AIトランスフォーメーションの最前線 JAPAN AI独自開発の高精度RAG技術とは?【インタビュー】
日本のAIトランスフォーメーション(AX)を牽引するJAPAN AI株式会社(代表取締役社長:工藤 智昭、以下「JAPAN AI」)が、独自開発したRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術(*1)で業界最高水準の82.7%の精度を達成したことを発表し、大きな注目を集めている。 本記事では、プレスリリースを発表した背景や反響、そして独自開発したRAG技術がJAPAN AIのマーケティングに与えるメリットと、将来展望について同社の執行役員 CMO マーケティング部 部長 飯田海道氏とプロダクトマネジメント部 リーダー 久保田善行氏にお話を伺った。 (*1)RAG技術:大規模言語モデル(LLM)の精度と信頼性を、外部ソースから取得した情報で強化する技術。大規模言語モデル(LLM)が持つ一般的な知識に、企業内の信頼できる最新データを組み込むことで、より正確で信頼性の高い回答を生成する。 RAG技術に関するプレスリリースを行った背景 JAPAN AIは、AIを活用した企業変革を支援するため、コンサルティングやプロダクト提供、AI人材支援まで幅広く展開している。 今回プレスリリースで発表したRAG技術に関しても、同社は創業以来力を入れてきた分野である。 プレスリリースを行った背景として久保田氏は「ユーザー様から『他社と比べて精度が良い』という評価をいただいていたが、定量的な比較はこれまでなかったため」と述べ、自社の技術力を客観的に確認するため、調査・検証を行ったと説明した。 今回の調査・検証では、複数の大規模言語モデル(LLM)を用いて模範解答との意味的な類似性・一致性を考慮した正答率指標により評価を実施。社内外の評価データセットを用い、他社クラウド製品と比較するベンチマークを行ったところ、業界最高水準の82.7%という高精度を達成したことから、プレスリリースを行ったという。 RAG技術というある意味でニッチな分野ではあるが、この発表は大きな反響を呼び、飯田氏も「企業のAI推進者がRAG精度に高い関心を持っていることを実感した」と述べた。 JAPAN AIが提供しているサービス JAPAN AI AGENT: 設定された目標に対し、AIが自律的に思考し、タスクを実行するAIシステム。日常的なタスクを自動化することができる。 サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/agent/ JAPAN AI CHAT: 最新の言語モデルを活用した法人向けAI活用プラットフォーム。データ連携と独自開発による高精度RAGにより、社内データの検索や回答生成が可能。 サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/chat/ JAPAN AI SPEECH: 議事録を自動生成するAIサービス。業界用語への対応や話者分離機能を備え、AIによる要約・編集も可能。 サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/speech/ 今回のプレスリリースに該当する機能 Agentic RAG:独自開発した高精度RAG。単に情報を検索して表示するだけでなく、回答の正当性を検証し、より適切な表現を確認・生成する。具体的には、複数の情報源を参照しながら、回答内容の整合性チェックや、より良い表現方法の検討を行い、最適な回答を生成する。 「Agentic RAG」は、JAPAN AIが提供している各サービスに実装されており、ユーザーは、従来のライセンスのまま使用することができる。 高精度RAG技術のユーザーメリットとマーケティング戦略 飯田氏はマーケティング視点からも今回の発表に大きな手応えを感じている。 「RAG精度が高いことで、新規のお客様はもちろんのこと、すでにJAPAN AIを利用しているお客様の満足度が上がり、利用率やライセンス数、LTV(顧客生涯価値)向上に直結すると考えています。私も実際に『Agentic RAG』を使用してみましたが、アウトプットされる品質が上がり、生成AIの回答の精度が明らかに向上していると感じています」と語る。 続けて「AIの進歩によって、日常的で雑多なタスクを人間ではなく、AIが行うシーンが今後増えていくでしょう。そんな時、企業におけるタスクの自動化においては、法人独自のデータとシームレスに連携できることは絶対条件であり、かつそこから正しい情報を抽出できることが重用な要素です。その両方を解決できる『Agentic RAG』は、多くの企業から支持されるはずです」と期待を込める。 実際に、今回のプレスリリースで、JAPAN AIのことを知った事業者からの問い合わせも多かったという。 飯田氏は「本リリースを機に、企業のAI活用における『RAG精度が重要な要素』であることを啓蒙し、より多くの企業に選ばれる存在を目指していきます」と強調した。 Agentic RAGの強みと特徴 「Agentic RAG」は、単なるFAQシステムに留まらず、独自のエージェント機能によって、真価を発揮する。従来のRAGでは、ユーザーが言語化できないニーズをシステムが汲み取れず、最適な回答を導き出すことが難しいという課題があった。しかし、エージェント機能を備える「Agentic RAG」は、システムがユーザーの意図を理解し、必要な情報を自ら考え、文章を吟味し、回答を生成することが可能となった。 この技術に関し久保田氏は「Agentic RAG」がゼロからカスタマイズされている点が大きな特徴と語る。 「他社がオープンソースやプリセットを利用するのに対し、JAPAN AIは独自の技術を開発して精度を上げると共に、将来的なカスタマイズに対応できるようにしています」と解説。 さらに、RAG技術において重要なデータアップロード時のチャンク分割(*2)の最適化について「文脈が維持される形でチャンク分割ができるように調整し、検索精度を向上させています。特に、検索後には質問に対する回答の妥当性をランキングする『Rerank』という手法を取り入れ、より正確な情報を生成できるようにしました」と明かし、JAPAN AIの高い技術力をアピールした。 (*2)チャンク分割:テキストやデータを意味のある小さな単位(チャンク)に分割処理すること。大規模なテキストデータを扱う際、一度に全体を処理するのではなく、分割することで、効率的な処理や検索、分析が可能となる。 今後の展望 最後、久保田氏、飯田氏にJAPAN AIの今後の展望について聞いた。 久保田氏は技術的な今後の展望として「データベースに保存する前に、AIエージェントがデータ形式を分析し、RAGの精度を自動で最大化する技術を開発中です。2025年の夏までに実装できるように作業を進めています」と報告。 この技術は、AIエージェントが人の手を借りず、自らデータの形式を最適化し、RAGの精度を向上させるというもの。これは、AI自らが考えて改善し、実行するという革新的な技術ではないだろうか。 飯田氏は「多くの企業がデータの保存方法やデータの活用方法(紙ベースのもの、パワーポイントなどテキストではないデータをどのように生成AIに学習させるのかなど)、AI導入による業務プロセスの変化に悩んでいます」と現状を説明。その上で「今後は、さまざまな業務アプリケーションや、他社が提供するソリューションと自社サービスの連携を進め、さまざまなデータソースからの情報を統合し、業務プロセス全体を自動化するプラットフォームとして業務の自動化を加速させていきます」と抱負を語った。 そして最後に、「JAPAN AIは、国産AI企業として、日本企業特有の業務文化に寄り添い、温かみのある支援を提供していきます」と力強く締めくくった。 JAPAN AI最新情報 JAPAN AIのプレスリリースは下記から確認できる。 https://japan-ai.co.jp/news/ 【PR [...]
