して劇的に効果が上がることから、外部でも有効活用させたいというニーズが高まっていた。

しかし、SEJが独自に外部広告配信を試みたとき、個人情報の保護のための手間、施策実行の遅さ、配信できるメディアの幅が限られてしまうといった課題が浮き彫りとなった。

こうした課題を解決したのが、TTDとのパートナーシップである。

 

大石氏は、「TTD様と連携できたことで、クライアントであるメーカー様も我々も、全く負荷なく多くのプレミアムメディアへとデータを安全に繋げられるようになった。データの独立性と価値をしっかりと維持しながら、適切なターゲティングができるソリューションを共に構築できたことが大きい」と述べた。セブン‐イレブン独自のデータが、よりパブリックに有効活用されることへの強い期待を示した。

 

すでに複数のデータパートナーシップを結ぶTTDによる、セブン-イレブンとの新たな連携により、広告主はますますチャネルを横断してリーチすることが可能となる。日本におけるリテールメディア基盤がより進化し、データ活用の可能性を広げることが予想される。

 

ABOUT 角田 知香

角田 知香

ExchangeWireJAPAN 編集担当。イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。