ターゲティング設定はもう必要ない? 楽天のAI配信は何ができるのか[インタビュー]
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オンライン広告は、それまでの広告形態では難しかった「ターゲティング」と「効果測定」を容易に行う環境を実現したことでマーケターに重宝されるようになった。しかし、AI技術の発展により、この状況にも変化が生まれつつある。「AIはターゲティングを超えた」と述べる楽天の田中 利昌 氏に話を聞いた。
(Sponsored by 楽天グループ)
時代はAI配信へと移行しつつある
―あらゆる業界が最新のAI技術を導入しています。貴社の広告事業ではどのようにAIを活用していますか。
現在はアドテク関連だけに限っても様々なテクノロジー企業様がAI技術を活用した新規の広告商品を次々と投入しています。当社の強みは、ユーザーの属性情報と消費行動が一元管理された独自のデータベースである「Rakuten Customer DNA(CDNA)」を使ってAIを組み込んでいることです。
このCDNAを基盤として、広告主様よりコンバージョンデータをお預かりし、広告主様サイト上でコンバージョンしたユーザーが、「楽天エコシステム(経済圏)」ではどのようなオンライン行動をとっているかを分析した上でモデリングを作成し、このモデリングに基づくスコアリングなどを行います。
資料提供:楽天グループ株式会社
この一連のターゲティングを行うソリューションを「未来購買予測」と呼び、楽天の広告アセットとしてご提供しています。
―「未来購買予測」は通常の広告メニューとは異なるのでしょうか。
当社ではディスプレイ広告や動画広告、DMなどのマーケティングソリューションを集めたプラットフォームである「Rakuten Marketing Platform(RMP)」を運営しています。いずれのソリューションにおいてもノンターゲティング配信または購買履歴など様々なデータに基づき形成するセグメントに応じたターゲティング配信が可能であり、これらの選択肢に加えてさらに広告パフォーマンスを高めることができる「未来購買予測」をご案内しています。
―つまり「未来購買予測」では「都内在住の30代女性」や「過去1週間以内に酒類を購入した人」といったターゲティング設定を行わないのですね。
当社が蓄積するデータとAI技術の精度は極めて高く、セグメントに基づくターゲティングよりもAIによるターゲティングの広告効果は高いです。オンライン広告市場はその黎明期からターゲティング広告を特徴として成長してきたと思うのですが、もはや時代はAI配信へと移行しつつあると感じています。
AIだけができること
―「航空券を購入した人に渡航先のホテルをレコメンドする」といったコンバージョンデータの活用法は随分と前から定着しているように思います。AIを活用することでその精度がさらに高まるということでしょうか。
巨大なデータベースを活用することで、コンバージョンの直前及び直後のオンライン行動だけではなく、その他様々なデータを抽出し、人間では決して気付くことができないような因子を見出すことを目的としてAIを活用しています。
例えば当社のデータベースでは、10年以上遡って購買履歴を蓄積しています。以前にもご紹介したBOTANIST様の商品は、メイクや他のヘアケア関連製品の購入者が積極的にご利用になっていることまでは自明であったものの、テニスやマリンスポーツ関連商品の購入者が多くいるということまでは十分に把握することは難しかったと思います。
後から振り返るとアウトドアスポーツを楽しんだ結果として髪の傷みを気にするようになったということが漠然とは想像できると思うのですが、ここまで具体的な購買データとの関連性を見出すことができるというのは当社のAIならではと思います。
―AIを活用すれば「人間では決して気付くことができないような因子を見出す」ことができる一方で、そうした因子を見出すまでの過程が分かりにくくなるのではないでしょうか。
一般論として広告におけるAI関連商品はその仕組みがある意味でブラックボックス化しており、特定の因子を見出すためにどのような分析を行ったかが見えにくい部分は確かにあると思います。
ただし、当社の「未来購買予測」をご利用いただくのは大多数がいわゆるパフォーマンス案件であり、CPAつまりは費用対効果が良ければその過程はあまり問われないことが多いです。
―広告代理店は広告主に対して説明する必要がありますよね。
AI配信を行うと、広告代理店が予め描いていたユーザー像とは異なるユーザーへと広告が配信される場合はあるかもしれません。ただユーザー像というのは常に新たな発見とともに更新され得るものです。また当社であれば、楽天インサイトなどの機能を通じて想定外のユーザーに対してアンケートを実施することでなぜ購買に至ったかを広告代理店企業様と一緒に探ることができます。
―「未来購買予測」と相性の良い商材は何ですか。
分析項目が多岐にわたる高単価な長期検討商材が適していると思います。例えば不動産の場合、成約日を0日とすると、その1000日前つまり約3年前に、キッズ、ベビー、マタニティ、そして100日前つまり数カ月前からインテリア系の商品を買い始めるユーザーが多くいます。家族が増えて、新しい生活環境を整えようとしている様子がつぶさにわかりますよね。こうした人々に適切なタイミングで不動産広告を配信すれば成約率の増加が期待できます。
資料提供:楽天グループ株式会社
また教育商材のようなLTV型の事業との相性も良いです。2000日前つまり約5年前に抱っこ紐を買って、小学校への入学のタイミングで教育サービスの利用を開始するユーザーが数多くいらっしゃいます。AIを使って、こうした一連の流れをつぶさに把握することで適切なタイミングで広告を配信することが可能になるのです。
資料提供:楽天グループ株式会社
AI発展の道筋とは
―このような分析を行うには、AI技術の発展に加えて、それこそ10年単位で蓄積した膨大なデータが必要になりますね。
データがあればあるほど、様々な共通因子を導き出す確率が上がるので、AIの精度はさらに高まります。当社が蓄積するデータを増やすためには、広告事業だけに留まらず「楽天エコシステム(経済圏)」全体を発展させることが重要です。データが増えてAIの分析精度が高まり、広告主の皆様のマーケティングがさらに効率化されるという好循環が既に生まれています。
また現状では「楽天市場」の購買データなどが起点にはなっていますが、今後「楽天ポイントカード」を提供する店舗サービス企業様とのPOSデータ連携を通じデータは増強されていく予定です。
―AI機能自体は今後どのように発展させていく見込みですか。
AIはあくまで何かを成し遂げようとするときの手段です。結局のところ、当社に求められているのは広告パフォーマンスなので、あらゆる手段を駆使して広告パフォーマンスを高めていきたいと思います。
一方で、パフォーマンス案件だけでなく認知向上やブランディング施策を実施する広告主様に対しても、とりわけ分析業務においてAI機能をご提供することを検討しています。
先ほども申し上げた通り、AIは人間が気付くことができない商品・サービスのターゲットや利用状況を見つけるのが得意です。広告配信前の仮説づくりやユーザー分析に活用できるAI機能を整備することで、ブランディング施策を行う広告主様のご支援がもっとできるようになりたいと思います。
ABOUT 長野 雅俊
ExchangeWireJAPAN 共同編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。ExchangeWire主催の大型イベントであるATS Tokyoのモデレーターも務めている。