社内を見つめることで生まれるPR施策を目指して-ニューステクノロジー 林 優里氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステークホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第1回は、DOOHメディア業界をけん引し、タクシーサイネージメディアを筆頭に複数のメディア事業を運営する株式会社ニューステクノロジー の林 優里氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 林 優里氏 株式会社ニューステクノロジー 広報マネージャー 新卒で航空会社に入社し客室乗務員として数年勤務した後、20代のうちに色々なことを経験したいという想いから、もともと興味があったPRの仕事が出来るベクトルグループのニューステクノロジーに転職し、広報部門に配属される。 【インタビュー対象企業】 株式会社ニューステクノロジー 国内最大手のPR会社であるベクトルのグループ企業として、モビリティプラットフォームや動画マーケティングを中心に事業を展開。都内最大級のタクシーサイネージメディア「GROWTH」、日本初のモビリティ車窓メディア「Canvas」など、移動空間を活用した新たなメディア開発に注力。さらにYouTubeを主軸とするカルチャー動画メディア「McGuffin」や、喫煙所サイネージメディア「BREAK」など、オンラインからオフラインまで多様なメディアを展開している。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 林氏:ニューステクノロジーでは、サイネージを起点としたメディア事業やYouTube・映像制作、モビリティ領域で高級ハイヤーサービスも手掛けています。それぞれの広報戦略の立案から、戦略に紐づくPR企画の進行、プレスリリース作成、メディアリレーションの構築、イベント企画などを行っています。採用広報を目的とし、オウンドメディアを運営したり、各サービスのSNSを活用した企画のディレクションも一部担当しています。さらに社内広報として、定期的な社内イベントの運営や最近は社内のサイネージを活用したコンテンツ作りや企画も手掛けています。 すべてのサイネージにクリエイティビティを -社内向けの広報とはどういったものでしょうか。 林氏:デジタルサイネージを手掛ける企業ということもあり、社内のいたるところにサイネージが設置してあります。そこで社内に対して何を発信していくのかというコンテンツ作りや社内イベントの運営などがあります。 代表がPR会社出身であるということもあり、アウトプットには目的に対して、クリエイティブかつスタイリッシュな表現が求められます。代表の方針に加えて「広報ならではの視点で、社員にどんな情報を届けたいか」ということを意識してコンテンツ作りをしています。 -社外向けのイベントなども多くありますか。 林氏:最近ですとカルチャー動画メディア「McGuffin」で、メンバーシップ向けのイベントを企画提案しました。その他、クライアントや広告代理店向けにデジタルサイネージ事業のメディア勉強会を企画することもあります。自社開催以外にも、代表や営業メンバーが広告やメディア関連のカンファレンスに登壇することもあるので、ニューステクノロジーとしてどういったターゲットに、どのようなメッセージを発信していくべくなのかということを代表や事業部とすり合わせながら全体の構成を考えていきます。 -会社の雰囲気はいかがですか。 林氏:中途採用での社員が多く、メディア・広告業界以外から異業種転職してきている社員も多くいます。私もその一人ですが、それぞれのスキルを活かしつつ、チームで補いあっている空気があります。一人一人の裁量が大きく、若手であっても頑張り次第で評価される職場です。 -主な顧客層を教えてください。 林氏:広告主や広告代理店が主な顧客となりますが、ステークホルダーは多岐にわたります。タクシーのサイネージから、映像制作やモビリティなど各事業部によって向きあう顧客は変わってきます。広報として各事業部とコミュニケーションを取り、こちらから積極的に提案するときと、意見を聞きながら進めていくときと、事業の進捗や事業部の空気感によって、手段を使い分けながら進めています。 地道なインプットと社内コミュニケーションを日々積み上げていく -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 林氏:メディアリレーションの構築には、常に一定の時間を割いています。私が入社したときはそもそもメディアとの関わりがなかったので、メディアの方に会いに行って、プロフィール資料を持ち込んで代表や会社・サービスの取材をお願いするというようなことが多かったです。そのころと比べると企画やイベント運営、コンテンツ作りなどに割く時間が増えてきましたが、今でもメディアとのお付き合いはとても大切にしています。こまめに対面でお会いし、コミュニケーションを取ってトレンドや読者の興味・関心を把握しておかないと、広報として時流を汲み取った提案もでてこないと思います。常に生の声から情報収集をしてインプットをし、自分の意見や思考をもって提案できるように日々勉強しています。 -業務で注力していることは何ですか。 林氏:事業部ごとでステークホルダーや課題が異なるので、短期・中長期での戦略や施策の立て方もさまざまです。絶えず状況も変化する中で、コミュニケーションを通してそれぞれのサービスの進捗把握をしておくことには注力しています。そうしないと、意図を持った再現性の高いPR施策はできてないと感じているからです。広報部門としては、良かれと思い一定のコストや労力をかけてPR施策を実施しても、振り返った時に会社やサービス単位で、どういった意味やインパクトがあったのか説明できないという状態は一番避けるべきだと思います。 代表からは、「社内の状況や課題感をきちんと把握・理解していることが事業成長に繋がるPRを生む」とよく言われます。時には、社内でのちょっとした出来事や声がPRのネタやヒントになり、企画やメディアへの露出に繋がることもあります。それが結果、事業成長や課題解決に繋がるアウトプットになることもあると思います。最近では、セールスチームにPRの視点を交えて、企画の切り口などを提案をすることもあり、良い形での社内連携ができていると思います。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 タクシーサイネージメディア「GROWTH」を筆頭に、喫煙所サイネージメディア「BREAK」やカルチャー動画メディア「McGuffin」など、オフラインからオンラインまで複数のメディアを運営しています。社内に映像制作の事業部「HOLONIX」もあり、作るところから届けるところまで一気通貫したプランニングが可能です。興味のある方は是非お気軽に会社HPよりご連絡いただけますと幸いです。 https://newstech.co.jp/contact/
【アンケート回答募集中】広告クリエイティブの制作における生成AIの利活用に関する実態調査
ExchangeWireJAPANを運営する株式会社デジタルインファクトでは、事業会社にお勤めで広告主のお立場で、広告クリエイティブ制作に携わっておられるご担当者様を対象に、クリエイティブ制作についてお聞きするアンケート調査のご協力者を募集いたしております。 ご回答いただいた内容につきましては、定量的な統計処理において使用させていただきます。 ご回答者様のお名前と回答結果とを直接結びつけて対外的な公表をすることは一切ございません。ご協力お願いいたします。 ■テーマ: 広告クリエイティブ制作における生成AIの利活用について ■ご回答対象者:事業会社にお勤めで、広告主のお立場で、広告クリエイティブの制作に携わっている方 ■ご回答いただいた結果:統計処理を実施して調査結果を活用させていただきます ■ご回答期限:2025年6月25日(水)まで ■謝礼:先着200名様にAmazonギフトコード1,000円分をご贈呈いたします ■所要時間:約3分程度 下記URLにアクセスしていただき、アンケート画面にお進みください。 https://questant.jp/q/VG17GEIO
ATS Tokyo 2025、3年連続で大トリは高広 伯彦氏[ニュース]
2025年11月21日(金)に東京ドームホテルで開催を予定しているExchangeWireのATS Tokyo 2025の年間プログラムの大枠が決まりつつある。 今年も大トリは、高広 伯彦氏の登壇が確定した。 高広 伯彦氏といえば、もはやその経歴は言うまでもない。 近況で変化があったので付け加えておくと、同氏は今年4月より同志社大学大学院 ビジネス研究科で教鞭を執っており、志高いビジネスパーソンにBtoBマーケティングを指導している。 そして今年開催されている大阪万博への並々ならぬ熱意をもち、既に訪れた回数は11回(6月13日現在)を数える。あと数パビリオンを残して、全制覇も近いという。そんな高広氏がまとめた、「【万博行くならこれ持っていき!】大阪・関西万博に5回行ってわかった、現地で役立つアイテムたち」は、これから大阪万博に行く方たちは必読だ。 さて、話を元に戻そう。 今年高広氏が登壇予定のセッションは、「マーケティングはどこへ向かうのか──変革期を生き抜くための羅針盤(仮)」 AIの急速な普及に象徴される、様々な技術的な与件が変化するなか、マーケティングの変化の本質を語っていただく(予定)。 ATSTokyo2025は、過去1年のデジタル広告業界における振り返りを、技術的な側面を盛り込み、広告の買い手と売り手それぞれの視点で、オーディエンスの目線に合わせて出来るだけ分かりやすく議論する場である。 選ばれた各登壇者たちや、一堂に会する400名とともに、業界の現状と今後のあるべき姿を一緒に考える一日を、意識が高くエッジが尖った業界のエキスパートにお届けする。
ABCash Technologies、2024年の金融情報サービス・金融教育サービス市場は計3,315億円、2030年には4,052億円に達すると予測[ニュース]
お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する株式会社ABCash Technologiesは、株式会社デジタルインファクトと共同で、金融情報サービス・金融教育サービス市場に関する調査を実施した。投資が「一部の人のもの」から「誰もが学び活用するもの」へと広がる中、金融教育・金融情報サービス市場は2024年に3,315億円へと拡大し、今後もさらなる成長が期待されている。 本調査では、金融に関する最新の市場動向やニュースを提供する「金融情報サービス」、金融に関する知識やスキルを長期的に身に着けていくことを目的に提供する「金融教育サービス」、これらの制作ならびに消費者や企業への提供に際し、企業や個人が対価として受け取る金額(※1)を「金融情報サービス市場」および「金融教育サービス市場」と定義し、市場規模の推計・予測を行った。 ※1 金融情報サービスおよび金融教育サービスの提供にあたり、提供者が受け取る広告収入、課金収入や、コンテンツ制作にあたり制作者が受け取る費用も市場に含む。金融投資商品・生命保険商品の売買で生じる代理店への契約手数料等は含まれない ■金融情報・金融教育サービス市場の現状 日本における金融情報は、これまで主に新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったマスメディアを通じて、株価や為替の動向などのニュースとして投資家層に向けて発信されてきた。 2014年には、政府が家計の安定的な資産形成と成長資金の供給拡大を目的に、「少額投資非課税制度(NISA)」を導入。その後も、2018年の「つみたてNISA」、2024年の制度改正による年間投資枠の拡大など、制度は段階的に拡充されてきた。これらの後押しにより、2024年12月時点のNISA口座数は2,560万口座に達し、国民の5人に1人以上が利用する身近な仕組みへと定着している。 さらに、トランプ大統領が打ち出した一連の政策により、世界経済の先行きは一層不透明さを増しており、市場の変動リスクも高まっている。政策の不確実性に加え、各国政府の発言も市場に大きな影響を及ぼし、株価の乱高下を招く要因となっている。その影響は日本の投資家にも及んでおり、経済リスクへの備えとして、投資判断を他人任せにせず自ら学び備える「金融リテラシー」の重要性が、社会全体で改めて認識されつつある。 こうした背景のもと、投資家の知識習得ニーズに応える形で、インターネットを通じた金融情報の提供や、金融教育コンテンツの拡充が進んでいる。従来のマスメディアに加え、金融機関によるオンラインセミナーやリアルイベントの開催、アプリを活用した金融教育サービスの展開など、多様なチャネルでの情報提供が活発化している。 このような市場動向を踏まえ、2024年における国内の金融情報サービス市場は2,250億円、金融教育サービス市場は1,065億円、両者を合わせた市場規模は3,315億円と推計される。 ■市場拡大の見通しと将来の成長要因 今後も国民全体の投資活動が拡大を続ける中で、これらを支える金融情報・金融教育サービスの需要は持続的な成長が見込まれる。 金融情報サービス市場は、投資人口の増加に伴い堅調な拡大が期待され、金融教育サービス市場についても、2022年度に高校家庭科で義務化された金融経済教育をはじめとする取り組みなどの社会的動きが後押しとなり、高水準の成長が続くと見られる。 また、体系的なカリキュラムを提供する有料Web・アプリサービス、YouTubeなどを通じた動画コンテンツ、新聞・雑誌などの従来型メディアによる情報発信など、複数のチャネルを通じた多角的なサービス提供も継続的に拡大していくと考えられる。 これらの動向を踏まえ、2030年には金融情報サービス市場が2,389億円(2024年比 約1.06倍)、金融教育サービス市場が1,663億円(同 約1.56倍)に達し、両市場を合算した規模は4,052億円に達する見通しとなった。
広告品質とユーザー体験への投資 ──集英社が描くブランドセーフティの未来[インタビュー]
紙とデジタルを横断して多様なメディアを展開する集英社。その広告運用の裏側には、“ユーザーが安心してコンテンツを楽しめる環境づくり”という強い信念があります。本記事では、集英社・佐藤克彦氏とFLUX・内田雄輔氏の対談を通じて、ブランドセーフティや広告品質の課題と対策、そしてGeoEdge導入による変化を深掘り。ユーザー体験と収益性の両立を目指す最前線の試行錯誤と、これからの広告価値のあり方を探ります(2025/4 インタビュー実施)。 (Sponsored by FLUX) profile 株式会社集英社 メディアビジネス部 デジタルプロデュース課 グローバルセールスリーダー 佐藤 克彦 株式会社FourM、AnyMind Japanにて主に出版社・新聞社のネットワーク広告でのマネタイズ支援を経験した後、2021年から集英社に入社。集英社内のウェブサイト・アプリのネットワーク広告マネタイズ、社内CDPの構築/運用に従事。 株式会社FLUX メディア・マーケティングソリューション本部 メディア・ソリューション部 アカウントエグゼクティブグループ 内田 雄輔 グリーにてWebディレクター・純広告営業、Gunosyでデマンドサイドのアカウントマネージャーとして従事。その後、delyにてメディアマネタイズ、マーケティングを経験した後、FLUXへ入社。デマンドサプライ両面の経験からメディア様をサポート。 ユーザー体験を守るために──広告品質とメディア運営の現場 ― 集英社さんは紙媒体だけでなく、複数のWEBメディアを運営されています。佐藤さんの立場からコンテンツホルダーとして大切にしていることや課題に感じていることがあれば教えてください。 佐藤:私は編集部でもなく、かつ広告側としても直接タイアップのようなコンテンツを扱う立場でもないのですが、ネットワーク広告マネタイズなどを担う立場から回答させていただきます。弊社は複数メディアを持っておりそれぞれ特色は異なりますが、どのメディアでも「ユーザーが自分事化しやすい」コンテンツを出すことを重視しています。なぜかというと、「自分事化しやすい」ということはつまりユーザーにコンテンツが届いていると言えますし、そのようなコンテンツだからからこそクライアント様とタイアップなどで一緒に仕事ができ、クライアント様の訴求もユーザーの自分事化に繋がり、結果として届けたい相手にしっかり届けられるという好循環が生まれます。 私が担当するネットワーク広告のマネタイズにおいても、その循環を崩さないように意識しています。広告がユーザーの関心をそらしたり、コンテンツのムードを損なったりしないよう、「広告と気づきつつも興味関心に近い」と思ってもらえるようなフォーマットや内容になるよう調整を続けております。 一方で課題としては、弊社のみならず業界全体に言えると思いますが、ネットワーク広告における悪質広告、低品質広告への対応でしょうか。日々多種多様な悪質広告が出てきますが、数十社のSSP、そして複数のアドネットワークが連なっている中ですべての広告を精査しきることは難しく、また収益とのバランスを取ることも課題に感じます。 ― 広告品質とユーザー体験の両立という点で、広告マネタイズにおいて意識されている工夫や判断軸があれば教えてください。 佐藤:メインではPMPを増やしたいと考えています。紙媒体も含めて純広告を売りたい一方で、市況もあり全てを純広告で埋めることは難しく、ネットワーク広告なども並行して活用している状況です。そうなると悪質広告のリスクは一定出てきてしまうため、ユーザー体験を損なわない広告フォーマットを意識し、広告単価の維持・向上を目指せるよう各ベンダーと調整しています。 内田:広告品質を守ることで、媒体の信頼性やブランド価値が向上し、結果的にPMPの相談にもつながっていく。集英社さんはまさに理想的な循環を築かれていますよね。オープンウェブへのディスプレイ広告予算が絞られていく中で、目指すべき形の1つだと思います。 ― 悪質広告について、率直にどう考えていますか。また、それに関するWEBメディアの動きについてどう見ていますか? 佐藤:メディアの立場からすると、正直に言えば各プラットフォーム側でもより精査してもらいたいと思います。しかしユーザーの立場からすれば、広告を目にする場所であるメディアの我々が、いかに対応していくかが求められるのだとも感じています。そのため、できる限りメディアとして対応できることはやっていきたいですね。 各メディアさんも悪質広告への対応を進めているとは思いますが、悪質広告を防ぐためのプロダクト導入などは選択肢としてあるもののやはり費用がかかってしまう点で、バランスをとるのが難しいところでしょうか。 内田:多くの媒体社様とやり取りさせていただいている弊社から見ても、特に近年は悪質広告の配信量が増えている印象を受けます。最近は広告クリエイティブが一色で塗りつぶされていたり、著名人を不正利用した詐欺広告が次々に形を変えて出てきたりと、弊社の中でも話題になりました。 なりすまし広告や技術サポート詐欺がマスメディアでも取り上げられることが増え、社会問題にもなりつつあります。 佐藤さんが仰る通り、ユーザーから見ればメディアの責任と捉えられ、SNSなどで炎上してしまうのが現状です。メディア側でできる対策は限られているため、業界全体での取り組みが必要だと考えています。 ブランドを守る広告運用──GeoEdgeによる変化と効果 ― 集英社さんは悪質広告への対応のため2021年からGeoEdgeを導入いただいていますが、きっかけはなんだったのでしょうか。 佐藤:クライアント様から「自社のブランドに似た広告が出ている」という指摘があったことが導入のきっかけです。導入以前から詐欺ブランドやフェイクブランドという悪質広告が出てしまわないように手動でブロックするなどの対応は取っていたのですが、それだけではどうしても防ぎきれずに限界を感じてプロダクトの導入に至りました。 ― FLUXでは多数のメディアさんに対してGeoEdgeの導入に携わっていらっしゃいますが、どういった理由で導入されるケースが多いのでしょうか。 内田:近年、悪質広告に関してSNSで話題にあがることもしばしばあり、社内外で問題視する声が増えたということでご相談をいただくケースが多いです。また悪質広告だけでなく、肌の露出が多かったり、誇大広告などの低品質なクリエイティブの配信を防ぎたいといったご要望をいただくこともあります。 佐藤さんも仰っていたように、みなさん手動でブロックするなどの対応を行っていますが、例えば詐欺ブランドやフェイクブランドのような悪質広告は、ドメインなどを頻繁に変えてくることが特徴です。一度のドメインブロックで対応が終わるわけではなく、イタチごっこのように何度も対応を迫られるケースが少なくありません。 また、悪質広告の配信元となっている一つのSSPを特定できても、他のSSPから同じ悪質広告が出る可能性を考えると、SSPの数だけ管理画面にログインしてブロックをして…という作業が発生してしまうため、非常に工数がかかります。そのような工数面でのお悩みをお持ちのメディアさんも多いですが、GeoEdgeであれば一つの管理画面上で作業を完結できるため、リソース削減の面でもメディアさんに魅力を感じていただけています。 ― GeoEdgeを導入し、どういった効果が見られましたか? 佐藤: クライアント様にとって好ましくない悪質な広告の露出がほぼ無くなり、社内外からの指摘がかなり減りました。特に広告品質を重視している女性系・ファッション誌系メディアにおいては、悪質広告だけではなく、いわゆるユーザーを不快にさせてしまうような低品質なクリエイティブ広告も激減し、メディアにおける広告クリエイティブの改善に確実に寄与していると感じています。また内田さんも仰るように、悪質広告を探してブロックするという工数もかなり削減できました。 ― GeoEdgeを実際に運用されてみて、使い勝手や印象はいかがでしたか? 佐藤:まず導入時ですが、Prebid wrapperにタグを入れるだけで完結できたことが非常に助かりました。弊社は十数メディアを持っていますが、何か実装対応が発生すると、メディア毎にそれぞれ異なる開発会社に依頼する必要があり、社内担当とのやり取りも含めて全メディア分の依頼、実装、確認、修正の手間がそれなりにかかってしまいます。その点、GeoEdgeは既に実装済みのPrebid wrapper内の調整で済むため、導入工数というハードルはかなり低かったです。 また導入後ですが、GeoEdgeでは媒体ごとの複数ドメインの一元管理ができるため、ブロック対応の管理・工数の削減という面で非常に利便性を感じています。今では週1回~隔週に1回程度のログインで十分管理できており、リソース効率も向上しました。 これからの広告価値とは──集英社とFLUXの展望 ― 集英社さんは大手コンテンツメディアとして、今後どのような広告メニューや価値を提供しようとお考えでしょうか。 佐藤:初めの話に戻りますが、私たちはユーザーが自分事化しやすいコンテンツを主軸とし、それを広告商品として展開しています。単純な量を追求するのではなく、ユーザーにとって意味のあるコンテンツを提供することが私たちの強みであるとも言えます。そのコンテンツ力を活かしながら、自社の0・1 party dataでコンテンツを補完できるような商品を設計し、その掛け合わせをもって、量以外の面でも価値をクライアント様に提供していきたいですね。 例えば、ログインユーザーのデータや決済情報、アプリ経由のデータなどを組み合わせて、認知形成や興味関心の喚起を中心とした広告メニューを強化していくことも目指しています。単純なクリック数だけでなく、ユーザーの長期的な興味や行動変容を促すような広告手法を開発していければと考えています。 3rd party cookieの制限などにより、データ収集が難しくなっている点は課題としてありますが、自社独自のデータ収集戦略と、他社のデータプラットフォームとの協力で、こうしたデータ活用の可能性を探っているところです。単純な広告効果測定だけでなく、購買後の継続性や顧客のライフタイムバリューまで見られるような仕組みづくりを目指していければと考えています。 ― 最後に、内田さんはFLUXのメディア向き合い担当として、今後コンテンツメディアの広告に対しどのようなサービスや価値を提供したいとお考えでしょうか。 内田:私たちは収益性の向上に向けて日々ご提案をさせていただくことが多いですが、一方で本日のお話にあったように、ユーザーが高品質なコンテンツを安心して閲覧できることを蔑ろにしてしまっては長期的には広告メディアとしての価値が低下してしまいます。 また、その他AIの発展や社会情勢の変化により、オープンインターネットのエコシステムはここ数年で大きな変革を迎えつつあり、このような難しい課題に直面している状況ではありますが、メディアさんにとっての最良のパートナーであるため、より良い意思決定の支援を続けていきたいと考えています。 佐藤さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。
ナイル大澤氏とUNICORN田井氏が登壇 交流×学び×成長! ExchangeWire Japan媒体説明会レポート
ExchangeWire Japanは5月16日(金)に東京カルチャーカルチャーにて媒体説明会を行った。2年連続で行われた媒体説明会には、25社以上40名近い方が参加した。 媒体説明会では特別講演として ・ひとりマーケターが成果を出す仕事術:特別編(株式会社ナイル 大澤心咲) ・2年連続でATS Tokyoへの参画を決めた理由(UNICORN株式会社 田井花佳) が行われた。本記事では、上記2つの特別講演を中心に媒体説明会の様子をお届けする。 ひとりマーケターが成果を出す仕事術 大澤心咲氏が提言する組織を巻き込む戦略と施策 大澤心咲氏は、新卒でアクセンチュア株式会社に入社。その後、ホリゾンタルDX事業や自動車産業DX事業に強みを持つナイル株式会社に2018年に転職。同社ではSEOコンサルタントとして勤務し、その後、集客を中心としたひとりマーケターとして、マーケティング組織とインサイドセールス組織の立ち上げを行った実績を持つ。ExchangeWire Japan読者の多くが、ひとりマーケターとして日々業務にまい進していることを踏まえ、自身の経験を基に、ひとりマーケターが組織の中で成果を最大化するための5つの戦略と具体的な施策を伝授した。 1. 上司はあなたの代弁者! 大澤氏が何よりも大事と力説したのが、上司との関係性だ。 ひとりマーケターが陥りがちな課題として、社内での認知度不足がある。大澤氏は、この状況を打破するために、まず「ひとりマーケターが参加していない会議で、上司がマーケティングの取り組みについてあなたの代わりに話せる状態にすることが理想」だと語る。そのための法として、週に15分でもよいので、上司にマーケティング活動の状況をインプットする時間を設けてもらうことを提言した。 「マーケティングとしてどのような仕事をしているのかを、上司の口から会議等の場で話してもらえる」状態を作ることで、社内での認知度不足が解消し、物事を進めやすくなると大澤流のノウハウを紹介。そしてさらに「上司の予定をチェックして、関連会議に向けて話してほしいポイントを先に伝えておくのも有効です」と、すぐに使える実践的なテクニックも紹介した。 2. 営業との連携を「議事録作成」で強化! 営業部門との連携不足も、ひとりマーケターが陥りやすい課題だ。大澤氏は課題解決のために「議事録書きます!」と言い、営業の定例会議に参加することを推奨した。 議事録を作成することで、営業組織の人間関係や専門用語、背景を理解することができる。営業メンバーたちの実情を知ることで「相手の事情をイメージできるようになり、仕事のお願いや交渉事もしやすくなった」と、その効果を強調する。さらに、議事録のタスク管理を通じて、営業担当者とコミュニケーションを取ることができ、関係構築に役立ったそうだ。 3. 顧客の「生の声」を直接聞く 営業からの伝聞情報だけでなく、顧客の「生の声」を直接聞くことの重要性も強調する。大澤氏のチームでは、受注・失注した営業の商談録画をそれぞれ確認し、気になった発言のメモ取りを月に1回はやっているという。こうすることで営業担当者からの話にくわえ、具体的な顧客ニーズを拾い上げ、マーケティング戦略に反映できるようになると効果を述べた。 4. 「日報」で業務を可視化し、時間を生み出す 日報を作成し、自身の業務内容と工数を可視化することで「不要な業務がはっきり見えてくる」と大澤氏は語る。その上で上司に、不要な業務を削減した時間で何ができるか(例えば「この業務がなくなったら私は、ウェビナーが月に2回できリードを〇件獲得できます!」など)を具体的に提示したことで、現在は自分のやりたい業務に集中できる環境をつくることができたという。 5. 協力会社との「情報共有」で連携を深める 協力会社との連携においては、単にKPIを共有するだけでなく「同じチームの一員として情報提供することが多い」と大澤氏は語る。NDA(秘密保持契約)を締結した上で、細かい数字や自社状況を共有することで、協力会社からの深い理解と協力を得られ、より効果的な施策の実行につなげたと成果を述べた。 孤独で雑務を含めた業務量の多い、ひとりマーケター特有の悩みに寄り添った 実践的な講演に、多くの参加者は頷きながら拝聴していた 大澤氏の講演は、ひとりマーケターが組織の中で孤立せず、周囲と連携しながら成果を最大化するための具体的な方法論を提示するものだった。上司、営業、顧客、協力会社とのコミュニケーションを密にし、自身の業務を可視化することで、ひとりマーケターは組織の中でより大きな影響力を発揮できるだろう。大澤氏の言葉を参考に、組織を巻き込むマーケティング戦略を実践してみてはいかがだろうか。 講演を行った大澤氏の自著『ひとりマーケター 成果を出す仕事術』 (マイナビ出版) UNICORNがATS Tokyoにプラチナスポンサーとして参画する理由 業界課題への提言と共感の輪を広げる戦略 UNICORN がATS Tokyoに参画する理由を語る田井花佳氏。 広報担当者として、これほどまでに業界のあるべき姿や自社のミッション、 価値を自分の言葉で、しかも臆することなく語れる人材は多くない。 田井氏の熱意と信念が伝わるプレゼンテーションは、 聴衆を惹きつけ「共感」を呼ぶ力があった 媒体説明会では、ATS Tokyo 2023、2024と2年連続でプラチナスポンサーとして参画したUNICORN株式会社(代表者:代表取締役 山田 翔 以下、「UNICORN」)のPR担当 田井花佳氏が『2年連続でATS Tokyoへの参画を決めた理由』という講演を行った。 UNICORNは、インターネット広告事業を手がける株式会社アドウェイズ(代表者:代表取締役 山田 翔)の100%子会社で、DSPとして広告配信プラットフォームを提供している。 田井氏は、UNICORNがATS Tokyoにプラチナスポンサーとして参画する理由を「単なるリード獲得の場としてではなく、業界のあるべき姿を提言し、共感を広げるための戦略的ツールとして活用している」と強調した。 UNICORNのATS Tokyo登壇レポートは 『インターネット広告の計測と評価の闇、そしてあるべき姿』(2023年)、 『オンライン広告の効果計測の原点回帰-本当に重要な指標とは』(2024年) から確認できる ATS Tokyoを「共感」を広げる場として活用 インターネット広告市場は成長を続けているものの、ユーザー体験を損なう広告が依然として多く存在する。田井氏は「インターネット広告、本当に好きですか?」と問いかけながら、66%の人が広告の内容をほとんど読まないというアンケート結果を引用し、約1兆円もの広告費が無駄になっている可能性を指摘する。 続けて「UNICORNは、ユーザーにとって価値のある広告配信を行うことで、メディア上でのユーザー体験を向上させ、広告効果を高めることを目指しています」と述べ、この考えに「共感」してくれる広告主、代理店、媒体社等との関係構築のために、ATS Tokyoを活用していると述べた。 「ATS Tokyoは、短期的な売上ではなく、業界のあるべき姿を発信し、広告配信の課題に気づいてもらうきっかけ作りの場にできるかどうかを重視しています」と語る田井氏だが、プラチナスポンサーとしてATS Tokyoに参画し、プレゼンテーションを行ったことで4つの効果があったと報告する。 価値観ベースの関係構築: UNICORNの考え方に共感する企業からの問い合わせが増加。 認知度向上: 広告のあるべき姿を提言する企業としての認知が広がり、好意的なコメントが多数寄せられた。 大手広告代理店との戦略的パートナーシップ: 某大手広告代理店がATS Tokyoでのプレゼンを聞き戦略を転換。これまで以上にUNICORNを活用していただけるようになった。 インナーマーケティング効果: 登壇内容をオウンドメディアで記事化し、営業担当者が顧客にUNICORNの考え方を伝えやすくなった。 これらの効果について、田井氏は費用対効果を定量化することは難しいとしながらも「大きな成果を得ることができました!」と報告した。 「業界課題の共有+啓蒙+少しだけ宣伝」というATS Tokyoの活用法も伝授 多くの企業がイベント協賛を費用対効果で判断する中、UNICORNはATS Tokyoへの協賛において、短期的な売上に対する費用対効果をほとんど考慮していないという。その理由は、同社のソリューションが「広告配信の課題に気づいている人に対して特に強く響く」という特性にあり、また業界課題への提言を通じて共感を広げ、業界が健全化すればUNICORNの中長期的な成長につながると考えているからだ。 最後、田井氏はこう締めくくった。 「UNICORNだけでは業界は変えられません。同じ価値観持っている企業さまがいらっしゃれば一緒に業界を変えていきましょう💪 ぜひお声かけください!」 写真で見る媒体説明会の様子 媒体説明会では、上記の2講演のほか、人気記事ランキング、スポンサードコンテンツ紹介、ATS Tokyo 2025(11月21日 東京ドームホテル開催)の告知が行われた。 媒体説明会後は、軽食を楽しみながらのネットワーキングの時間も設けられ、参加者たちはリラックスした雰囲気の中で意見交換や情報共有を積極的に行っていた。
AIトランスフォーメーションの最前線 JAPAN AI独自開発の高精度RAG技術とは?【インタビュー】
日本のAIトランスフォーメーション(AX)を牽引するJAPAN AI株式会社(代表取締役社長:工藤 智昭、以下「JAPAN AI」)が、独自開発したRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術(*1)で業界最高水準の82.7%の精度を達成したことを発表し、大きな注目を集めている。 本記事では、プレスリリースを発表した背景や反響、そして独自開発したRAG技術がJAPAN AIのマーケティングに与えるメリットと、将来展望について同社の執行役員 CMO マーケティング部 部長 飯田海道氏とプロダクトマネジメント部 リーダー 久保田善行氏にお話を伺った。 (*1)RAG技術:大規模言語モデル(LLM)の精度と信頼性を、外部ソースから取得した情報で強化する技術。大規模言語モデル(LLM)が持つ一般的な知識に、企業内の信頼できる最新データを組み込むことで、より正確で信頼性の高い回答を生成する。 RAG技術に関するプレスリリースを行った背景 JAPAN AIは、AIを活用した企業変革を支援するため、コンサルティングやプロダクト提供、AI人材支援まで幅広く展開している。 今回プレスリリースで発表したRAG技術に関しても、同社は創業以来力を入れてきた分野である。 プレスリリースを行った背景として久保田氏は「ユーザー様から『他社と比べて精度が良い』という評価をいただいていたが、定量的な比較はこれまでなかったため」と述べ、自社の技術力を客観的に確認するため、調査・検証を行ったと説明した。 今回の調査・検証では、複数の大規模言語モデル(LLM)を用いて模範解答との意味的な類似性・一致性を考慮した正答率指標により評価を実施。社内外の評価データセットを用い、他社クラウド製品と比較するベンチマークを行ったところ、業界最高水準の82.7%という高精度を達成したことから、プレスリリースを行ったという。 RAG技術というある意味でニッチな分野ではあるが、この発表は大きな反響を呼び、飯田氏も「企業のAI推進者がRAG精度に高い関心を持っていることを実感した」と述べた。 JAPAN AIが提供しているサービス JAPAN AI AGENT: 設定された目標に対し、AIが自律的に思考し、タスクを実行するAIシステム。日常的なタスクを自動化することができる。 サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/agent/ JAPAN AI CHAT: 最新の言語モデルを活用した法人向けAI活用プラットフォーム。データ連携と独自開発による高精度RAGにより、社内データの検索や回答生成が可能。 サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/chat/ JAPAN AI SPEECH: 議事録を自動生成するAIサービス。業界用語への対応や話者分離機能を備え、AIによる要約・編集も可能。 サービスサイト:https://japan-ai.co.jp/speech/ 今回のプレスリリースに該当する機能 Agentic RAG:独自開発した高精度RAG。単に情報を検索して表示するだけでなく、回答の正当性を検証し、より適切な表現を確認・生成する。具体的には、複数の情報源を参照しながら、回答内容の整合性チェックや、より良い表現方法の検討を行い、最適な回答を生成する。 「Agentic RAG」は、JAPAN AIが提供している各サービスに実装されており、ユーザーは、従来のライセンスのまま使用することができる。 高精度RAG技術のユーザーメリットとマーケティング戦略 飯田氏はマーケティング視点からも今回の発表に大きな手応えを感じている。 「RAG精度が高いことで、新規のお客様はもちろんのこと、すでにJAPAN AIを利用しているお客様の満足度が上がり、利用率やライセンス数、LTV(顧客生涯価値)向上に直結すると考えています。私も実際に『Agentic RAG』を使用してみましたが、アウトプットされる品質が上がり、生成AIの回答の精度が明らかに向上していると感じています」と語る。 続けて「AIの進歩によって、日常的で雑多なタスクを人間ではなく、AIが行うシーンが今後増えていくでしょう。そんな時、企業におけるタスクの自動化においては、法人独自のデータとシームレスに連携できることは絶対条件であり、かつそこから正しい情報を抽出できることが重用な要素です。その両方を解決できる『Agentic RAG』は、多くの企業から支持されるはずです」と期待を込める。 実際に、今回のプレスリリースで、JAPAN AIのことを知った事業者からの問い合わせも多かったという。 飯田氏は「本リリースを機に、企業のAI活用における『RAG精度が重要な要素』であることを啓蒙し、より多くの企業に選ばれる存在を目指していきます」と強調した。 Agentic RAGの強みと特徴 「Agentic RAG」は、単なるFAQシステムに留まらず、独自のエージェント機能によって、真価を発揮する。従来のRAGでは、ユーザーが言語化できないニーズをシステムが汲み取れず、最適な回答を導き出すことが難しいという課題があった。しかし、エージェント機能を備える「Agentic RAG」は、システムがユーザーの意図を理解し、必要な情報を自ら考え、文章を吟味し、回答を生成することが可能となった。 この技術に関し久保田氏は「Agentic RAG」がゼロからカスタマイズされている点が大きな特徴と語る。 「他社がオープンソースやプリセットを利用するのに対し、JAPAN AIは独自の技術を開発して精度を上げると共に、将来的なカスタマイズに対応できるようにしています」と解説。 さらに、RAG技術において重要なデータアップロード時のチャンク分割(*2)の最適化について「文脈が維持される形でチャンク分割ができるように調整し、検索精度を向上させています。特に、検索後には質問に対する回答の妥当性をランキングする『Rerank』という手法を取り入れ、より正確な情報を生成できるようにしました」と明かし、JAPAN AIの高い技術力をアピールした。 (*2)チャンク分割:テキストやデータを意味のある小さな単位(チャンク)に分割処理すること。大規模なテキストデータを扱う際、一度に全体を処理するのではなく、分割することで、効率的な処理や検索、分析が可能となる。 今後の展望 最後、久保田氏、飯田氏にJAPAN AIの今後の展望について聞いた。 久保田氏は技術的な今後の展望として「データベースに保存する前に、AIエージェントがデータ形式を分析し、RAGの精度を自動で最大化する技術を開発中です。2025年の夏までに実装できるように作業を進めています」と報告。 この技術は、AIエージェントが人の手を借りず、自らデータの形式を最適化し、RAGの精度を向上させるというもの。これは、AI自らが考えて改善し、実行するという革新的な技術ではないだろうか。 飯田氏は「多くの企業がデータの保存方法やデータの活用方法(紙ベースのもの、パワーポイントなどテキストではないデータをどのように生成AIに学習させるのかなど)、AI導入による業務プロセスの変化に悩んでいます」と現状を説明。その上で「今後は、さまざまな業務アプリケーションや、他社が提供するソリューションと自社サービスの連携を進め、さまざまなデータソースからの情報を統合し、業務プロセス全体を自動化するプラットフォームとして業務の自動化を加速させていきます」と抱負を語った。 そして最後に、「JAPAN AIは、国産AI企業として、日本企業特有の業務文化に寄り添い、温かみのある支援を提供していきます」と力強く締めくくった。 JAPAN AI最新情報 JAPAN AIのプレスリリースは下記から確認できる。 https://japan-ai.co.jp/news/ 【PR [...]
社内を見つめることで生まれるPR施策を目指して-ニューステクノロジー 林 優里氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステークホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第1回は、DOOHメディア業界をけん引し、タクシーサイネージメディアを筆頭に複数のメディア事業を運営する株式会社ニューステクノロジー の林 優里氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 林 優里氏 株式会社ニューステクノロジー 広報マネージャー 新卒で航空会社に入社し客室乗務員として数年勤務した後、20代のうちに色々なことを経験したいという想いから、もともと興味があったPRの仕事が出来るベクトルグループのニューステクノロジーに転職し、広報部門に配属される。 【インタビュー対象企業】 株式会社ニューステクノロジー 国内最大手のPR会社であるベクトルのグループ企業として、モビリティプラットフォームや動画マーケティングを中心に事業を展開。都内最大級のタクシーサイネージメディア「GROWTH」、日本初のモビリティ車窓メディア「Canvas」など、移動空間を活用した新たなメディア開発に注力。さらにYouTubeを主軸とするカルチャー動画メディア「McGuffin」や、喫煙所サイネージメディア「BREAK」など、オンラインからオフラインまで多様なメディアを展開している。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 林氏:ニューステクノロジーでは、サイネージを起点としたメディア事業やYouTube・映像制作、モビリティ領域で高級ハイヤーサービスも手掛けています。それぞれの広報戦略の立案から、戦略に紐づくPR企画の進行、プレスリリース作成、メディアリレーションの構築、イベント企画などを行っています。採用広報を目的とし、オウンドメディアを運営したり、各サービスのSNSを活用した企画のディレクションも一部担当しています。さらに社内広報として、定期的な社内イベントの運営や最近は社内のサイネージを活用したコンテンツ作りや企画も手掛けています。 すべてのサイネージにクリエイティビティを -社内向けの広報とはどういったものでしょうか。 林氏:デジタルサイネージを手掛ける企業ということもあり、社内のいたるところにサイネージが設置してあります。そこで社内に対して何を発信していくのかというコンテンツ作りや社内イベントの運営などがあります。 代表がPR会社出身であるということもあり、アウトプットには目的に対して、クリエイティブかつスタイリッシュな表現が求められます。代表の方針に加えて「広報ならではの視点で、社員にどんな情報を届けたいか」ということを意識してコンテンツ作りをしています。 -社外向けのイベントなども多くありますか。 林氏:最近ですとカルチャー動画メディア「McGuffin」で、メンバーシップ向けのイベントを企画提案しました。その他、クライアントや広告代理店向けにデジタルサイネージ事業のメディア勉強会を企画することもあります。自社開催以外にも、代表や営業メンバーが広告やメディア関連のカンファレンスに登壇することもあるので、ニューステクノロジーとしてどういったターゲットに、どのようなメッセージを発信していくべくなのかということを代表や事業部とすり合わせながら全体の構成を考えていきます。 -会社の雰囲気はいかがですか。 林氏:中途採用での社員が多く、メディア・広告業界以外から異業種転職してきている社員も多くいます。私もその一人ですが、それぞれのスキルを活かしつつ、チームで補いあっている空気があります。一人一人の裁量が大きく、若手であっても頑張り次第で評価される職場です。 -主な顧客層を教えてください。 林氏:広告主や広告代理店が主な顧客となりますが、ステークホルダーは多岐にわたります。タクシーのサイネージから、映像制作やモビリティなど各事業部によって向きあう顧客は変わってきます。広報として各事業部とコミュニケーションを取り、こちらから積極的に提案するときと、意見を聞きながら進めていくときと、事業の進捗や事業部の空気感によって、手段を使い分けながら進めています。 地道なインプットと社内コミュニケーションを日々積み上げていく -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 林氏:メディアリレーションの構築には、常に一定の時間を割いています。私が入社したときはそもそもメディアとの関わりがなかったので、メディアの方に会いに行って、プロフィール資料を持ち込んで代表や会社・サービスの取材をお願いするというようなことが多かったです。そのころと比べると企画やイベント運営、コンテンツ作りなどに割く時間が増えてきましたが、今でもメディアとのお付き合いはとても大切にしています。こまめに対面でお会いし、コミュニケーションを取ってトレンドや読者の興味・関心を把握しておかないと、広報として時流を汲み取った提案もでてこないと思います。常に生の声から情報収集をしてインプットをし、自分の意見や思考をもって提案できるように日々勉強しています。 -業務で注力していることは何ですか。 林氏:事業部ごとでステークホルダーや課題が異なるので、短期・中長期での戦略や施策の立て方もさまざまです。絶えず状況も変化する中で、コミュニケーションを通してそれぞれのサービスの進捗把握をしておくことには注力しています。そうしないと、意図を持った再現性の高いPR施策はできてないと感じているからです。広報部門としては、良かれと思い一定のコストや労力をかけてPR施策を実施しても、振り返った時に会社やサービス単位で、どういった意味やインパクトがあったのか説明できないという状態は一番避けるべきだと思います。 代表からは、「社内の状況や課題感をきちんと把握・理解していることが事業成長に繋がるPRを生む」とよく言われます。時には、社内でのちょっとした出来事や声がPRのネタやヒントになり、企画やメディアへの露出に繋がることもあります。それが結果、事業成長や課題解決に繋がるアウトプットになることもあると思います。最近では、セールスチームにPRの視点を交えて、企画の切り口などを提案をすることもあり、良い形での社内連携ができていると思います。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 タクシーサイネージメディア「GROWTH」を筆頭に、喫煙所サイネージメディア「BREAK」やカルチャー動画メディア「McGuffin」など、オフラインからオンラインまで複数のメディアを運営しています。社内に映像制作の事業部「HOLONIX」もあり、作るところから届けるところまで一気通貫したプランニングが可能です。興味のある方は是非お気軽に会社HPよりご連絡いただけますと幸いです。 https://newstech.co.jp/contact/
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